科学を語るとはどういうことか 科学者、哲学者にモノ申す
須藤靖(著)
,伊勢田哲治(著)
/河出ブックス
作品情報
「こんな的外れでナンセンスな議論をしているなんて、開いた口がふさがらない…」一人の物理屋の感じた哲学ヘの猛烈な憤りから、妥協なき応酬が始まった―科学ではない者が自然科学について語る「科学哲学」に関して、科学者・須藤靖が不満・疑念を率直に問いただし、哲学者・伊勢田哲治が真摯かつ精緻に応じていく。科学と哲学はどこですれ違うのか?科学哲学は何のために存在するのか?
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商品情報
- ジャンル
- サイエンス・テクノロジー - 数学・物理学・化学
- 出版社
- 河出書房新社
- 掲載誌・レーベル
- 河出ブックス
- 書籍発売日
- 2013.06.12
- Reader Store発売日
- 2015.03.27
- ファイルサイズ
- 5.1MB
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この作品のレビュー
平均 3.8 (14件のレビュー)
-
科学哲学という業界に「アホがアホを再生産しているのではあるまいか」と疑念を持つ物理学者と,それを迎え撃つ気鋭の科学哲学者との対談。物理学者の須藤氏の半ば先入観に基づく(しかし科学者が科学哲学に対して抱…く印象としては極めてまっとうな)疑問に対し,科学哲学の伊勢田氏が丁寧に答えていくというスタイル。対談本にしては,予定調和のないガチンコ対決という風情で非常に刺激的。だらだらしゃべって文字起こしという安易な作りではなく,事前の論点整理,事後のやりとりの反映や正確を期するための補足も入念になされていて,文章が散漫にならないのも良い。「科学を扱いながら科学界への具体的提案のない,独りよがりで内向きの学問なのでは?」,「同業の権威者の説や奇異な理論を取り上げて些細な点を執拗にあれこれし,議論が堂々巡りする不毛な業界では?」,「おかしなことを言っているか,当たり前のことをややこしく言っているだけなのでは」という素朴な疑問をぶつけていく須藤氏も,科学哲学に素人とはいえ,入門書を複数読み概要を踏まえた上で対談に臨んでいる。研究や研究室の業務に忙しいまっとうな科学者が,ある程度の興味をもって科学哲学者と率直にやりあうこういう機会は貴重だし,それがしっかりした書籍として世の中に出たのはとても有意義。科学に興味をもつ多くの人にとって示唆に富む内容。
読む人が科学にどれほど信頼を置いているかによって,この本の印象はだいぶ異なったものになりそうだ。頭の硬い科学者を,社会や人間存在というものを踏まえた大局的見地に立った哲学者がたしなめていくという風に読む人もいるだろうし,現場の科学者の常識的・合理的な感覚に対して,哲学者が役にも立たない些末な揚げ足取りを繰り返し極端な懐疑論まで擁護していると読む人もいるだろう。でも,本書から読み取るべきことは,そのどちらでもない。いくつかレビューを見ると,対談は最後まで平行線という感想が目立つけど,哲学の考え方,立ち位置に須藤氏が次第に納得していく様子も見られる。ソーカル事件の顛末を知って科学哲学に対して抱いた敵意と,ビリヤードを用いた旧態依然の因果論に対する激しい違和感で,業界全体に対する感情的な反発をもってしまっていたこともはっきり認めて反省している。その種の多くの誤解は解けたし,二人の間で意見が一致する論点が多々あることも最終的には確認できている。ただ須藤氏は最後まで「学問の目的」という点では納得いかない様子だ。問題設定が具体的で目指すべきゴールのはっきりした科学と,実用性からは幾分遊離した哲学のものの見方にはやはり大きな距離がある。科学のために科学哲学があるわけではなく,科学哲学者は自身の哲学的に興味に基づいて科学を哲学しているのだから,この差はある意味当然なのだろう。
科学の専門家でない立場から科学全体を俯瞰するという行為が,今や密接不可分となった科学と社会を考える上で意味のある営みであることは否定しがたい。仮に現在の科学哲学がそれほど意義ある内容のものでないとしても,学問の世界,特に人文系の学問にはその程度の遊びは必要だと思う。高価な実験器具や大規模な調査など要らないから,たいして金がかかるわけでもないし,大いにやればいいんじゃないかな。いくつか著書を読む限り,伊勢田氏は聡明で知的に誠実な学者だし,彼もその一員である科学哲学業界がまるごとダメダメな業界とも思えない。ただ科学者との交流が少ないのは事実と思われるので,そこは改善の余地がありそう。必ずしも良い関係である必要はなくて,立場の違いからのすれ違い,いがみ合いがあってもいい。この点現状で特に手薄なのはやはり科学者側の科学哲学に対する関心のようなのだが,科学者側になかなか余裕がなさそうなのがネックかも知れない。極端な成果主義を改めて,もっと遊びを設けることができればいいのだけれど…。続きを読む投稿日:2014.09.29
2023-05-13
いやあ、面白いほど話が噛み合っていない。最終的には価値判断に帰することであり、そこはまあ趣味の問題と言ってもいいのだけど、そこに至るまでまだ考えることがあるのではとも思う。
全員…が合意することを目指す営みと、価値判断との境目がどこか、という話か。
また、一方が「取り組む問題を明らかにせよ」というのに対し、「何が取り組む問題なのかが問題だ」と答えて平行線に陥っている気もする。
存在するゴールに到達することが大切と考えるか、あってもなくてもそこに向かうことが大切と考えるか。ここまで来ると結局価値判断ということになるのか。続きを読む投稿日:2023.05.14
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