竹島―もうひとつの日韓関係史
池内敏(著)
/中公新書
作品情報
日本と韓国などが領有権をめぐって対立する竹島。日韓それぞれが正当性を主張するものの議論は噛み合わず、韓国による占拠が続いている。本書は一六世紀から説き起こし、幕府の領有権放棄、一九〇五年の日本領編入、サンフランシスコ平和条約での領土画定、李承晩ラインの設定を経て現在までの竹島をめぐる歴史をたどり、両国の主張を逐一検証。誰が分析しても同一の結論に至らざるをえない、歴史学の到達点を示す。
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商品情報
- シリーズ
- 竹島―もうひとつの日韓関係史
- 著者
- 池内敏
- 出版社
- 中央公論新社
- 掲載誌・レーベル
- 中公新書
- 書籍発売日
- 2016.01.25
- Reader Store発売日
- 2016.11.11
- ファイルサイズ
- 7.3MB
- ページ数
- 288ページ
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この作品のレビュー
平均 3.9 (9件のレビュー)
-
日韓双方が竹島を自国の領土であると主張しています。両国政府は、竹島が古い時代から自国の領有権の下にあったといいます。しかし著者は、これら双方の主張がともに、断片的な歴史資料などを自分の都合のよいよう…に解釈して繋ぎ合わせたものに過ぎず、学術的根拠を欠いたものであることを解き明かしていきます。
そして明らかにされることは、実は二十世紀に入るまでは両国とも竹島の領有権に対してほとんど何の関心もなかったらしいということです。結局のところ、1905年に日本が竹島を日本領に編入するとの閣議決定を行ったことが竹島領有権に関する両国を通じての最初の意思表示らしいのですが、このことをもって「竹島は100パーセント日本の領土だ」といえるかといえば、それも疑わしいことのようなのです。
そもそも古い時代においては、全ての土地についてどこの国の領土だとか誰の所有物だとかいったことは意識されていなかったのではないでしょうか。土地なんて、本来は水や空気と同じようなものですよね。それがいつの間にか各国・各人が「ここは自分(たち)のものだ」と言い合っているなんて、考えてみればおかしな話です。
でも、領土問題に限らず国家間、民族間、あるいは同一民族であっても立場や価値観を異にする人たちの間で戦わされている「どっちが正しくてどっちが間違っているか?」という議論のほとんどは、実は真偽などではなく単に好き嫌いの問題にすぎないのでしょう。そして人は、事実に対してではなく信じたいことに対して耳を傾けるものなのでしょう。
“不条理な圧力に左右されることなく、学問的な手続きを経て到達した真実に従って自由な討論と発言ができる。そういう社会を次世代に引き継いでいけたらと切に願う” ── あとがきを締めくくる著者のこの言葉に、潔い学者の良心と信念を感じました。続きを読む投稿日:2018.08.28
日本側に偏らないのは良。
歴史背景と論の整理はされている。
韓国側は単純に資料がないだけか。
とはいえ、韓国側が支配下に置いていた、というほどでもないが、常用していた感はあるか。
韓国側が出鱈目を出し…ている訳ではないということを記述している点だけでも評価。
20世紀初頭からサンフランシスコ条約の背景の影響は大きい。続きを読む投稿日:2023.08.27
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