憎しみに抗って――不純なものへの賛歌
カロリン・エムケ(著)
,浅井晶子(訳)
/みすず書房
作品情報
人種主義、ファナティズム、民主主義への敵意――ますます分極化する社会で、集団的な憎しみが高まっている。なぜ憎しみを公然と言うことが、普通のことになったのだろう。多くの難民を受け入れてきたドイツでも、それは例外ではない。2016年には、難民の乗ったバスを群集が取り囲んで罵声を浴びせ、立ち往生させる事件が起こった。それまでのドイツではありえなかったこの事件は、社会に潜む亀裂をあらわにした。自分たちの「基準」にあてはまらない、立場の弱い者への嫌悪、そうした者たちを攻撃してもかまわないという了解。この憎しみの奔流に飲み込まれないためには、どうしたらいいだろう。憎しみは、何もないところからは生まれない。いま大切なのは、憎しみの歴史に新たなページを加えることではなく、基準から外れたとしても幸せに生きていく可能性をつくることではないだろうか。著者カロリン・エムケはドイツのジャーナリスト。自分とは「違う」存在を作りだして攻撃するという、世界的に蔓延する感情にまっすぐに向き合った本書は、危機に揺れるドイツでベストセラーになった、いまの世界を読むための必読書。
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商品情報
- シリーズ
- 憎しみに抗って――不純なものへの賛歌
- 出版社
- みすず書房
- 書籍発売日
- 2018.03.15
- Reader Store発売日
- 2018.03.15
- ファイルサイズ
- 0.5MB
- ページ数
- 216ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (12件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
移民排斥運動、IS、黒人差別、性的マイノリティ差別等を題材に「憎しみ」の構造を解き明かす、という本なのだけど…。
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「私たちの星で」の信仰の変容の話がまだ心にあって、もうちょっと追っていきたいと思って読んだのだがなんだか毛色が違った。
構造を解き明かす、その構造はともかくだ。本書のようにその構造をもって「差別主義者」を非難するというなら話はかなり変わる。
排斥される側の人間が、一人の人間として見られていない、その地位を回復したいというのなら、排斥する側の人間とて「構造」に押し込めて「差別主義者」「原理主義者」として糾弾するというのはやってはいけないでしょう。まさにそれは本書で解説されている人間性の排除、差別と排斥の構造なのだから。
まして、排斥する人間たちが感じているのは恐怖であり、攻撃されていると考えているのだから、実際に排斥される側から反撃されることでその信条がどうなるかというのは考えればわかりそうなものだ。反撃は正しいけれど、効果的ではない。反撃こそ、彼らの信条を石に変じてしまう。
こちらを人間として扱わせるためには、徹頭徹尾相手を人間として向き合わねばならぬのではと思う。行いによって糾弾すべきとエムケは言うが、私は逆だと思う。行いによって裁くのは法の論理であって、人間として向き合うための論理ではない。
「憎しみに立ち向かうただひとつの方法は、憎む者たちに欠けている姿勢をとることだ」と言うけれど、それは彼らを構造に当てはめるためではなく、非難するためでもなく、人間同士としてかれを理解するためであるべきだと思う。それこそが、一筋の疑いを持って憎しみを穿つすべなのでは。結局排斥される側からそうせねばならないのはあまりに過酷でむごいのだが…。反撃ではなく、表明、手を広げて見せること、相手の人間性を信じるという絶望的な戦い。「今日で終わりにしよう」と言って命を落としたガーナーの姿が多くの人々の心を打ったのは、そういう姿勢があったからなのではないか。
イスラームの基本的な教義に対する理解がないままISに言及してるのも気になる。入門みたいなのでいいから一冊くらい読んで書いて欲しい。そうであればこんなこと書かないだろうな、という文章だ。
「人権」、民主主義、政教分離、そういったものを普遍的法則とか真理と臆面なく言い放つのには驚きしかない。その反証がこの現状でしょう。
「文化的な習慣を維持する権利が人権に優先されることがあってはならない。」それって、どこで線引きをするの?誰が、どんな基準で?これはそんな簡単に言える問題なの?
全ての信仰や信条が共存すべきとうたいながら、エムケが「似非宗教的理想」「人種差別者」と書く時、驚くほど排斥的なのには気が付いているのだろうか。そういう人格を消し去られ「レッテルを張られた人々」は、どこへいくのか?
民主主義、共存社会は今こうした挑戦によって限界に突き当たっている。消し去れない排斥的な思考、宗教すら内包して成熟していくことはできるのかという課題。そいった視点なく、かれらを糾弾するだけでは決して解決しえない課題だ。投稿日:2019.11.20
38
15… 憎しみの効果、「憎しみにさらされる人間をまずは苛立たせ、それから戸惑わせ、最後には信頼を奪う」。それに立ち向かう姿勢は、「正確に観察すること、差異を明確にし、自分を疑うのを決してやめ…ないこと」
続きを読む投稿日:2024.03.25
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