新・ローマ帝国衰亡史
南川高志(著)
/岩波新書
作品情報
「地中海の帝国」と語られることの多いローマ帝国は,実は「大河と森の帝国」だった? 帝国衰亡の最大原因とされる「ゲルマン民族」は,存在しなかった?──「ローマ帝国衰亡」という古代史上最大のテーマを,歴史学の最新の知見から語り直し,「栄えた国が衰えるとはどういうことか」を考えさせる,刺激的な一書.
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商品情報
- シリーズ
- 新・ローマ帝国衰亡史
- 著者
- 南川高志
- 出版社
- 岩波書店
- 掲載誌・レーベル
- 岩波新書
- 書籍発売日
- 2013.05.21
- Reader Store発売日
- 2013.08.15
- ファイルサイズ
- 5.4MB
- ページ数
- 228ページ
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この作品のレビュー
平均 3.5 (28件のレビュー)
-
良い本なのだが、やはり・・・
南川ローマ史の面白いところは、従来、ローマやコンスタンティノープルといった「中心」から見ていたローマ帝国を
イギリス(ブリテン)などの「属州」、つまり「辺境」から見直しているところにある。
その意味…で言うと、実は本書より、岩波書店の世界歴史選書シリーズの
『海のかなたのローマ帝国―古代ローマとブリテン島』(2003年)をおすすめしたい。
ローマ帝国属州であったブリテン島から見えてくるローマ帝国、
また、ブリテン島を支配していたローマ帝国のようになりつつあるイギリス(=大英帝国)
という目線をクロスさせるこの研究は、古代史に興味を持つ人間にも、近代史に興味を持つ人間にも非常の興味深いものであった。
本書は、『海のかなた~』から約10年を経て書かれたものである。
その10年間の間に、先生はブリテン島以外にも様々な属州について研究され、
それを踏まえた上での「衰亡史」を描いておられる。
ローマ帝国の衰亡、というテーマはそれ自体が歴史となっている。
それが本書の序章でわかりやすく説明してある。
いつも思うのだが、南川先生は先行研究のまとめ方がスマートで好きだ。
それに対して、南川先生が描く衰亡史とは?その新しさと魅力とは?
やはり、属州であり辺境からのまなざしであろう。
そして古代ローマと近代イギリスがクロスするところであろう。
が、少々残念に思うのは、紙面の制約もあり、
『海のかなた~』で感じたような、立体的で躍動的な属州の空気があまり感じられないところだ。
先生の中でも属州で起こった出来事を論理的に整理できたのだろう、良くも悪くもすっきりとまとめてある。
私は『海のかなた~』も他の論文もその他いろいろも知っているので、先生が描いた属州の人々の息づかいは脳内補完できる。
「あの世界」を思い描きながらその成果として、本書を興味深く感慨深く読めるのだが、
本書で初めて南川ローマ史に出会う人はどう感じるのだろうか?
そのあたりがちょっと気になる。
☆4という評価は、『海のかなた~』を☆5として評価すると、そうなるかな、という気持ちで。
よくまとまっていて、概論としては読みやすいところもあるのだが、
あの話とかこの話とか入れられなかったのかな?と思うところがたくさんあって、何だかもったいない気が。
そういうことを思ってしまうのは、私は南川先生の語る属州世界が大好きなんだからなんだと思う(笑)
もし、本書を読んで「悪くないけど物足りない」と感じた人がいれば、
『海のかなたのローマ帝国』を読んでみてほしいと思う。
(これが現在入手困難というのもすごく残念。電子化すればいいのに岩波書店・・・)
続きを読む投稿日:2014.11.30
-
衰亡の原因は結局よく分からず
本家本元のギボン『ローマ帝国衰亡史』にたいして21世紀の衰亡史を書こうとのねらいだそうです。本家は文庫本で全10巻。こちらが断然、手に取りやすいのは確かです。
カエサルの時代(前1世紀)、ローマ最盛…期の五賢帝時代(2世紀)、軍人皇帝時代(3世紀)からまず概観して、コンスタンティヌス大帝、ウァレンティニアヌス朝、東西ローマ帝国分裂(4世紀)、西ローマ皇帝廃位(5世紀)までを扱っています。ローマの歴史に詳しくないので、ざっと掴むのにはありがたい記述の分量でした。
著者の主張は、ローマ人アイデンティティの崩壊=偏狭な排外主義がローマ帝国衰亡につながったと読めます(実はあまり因果関係を明示的に主張してはいないのですが)。しかし、帝国の勢力衰退が排外主義台頭につながったと、因果を逆に考えるほうが素直に思えました。続きを読む投稿日:2014.03.09
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