新約聖書 1
新共同・訳(訳)
,佐藤 優・解説(解説)
/文春新書
作品情報
宗教に特別な関心をもっていない標準的な日本人に読んでもらうために本書を書いた。(「はじめての新約聖書-序文にかえて」より)巻1にはイエス・キリストの生涯について記した福音書を収録。各福音書の前には佐藤優氏による案内も。「書物の中の書物」の読み方を伝授する。【目次】・はじめての新約聖書-序文にかえて・イエスは常識を覆す-「マタイによる福音書」案内○マタイによる福音書・「神の国」はどこにある-「マルコによる福音書」案内○マルコによる福音書・「復活」とは死人の甦り-「ルカによる福音書」案内○ルカによる福音書・「永遠の命」を得るには-「ヨハネによる福音書」案内○ヨハネによる福音書・非キリスト教徒にとっての聖書-私の聖書論1
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商品情報
- シリーズ
- 新約聖書
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春新書
- 書籍発売日
- 2010.10.20
- Reader Store発売日
- 2017.05.26
- ファイルサイズ
- 0.9MB
- ページ数
- 400ページ
- シリーズ情報
- 既刊2巻
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この作品のレビュー
平均 3.9 (19件のレビュー)
-
生まれて初めて通読した聖書は、佐藤優氏による新書となりました。
現代語訳で書かれる、ここまでわかりやすくなるのか、と驚きます。
また、これまで忌避していたのは、その内容以上に
「版が古すぎて文字が小…さ過ぎる」とか、
「かなの遣いが自分の感覚にしっくりこない」というような副次的な要因だったかもしれません。
何より、読む理由がなかった。
今回は参加する読書会のテーマ本ということで手にしましたが、そうでなければ手に取ることも無かったでしょう。周りでも、読まずに一生を終える人も多いに違いありません。
読んでみてどうだったのか、と問われたら。
一番は、「宗教を信じるか、信じないか」という究極的な対決を始めるのではなく、彼の言い回し、人間への洞察が鋭い点にうなりました。
宗教書としてではなく、ビジネス書としての観点です。私がいま仕事をしているという理由もあるでしょう。
例えば、福音書の中に、「なぜあなた(イエス)は、人に話す時に例え話ばかり使うのか?」と聞かれる一節があります。
彼はこたえて、
「神(私は「真理」と書き換えたほうがしっくりきます)に近い人間は、それを言葉通り理解できるが、神(真理)に遠い人間にはそのまま話してもちっともわからない。自分たちが普段触れているモノを用いた例え話でなければ伝わらないのだ。」と弟子たちを諭す。
自分が葡萄やパンや、らくだを真理を伝えるための道具として使っていることを認めるのです。
その中でも、私の中では「時が経った葡萄酒が全て酸っぱくなるわけではない。」というセリフが心に残りました。自分に「酸っぱい」中年としての自覚があるからでしょうか。
相手の理解のために例え話を使う。宗教を抜きにして、コミュニケーションに必要不可欠な要素です。
概して宗教意識が低い私や身の回りの人間からすると、宗教書を眉唾なフィクションとして軽視してしまいがちです。しかし、そういう観点ではない見方がありました。
一人の人間は「人の生き方はかくあるべき」と万人伝える時。自らインフルエンサーを名乗る時の思想や手練手管は、東西問わず、学ぶことがあるのです。
そして、もう1つ。私の誤解として読んでいただきたいのですが、
新約聖書は、
「いい生活を送るための100の小さな哲学」
(ナザレ出身のイエス著・●婦の友社刊)と受け取っています。
すでに述べたとおり、聖書は、一般の人にもわかるように、例え話や、誇張したエピソードをふんだんに盛り込んでいます。
ただ、そのフィクションがあまり秀逸で、人の心に刺激的であったため、虚構が、実際の話と同等の価値をもってしまった。
結果、「実用書コーナー」に並ぶはずだった本が、「宗教書」に格上げされてしまったのではないか、と受け止めました。
余談ですが、「クトゥルフ神話」という概念は、ラブクラフトという人が基礎を組み立てた近代フィクションなのですが、本屋によっては、「神話・宗教」カテゴリーに関連本が陳列されている時があります。あれは冗談のつもりなのか、本気なのか・・・気になります。
さて、アドラー心理学本のベストセラー、嫌われる勇気の著者、岸見 一郎さんがこんな言葉を使っています。
「宗教が、ある1つの真理を見極めたら、そこから先には進まない。先の見えない橋を降りるような生き方だとしたら、哲学は少し違う。哲学は、先が見えない橋から降りず、ずっと歩き続けることである。」
聖書の言葉にも同じ感覚を覚えました。
新約聖書にテキストとして残っていることは、イエスが哲学をする上で用いたレトリック(手段)の切り抜きであって、それが宗教化している。実はその先にもっともっと深いなにかがあるのではないかと思うのです。
そして、もっともっと先の「何か」最後まで突き詰めようとするのが、「哲学」。逆に人にはわかりようが無いものとして受け入れるのが「神」という考え方。
こう自分の中で注釈をつけながら読んでいくと、初めて手にした聖書が少し飲み下せる何かに変わっていく気がしました。
この初めての1冊を通じて、「神」「真理」といった、知っているけれど、使いこなせていない語彙の意味が深まった気がします。よい1冊でした。
ちなみに続刊は、友人からは「難解だからあまりすすめない」と言われています。
どうなんでしょうか・・・気になります。続きを読む投稿日:2022.12.18
はじめてキリスト教を知ろうと手に取った。
100分で名著の新約聖書と合わせ、挑んだが、やはり難解。わかるようで、わかったふりをしたくなるが、やはりよくわからない言葉が続く。
また時間を置いて、開いてみ…よう。続きを読む投稿日:2023.08.23
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