ミレニアム2 火と戯れる女(上・下合本版)
スティーグ・ラーソン(著)
,ヘレンハルメ美穂(訳)
,山田美明(訳)
/早川書房
作品情報
女性調査員リスベットにたたきのめされた後見人のビュルマンは復讐を誓い、彼女を憎む人物に連絡を取る。そして彼女を拉致する計画が動き始めた。その頃ミカエルらはジャーナリストのダグと恋人ミアが進める人身売買と強制売春の調査をもとに、『ミレニアム』の特集号と書籍の刊行を決定する。ダグの調査では背後にザラという謎の人物がいるようだ。リスベットも独自にザラを追うが、彼女の拉致を図る者たちに襲撃された! 今世紀最大のミステリ三部作、激動の第二部に突入!
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商品情報
- シリーズ
- ミレニアム
- 著者
- スティーグ・ラーソン, ヘレンハルメ美穂, 山田美明
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 早川書房
- 掲載誌・レーベル
- 早川書房
- Reader Store発売日
- 2011.12.16
- ファイルサイズ
- 1.6MB
- シリーズ情報
- 既刊5巻
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この作品のレビュー
平均 4.3 (10件のレビュー)
-
カッコイイ!
ミレニアムの2作目。とにかくリスベット(主人公)がカッコイイ。見た目は長靴下のピッピ。でも人一倍負けん気が強く、正義に燃えている。大切な人の復讐のためなら殺人さえ厭わない。
どうしても映画(スウェー…デン版)のリスベットとミカエルを思い浮かべてしまいます。ハリウッド版は観ていません。リメイクでいい映画なんてあまりなかったから。映画もオススメ。
上下巻で長いけど、一息に読めます。続きを読む投稿日:2015.01.14
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まるでギリシャ神話のような物語
前回までのスウェーデン国内における女性が被る性被害の統計情報のエピグラフは、本書ではいくつかの数式の引用に置き替わっている。
内容とどこまでリンクしているのかよくわからないし、冒頭のグレナダのパート…は意味があるのか、隣室の怪しげな夫妻の行動やハリケーン襲来の話も余計に感じられ、なかなか本筋が始まらず、イライラさせられていた。
さらにはミカエルが、なんとあのハリエットともベッドを共にする仲になっていて、それでいてリスベットとも連絡を取ろうとし続けるなんて、お前はどこまで節操がないのかと呆れてもいた。
上巻の第3部くらいからようやく面白くなり始めたが、それでも下巻でまさかあのような展開が待っているとは露ほども感じられなかった。
だから上巻で目を引いたのは本筋とは関係のない部分。
リスベットがかつての恩人でもあり、いまは脳卒中から深刻な麻痺が残るホルゲルを訪ね、励ました時の台詞が印象に残った。
今後のリハビリへの取り組みを促すつもりで「今後、あなたの助けが必要になるもしれないから、その時は弁護を引き受けてくれないか」という問いかけに、ホルゲルは言葉もうまく喋られないなか「もう年だから…」と断ろうとする。
言い終わらないうちにリスベットが繰り出す次の台詞がとてもいい。
「そうね、そんな気持ちでいるのなら、ほんとに年寄りの能なしだわ。でも、わたしには弁護士が必要なの。どうしてもあなたにお願いしたいの。裁判での最終弁論なんかは無理かもしれないけど、必要なときにアドバイスしてくれればいいから。ね?」
ちょっとぎょっとさせられる程の冒頭の突き放しからのフォロー。
日本人ならきっと「そんなことないわ、ホルゲル。あなただけが頼りなの」とでも言いそうな所だが、そうは言わない。
リスベットの性格もあるのだろうが、こういうところが海外作品に触れる愉しみでもある。
方程式の中で値が確定しない変数を未知数と言うが、本書で暗喩されるこの方程式に準えて物語を解釈すると、未知のXやY、Zがリスベットにもミカエルにも存在している。
リスベットは1991年の捜査資料がなぜ機密扱いになっているのか、その理由がわからない。
一方、ミカエルはビュルマンがこの事件にどう関わってくるのかがわからない。
ブブランスキーら警察は、固執するサランデル単独犯説をなんとか排除してみても、そうすれば動機や犯人が複数ということになるが、凶器である拳銃が一つである謎がわからない。
すべての未知数に値が与えられたとき、それぞれが等式でつながっていく。
人身売買と強制売春を告発する単純な社会派ミステリーかと思いきや、追う者が追われる者に転じたり、弱点のない不死身の敵が現れ、さらには出生の秘密や父殺しなど、まるでギリシア神話のようなスペースオペラが展開される。
最大の敵であるラスボスが父親ってスターウォーズのダースベイダーみたいだし、どんな攻撃もまったく効かない巨人に挑むのが、パオロ・ロベルトという実在の元プロボクサーってなんだよ。
スウェーデン国内ならもちろんお馴染みの存在なのだから、日本でいったらさしずめ井上尚弥がいきなり物語に出てきて、ボコボコにされながらストリートファイトするようなもの。
こんなの絶対ベストセラーになるわ。
というか作者ラーソンは、本書である第2部までを書き終えてから、出版社に連絡を取って契約を結んだらしい。
しかも全10部までの構想を持って。
普通なら第1部を書き上げた時点で連絡しないか?
たいがいの傑作だったぞ、あれ。
それにロベルトは了解済みだったんだろうか?
何より第1部と第2部のこの物語の違いは何だろう?
第1部のヒットを確信してシリーズ化するんだったらきっと、リスベットという魅力的な闇の仕置人というキャラを使って、公的には解決困難だったり、法的には裁かれないような様々な社会問題を、記者であるミカエルたちと協力して解決し、のさばる悪を片っ端から罰していくと思うんだけど、第2部では逆に容疑者として指名手配されちゃう。
第2部にしてこの構想力だとすると、第10部ではどんな展開が待っていたかわからないよな。
つらいのが急死した著者のパソコンには、未発表の第4部の草稿が存在していること(いま出版されてる別作家の手による4部とは別)。
籍を入れてなかったために内縁のパートナーで共同執筆者でもある彼女は、遺産を相続したラーソンの父親や弟と対立し、出版できずにいる。
読みたいよなぁ。続きを読む投稿日:2024.04.24
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