ルポ 資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄
白戸圭一(著)
/東洋経済新報社
作品情報
急成長する資源大陸アフリカで国境を越える紛争・犯罪が吹き荒れている。成長の果実はどこへいったのか。先進国の草刈り場として暴力なき成長が実現できない実態を現地特派員が追う。
【主な内容】
序 章 資源大陸で吹き上がる暴力第一章 格差が生み出す治安の崩壊──南アフリカ共和国、モザンビーク共和国第二章 「油上の楼閣」から染み出す組織犯罪──ナイジェリア連邦共和国第三章 「火薬庫」となった資源国──コンゴ民主共和国第四章 グローバリズムが支える出口なき紛争──スーダン共和国第五章 世界の「脅威」となった無政府国家──ソマリア民主共和国終 章 命の価値を問う ~南アフリカの病院から~
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商品情報
- 著者
- 白戸圭一
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 東洋経済新報社
- 書籍発売日
- 2009.08.01
- Reader Store発売日
- 2015.03.21
- ファイルサイズ
- 6.4MB
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この作品のレビュー
平均 4.3 (26件のレビュー)
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サハラ以南を一人でカバーした記者
すごい記者もいたもんだ。04−08のヨハネスブルグ特派員時代に紛争地域に潜入している。
アフリカ50数カ国のうちサハラ以南の48カ国ということは地中海側以外ほぼ全てを一人でカバー丸々1年間は取材旅行で…ある。
普通は経済が発展すると治安は良くなる。アフリカでは軍部、政府や外資と結びついたごく一部だけが裕福になり一般庶民は貧しいままで貧富の格差がそのまま犯罪や暴力につながっている。中国がアフリカの資源に手を伸ばしているがそうそう日本のサラリーマンが手を出せる世界とは思えない。筆者自身も娘が遊びに行った同級生宅で強盗に遭っている。
南アフリカ
アフリカで最も経済が発展しているが殺人事件は未遂を含め111件/10万人で日本の110倍で統計がある国の中ではおそらく最悪。WCを控えて通常は含める未遂件数をのぞいて発表していたらしい。ジニ係数でも世界一を争っている。アパルトヘイトの崩壊後の混乱に乗じて外国から組織犯罪が入り込み国際的な犯罪の中継基地になるとともに国内では小規模な犯罪組織が数多く生まれた。アフリカの中では最もインフラが整備されているが国境警備は甘くアフリカ各地の犯罪者を引きつけるだけの経済力もある。
ナイジェリア
2006年南アに滞在する10万人のナイジェリア人のうち合法的な滞在許可を持つのはわずか4千人とナイジェリア人が組織犯罪を輸出している。なかでも金融詐欺と麻薬が大きい。オランダでカリブのオランダ領からのナイジェリア人乗客増加を調べたところ83人中63人が麻薬所持をしていた。06年北米でオンライン取引を行う上で最も危険な国のアンケートで31%がナイジェリアと2位のロシア(9%)を大きく引き離した。石油の産出は地元を潤わさずむしろ漏れだした原油が農業と漁業を破壊している。政府と石油企業に宣戦布告した住民運動には真面なものもあったが弾圧され、現在活動している武装組織は石油の密売組織である。04年にシェルが盗まれた石油は1日5万バレル。また国別腐敗調査で01から4年連続1位であった。
コンゴ民主共和国
90年代後半からの内線の後06年に和平合意と大統領選が行われたが国内には武装勢力が乱立し実行支配できていない。特に東部はルワンダ大虐殺の加害者フツ族が移住しコンゴ政府・フツ系ルワンダ人対ルワンダ政府・コンゴ国内のツチ族組織の対立から政府間が和解し反政府組織掃討作戦が進んでいる。豊かな鉱物資源を持つコンゴの武装勢力の資金源は不法採掘と密輸であり政府の混乱状態の維持を望んでいる。そしてそのために全く無関係な住民を虐殺していた。
スーダン
今も続いているダルフール紛争では2百万人を超える避難民が発生し史上最大の人道危機と呼ばれている。政府軍と政府系民兵そして反乱を起こした反政府組織のいずれもが住民を虐殺していた。政府軍と民兵が優勢になった後も住民を標的とし続けた理由は反乱軍の兵站を根絶するためらしい。予算の2/3が国防、警察などに使われているがそのための資金の出元は石油の輸出で中国との結びつきが強い。武器も主に中国から輸出されている。しかし07年統計では輸出総額の82%をしめる中国に続いて日本は8%と2位なのだ。
ソマリア
世界の脅威となった無政府国家。スエズ運河の出口アフリカの角に位置し海賊対策が1年延長になったニュースがちょうど流れた。映画ブラックホークダウンの舞台でもある。無政府状態が続いておりソマリア経済は海外に移住したソマリア人からの送金で成り立っている。地下資源も貧しく産業もない。ここにつけ込んだのが反米をうたうイスラム原理主義組織でアルカイダの拠点になっている。すごいのはこの無政府国家の最も危険な街にある携帯電話会社に中国企業が進出して8人の技術者を派遣していること。リスクを考えればとてもできない。続きを読む投稿日:2015.09.19
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この本を読んだら、この豊かな日本で格差社会到来などと騒がれていることが戯言のように感じられてくる。
アフリカの大地における壮絶な現実。
著者は、南アのヨハネスブルク特派員として2004年から4年間を…過ごした、毎日新聞社の現役記者。
1970年生まれということで、自分とほぼ同世代です。
南アといえば、来年のFIFAワールドカップ開催国。
先日も日本代表が訪れて、南ア代表とテストマッチを行いましたが、その治安の悪さについては、いろいろと噂に聞くところ。
第一章では、そんな南アの治安について、犯罪者・被害者双方へのインタビュー取材などを通じて生々しく伝えられます。
これだけでも想像を超えた悲惨な現実に驚かされるのですが、まだまだ序の口でした。
第一章と第二章のナイジェリア編で伝えられるのは、まだ「犯罪」のレベルです。
これだって日本じゃ考えられないような現実なんだけれど、第三章のコンゴ、第四章のスーダンになると、もはや「犯罪」を超えて、「内戦」「虐殺」となっていきます。
政府自らが村々への虐殺行為の後ろ盾となったり、隣国の反政府勢力と結んだり、映画「ホテル・ルワンダ」や「ブラッド・ダイヤモンド」で描かれていた世界がまさに現実なんだということを思い知らされます。
そして、第五章の「ソマリア」に至っては、「無政府」。
著者は命を賭してソマリアの首都モガディシオに二度にわたり取材のため訪れるのですが、「無政府」とはどういうことなのか、交通法規も警察もない国家を身をもって体験します。
著者は、この貧しく悲惨なアフリカ諸国の状況と、豊かな先進国の間の関係を、「資源」というキーワードで読み解きます。
ここで紹介される諸国は、ソマリアを除き資源国。
欧米や中国の資源メジャーがアフリカ諸国の貧富を拡大させ、資源の盗掘が武装勢力の資金源となる。
一方で、日本に住む我々は、遠いアフリカの地で発生している内戦や虐殺のニュースなど気にも留めない。
それにしても著者がアフリカ特派員生活で繰り返した、決死の取材の数々には驚かされます。
犯罪集団や、武装勢力のリーダーへの命を賭したインタビュー取材。
時には、密入国という手段で国境を超え、内戦の渦中にある地域に潜入する。
大手新聞社の記者といえば、記者クラブでぬくぬくとしているイメージだったけど、そのイメージをよい意味で壊された。
といっても、著者は今は帰国して政治部記者として民主党を担当してるらしいんですが…続きを読む投稿日:2019.01.06
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