長崎の鐘
永井隆(著)
/アルバ文庫
作品情報
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天主堂から原子野に鳴り渡る長崎の鐘――、それは今も、世界に向けて平和の響きを伝える。
戦後数多く出版された長崎の証言の中でも、本書は「人類史上もっとも貴重なノンフィクションの一冊」として多くの言語に訳され、『夜と霧』『アンネの日記』と並んで世界的な反響を巻き起こして、映画や歌謡曲にまでなった。
しかし永井隆博士が1946年8月脱稿した原稿は、当初占領軍司令部の発行差し止めを受け、米国防総省に送られ、条件付きで公刊が許可されたのは1949年1月になってからだった。
永井博士は3日間の救護活動が一段落してから、全焼した家で緑夫人の遺骨を拾い、2児の疎開先で医療隊を再編成。そして自らの白血病と不眠不休の救護をおして本書を綴った。永遠の人間愛が今もなお感動と共感を呼ぶ、全人類必読の書。
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商品情報
- シリーズ
- 長崎の鐘
- 著者
- 永井隆
- 出版社
- サンパウロ
- 掲載誌・レーベル
- アルバ文庫
- 書籍発売日
- 1995.04.20
- Reader Store発売日
- 2015.05.16
- ファイルサイズ
- 27.6MB
- ページ数
- 160ページ
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この作品のレビュー
平均 4.1 (12件のレビュー)
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長崎への原爆投下当時、爆心地からわずか700メートルの場所にあった長崎医科大学で教鞭をとっていた永井隆博士。自らも被爆しながらも生き残った者たちと懸命に被爆者の救出、介護にあたる模様を記録した本。医…者としての冷静に傷や病気を観察した模様も描かれており、医療記録としても貴重だと思われる。
涙が出てくるような感動的な話はない。どちらかというと何が起こったのかもわからないまま混乱し、狼狽する描写が続く。なにか相当な破壊力をもった爆弾にやられたらしいことはわかったが、状況を把握できないながらも、けが人の救助、火災からの避難と、なすべきことに邁進する。あたりに転がる無数の遺体。そこには教え子の顔も、同僚の顔もあり、悲しみがこみ上げてくるが、そんなことに気を取られる前に、ひとつでも救える命を救うという医師としての使命感で突き進んでいく。
原爆の話というと悲哀、痛み、憎しみ、虚無感漂うものが多いが、この『長崎の鐘』には医療従事者たちの勇壮な姿が見える。例えとしてふさわしいかわからないが、米ドラマの『ER』みたいだ。
この本、先にレポを書いた『ナガサキ 消えたもう一つの「原爆ドーム」』のなかで、気になったことがあったので読んだ。それは永井博士の「原爆は神の御摂理」という思想だ。
とんでもない思想だ、という意見は当時も今もある。自分もそう思った。なんでそんなこと言ったのだろうと気になった。
本の中では、ある信者の問いかけに対して、この言葉は語られていた。
原爆により妻子を失ったある復員兵の問いかけ。たぶんキリスト教徒の土地である浦上に原爆が落ちて、諏訪祭神を祀る市内中心地の犠牲者が比較的少なかったという事実を受けてのこと。
「誰に会うてもこういうですたい。原子爆弾は天罰。殺された者は悪者だった。生き残ったものは神様から特別なお恵みをいただいたんじゃと。それじゃ私の家内と子どもは悪者でしたか!」
それに対する答えとして語られたのが「原子爆弾は神のみ摂理」だった。
神は罪深き人間の行いを嘆き多くの罰を与えた。日本以外でも多くの大聖堂が焼かれ、キリスト教徒が殺された。それでも神は許されなかった。浦上の地でも長いこと迫害が続いた、しかしとうとう原子爆弾を最後に神は罰をあたえることを止めた。
原爆で死没した人々は汚れなき羔(こひつじ)として神に捧げられたのだ。(だから天使に囲まれて昇天した) 生き残った被爆者たちには神がまだ試練をあたえているのだ。我々(被爆者)は天国への入学試験に落ちた落第生だ。
この考えはあくまで同じキリスト教を信じる同志に対して語られた宗教観であって、あくまでも魂を救うための説教なのだ。だから別に責められるべきものでもないと思う。この考え方で信者が絶望の淵から立ち直り、前を向けるならそれでいい。いうなれば救済のための方便だ。全世界に向けて普遍的なメッセージを発したわけでなはい。
問題なのは、この考えを戦争の正当性に当てようとする邪な考え方だ。
文面から察するに永井博士も原爆を否定している。原爆の悲劇は浦上が最後でいいと願っている。そもそも宗教人なんだから、だいたいのことは神のみぞ知るなのだ。
だからまだ根強い、原爆が必要悪だったという考えに同調する必要はないし、被爆国の日本人としては、そのような邪な考えを絶対悪として断罪すべきであることに変わりはない。
続きを読む投稿日:2017.08.09
医師の書いた原爆記です。医学的、物理科学的な考察で書いています。当然、原爆の悲惨さも描かれていて核兵器の恐ろしさも感じます。
投稿日:2016.09.27
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