第二次世界大戦 1
W・S・チャーチル(著)
,佐藤亮一(訳)
/河出文庫
作品情報
強力な統率力と強靭な抵抗精神でイギリス国民を指導し、第二次世界大戦を勝利に導いた歴史的な政治家チャーチル。本書は、歴史の舞台に直接参加した彼の手による、最も信頼すべき最高の第二次世界大戦の記録だ。深い歴史観に基づく著作活動によってノーベル文学賞を受賞した彼の歴史物語を堪能できる。第1巻は、一九一九年から第二次世界大戦勃発の翌年までを描く。
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商品情報
- シリーズ
- 第二次世界大戦
- ジャンル
- 教養 - 戦記(ノンフィクション)
- 出版社
- 河出書房新社
- 掲載誌・レーベル
- 河出文庫
- 書籍発売日
- 2001.07.01
- Reader Store発売日
- 2012.06.29
- ファイルサイズ
- 2.1MB
- ページ数
- 373ページ
- シリーズ情報
- 既刊4巻
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この作品のレビュー
平均 4.1 (23件のレビュー)
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実際の為政者が書いたノーベル文学賞受賞作
誰もが知る第二次世界大戦中の大英帝国の首相であったW.Sチャーチルの書いたノーベル文学賞作品
敗戦国である日本人は、かの戦争は、自虐的あるいは、必然性うたったような総括になりがちであるが、全く異なる立…場であるイギリスの戦争への道。その政治的行動や原理が非常にわかりやすく書かれている。また首相として実際に行った政策や戦争での作戦、さらには当時の為政者について、我々が知る教科書に載るようなものから、初めて知るものまで、書かれていて、発見が多い。
歴史好きはもちろん、イギリスに興味がある方。またチャーチル自体に興味がある人にまで、ぜひ読んでほしい
続きを読む投稿日:2013.09.24
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平和主義がヒトラーの勢力拡大を助けてしまったのか
イギリス首相を退いたチャーチルが唯一要求したものは大戦中を含む公文書を自由に見られることだけだった。そのチャーチルが書き残した「第二次世界大戦」全6巻を改変したのが本書で、第1巻は第一次大戦後の軍縮が…進む中、ヒトラーが政権を握り軍備を拡張し戦争を始める間の英仏両国の動きを描いている。そして政界に復帰したチャーチルがついに戦時内閣の首相に任命される。チャーチルの見方に立てばこの戦争は容易に避けることが出来た。しかし平和主義が英仏両国の軍備拡張を拒んだがために、領土拡大の野心を見せ挑戦するヒトラーを牽制出来ず勢い付かせてしまった。
ドイツに対する賠償支払いの要求は1ポンド43兆マルクと言う強烈なインフレを呼び自然と国家社会主義へと集まる下地が出来た。帝国主義に変わる勢力としてロシアの革命による共産主義とその影とも言えるファシズムが力をつけ始めていた。しかし国際連盟は創設され1934年まではドイツの武装勢力はまだ国連に歯向かえるほどの力はつけていなかった。
1918年にまだ無名の伍長だったヒトラーは19年9月にドイツ労働者党に加わり翌年2月の第一回大衆大会では議事を取り仕切り党の綱領を説明した。この頃からゲーリング、ヘスなどのヒトラー派が党内で力を持つ。1924年に収監されたヒトラーは「わが闘争」を練り上げた。ヒトラーとナチ党の勢力拡大にこの頃の戦勝国側は気がついていなかったが、1928年にはわずか12議席だったのが、30年に107、32年に230となりユダヤ人に対する迫害は激しくなっていく。
ヒトラーは権力闘争に勝ち残り、大恐慌が生んだ大量の失業者はヒトラー支持にまわった。33年ヒトラーのナチは過半数の支持を取り付け3月の第三帝国第一回国会は向こう4年間ヒトラーに非常時大権を与えることを決めた。粛清により軍の実権を握ったヒトラーは着々と軍備を拡張し、それを支える工業力をフル稼働させていく。一方で平和を望むイギリスはチャーチルが求めた空軍の増強を却下した。大戦開始時にはイギリス空軍は性能ではドイツを上回っていたが数では半数に過ぎなくなってしまったのだ。
35年の再軍備宣言は明らかな条約違反だったがイギリスはドイツの艦艇数をイギリスの1/3にするという新たな協定を同盟国のフランスや国連にも無断で結んだ。一見するとドイツ海軍の増強を制限する協定だがここで認められた艦艇数はドイツの工業力を超えたものであり、さらにUーボートの製造は含まれないなど実質的にはドイツを制限するものではなかった。
1936年ヒトラーはついに非武装地帯のラインラントに進撃した。この時ドイツ軍の将軍たちは消極的だったがヒトラーは賭けに勝ち以降軍はヒトラーに逆らえなくなっていく。イギリス首相は戦争の危険を冒すことはできないと実力行使には否定的で内部に強力な共産主義勢力を抱えるフランスもイギリスの後押しが無ければ国論を統一できない。そしてヒトラーの行動を制限する最大のチャンスは失われドイツはさらなる戦争に突き進む。
ラインラントの防壁がオーストラリア併合と続くチェコ侵攻を助け、ヒトラーはチェコとともに同時期のイギリスの兵器生産量に並ぶスコダ工場を手に入れた。領土は拡大し、工業力と1千万人の人口を手に入れとうとう独仏の戦力は逆転する。35年ならフランスは単独でドイツを再占領できたかもしれない。そしてのちのドイツ側の発表によると38年でもまだフランス側が優勢だった。
1939年9月1日ドイツはポーランドに侵攻し、3日イギリスは最後通牒を送り第二次世界大戦が開始された。チャーチルは戦時内閣の海相として入閣したようやくチャーチルが自分の力を発揮できる地位が与えられたのだが、もしもっと早くドイツに対する制裁を始めていれば第二次世界大戦は違った進行をしていたのだろう。アメリカの様にどこにでも乗り込んで行くのが平和につながるとは思わない。しかし、平和主義で有れば戦争を避けられるというわけでもない様なのだ。続きを読む投稿日:2015.05.29
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