哲学は人生の役に立つのか
木田元(著)
/PHP新書
作品情報
江田島の海軍兵学校で終戦を迎え、あてもなく焼け跡の東京へ。テキ屋の手先や闇屋をしながら、何があっても食べていける術は身につけた。しかし、いかに生きるべきかという悩みは深まるばかりの青年期。ドストエフスキー、キルケゴール、やがてハイデガーの『存在と時間』に難問解決の糸口を見出す。それから半世紀以上を経て、はたして答えは見つかったのだろうか──。八十歳を迎えた哲学者が、波瀾の運命をふり返りながら、幸福、学問、恋愛、死生観までを縦横に語る。著者は哲学の勉強をはじめるまで、農林専門学校に通うなど、さんざんまわり道をしてきた。そしてハイデガー思想を理解したいために、カントやヘーゲル、フッサール、メルロ=ポンティという具合に何十年もまわり道をした、と言う。しかし、まわり道をしたからこそ、新しい道が開けてきたのだと思う、と回想する。思いきり悩み、迷いながらも、力強く生きることの大切さを教えてくれる好著である。
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商品情報
- シリーズ
- 哲学は人生の役に立つのか
- 著者
- 木田元
- 出版社
- PHP研究所
- 掲載誌・レーベル
- PHP新書
- 書籍発売日
- 2008.10.15
- Reader Store発売日
- 2015.08.28
- ファイルサイズ
- 2.2MB
- ページ数
- 256ページ
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この作品のレビュー
平均 3.3 (21件のレビュー)
-
題名はともかく、本書は哲学の有用性(あるいは無用性)について語った本ではなく、木田元という哲学者の半生を振り返った自伝としての性格が強い。ただし、哲学という学問が個人の人生にどのような意味を与えたかと…いう視点から読むことは可能であり、役に立つか立たないかだけを尺度とする価値観へのアンチテーゼへと敷衍することもできる。
内容としては、ハイデガーはもちろん、フッサールやメルロ=ポンティなどの思想にも触れているが、予備知識を持たなくても理解できるように配慮がなされている。人生論的な切り口でありながらも、ハイデガー哲学を前期と後期に分けて考える一般的な見方とは一線を画し、一貫した存在論的な思想として捉えた独自のハイデガー観成立の契機を垣間見ることができ、思索の足跡を辿る意味でも興味深い。続きを読む投稿日:2020.07.31
アテもなく、人生のモラトリアムのつもりで入学した農林専門学校だが、農業をやりたいわけではない。いきおい学業には身が入らない。しかし、このままでよいのか、将来はどうなるのだろうという焦燥感に著者は駆ら…れる。たまたま聞いたハイデガーの「存在と時間」の講演で、これが自分を救ってくれるという「確信」を持ち、これを読むためには大学へ行かねばならないと、東北大学の哲学科へ進学。授業はいきなりカントの原書講読なのでドイツ語が必須。集中的に勉強して夏休み頃には習得。そればかりか、二年目にはギリシャ語、三年目はラテン語、大学院の一年目でフランス語を、それぞれ三ヶ月でものにしたというから驚く。[more]
様々な哲学書を読みながら著者は常に「存在と時間」に立ち返るが、どうしても今ひとつ腑に落ちない。長い年月の研究を経た後、どうやらこれは自分の原初の問いかけに応えてくれるものではないということに気付く。それでも、これまでの哲学者としての人生は充分楽しかった。
若い頃は迷えばよい。少々回り道をしようとも、それは決して「回り道」ではない。そういう過程を経ることにより、自分のやりたいことが見えてくる。しかし今どきの若者は予め何でも与えられ、何不自由なく暮らしているから、却って悩むことがないのかもしれない。
哲学が世のため人のためになるかといえば、そうではないだろう。しかし著者自身にとっては哲学が救いとなった。
・・・とまあ、タイトルだけに惹かれて読むと肩すかしを食らう。これは木田元の哲学遍歴の書なのだが、滅法面白い。一気に読了。続きを読む投稿日:2018.11.04
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