日本の農業を破壊したのは誰か 「農業立国」に舵を切れ
山下一仁(著)
/講談社
この作品のレビュー
平均 4.7 (3件のレビュー)
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日本の農業を破壊したのは誰か?
それは、農政とJAと兼業農家。とりわけ「農業問題はすなわち農協問題だ」というほど、JAには手厳しい。じゃあどうすればいいか? 農産物関税を撤廃し、農家に対する直接支払い(財政補填)を導入することと、高…米価・減反政策や農地法などを廃止し、農業人口を減らし、農家の規模を大きくすること。この高米価・減反政策は、零細な兼業農家をコメ作に滞留させて、農地が主業農家に貸し出されることを妨げてきた。しかも、兼業農家が滞留したため、兼業収入も農地の転売収入もJAの口座に預金され、JAを脱農化させさらに発展させた。
JAにとってはコメの兼業農家は重要で、JAバンクに預金してくれる兼業収入や年金収入はJA農協の存立基盤を支えている。ドル箱事業であるJAバンクやJA共済のために、兼業収入に依存する農業としては、主業農家は減っても、兼業農家は維持したい。農業所得より兼業収入の方がはるかに大きいからである。週末しか農業をしない兼業農家にとっても、資材の供給から農産物販売まで何でも面倒をみてくれるJAは便利な存在だった。JAと兼業農家はともに脱農化によって発展した。
農業生産額に占めるコメの割合は、2割にすぎないし、コメの兼業農家の存在は、農業全体にとってはなんら重要ではない。農業にとっては、コメの兼業農家など無視しても構わない。むしろいなくなってくれた方が、主業農家の規模が拡大して、コメ農業は発展する。著者はさらに、小さい農家はコメ作をやめ、農地を主業農家に貸し出せと言う。農地を提供した兼業農家は、ビルの店子のように維持管理をすればいいとするが、全農家の八割を占める人たちの次の雇用は果たして大丈夫なのか?
著者は、食料自給率向上を唱えながら、高米価・低麦価政策のような自給率を下げてもよい政策をとってきた日本を批判するため、減反政策を導入せず、作りたいだけ農家に作らせるEUとを比較しているが、その余剰分がアフリカなどの発展途上国に輸出され現地の農業をズタズタにしてることは紹介していない。また、食料安全保障を深刻に考える必要はなく、主要な穀物輸出国にとって輸出制限や禁輸など愚かしいことはしないはずだし、食料品価格高騰も日本のように所得の高い国では問題ないとするが、見通しが甘くないか?
さらに著者の、農業に多面的機能があるのはわかるが、コストに見合わなければ保護する必要はないし、第一に海外産の方が安ければ、日本で生産することにこだわる必要がないという主張も違和感を覚える。「生産性向上に努力しない農業は保護に値しない」という経済界から目線だけで十分なのだろうか?続きを読む投稿日:2014.02.27
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どの時代も、そして現代も、既得権益を持つ団体(や社会)を相手に立ち向かうのは本当に大変なことだと思う。筆者は文字通り筆という武器で農協と(当時の)自民党政権に孤高に挑み、そしてつい最近になってこの問題…が大きく取り上げられるに至ったのは、一重に山下さんの功績と言って過言でないと思う。山下さんの調査力、筆力、正義感に感服する。続きを読む
投稿日:2014.08.07
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