死にたい老人
木谷恭介(著)
/幻冬舎新書
作品情報
もう充分に生きた。あとは静かに死にたい――。83歳の小説家は、老いて身体の自由がきかなくなり、男の機能も衰え、あらゆる欲望が失せ、余生に絶望した。そして、ゆるやかに自死する「断食安楽死」を決意。すぐに開始するや着々と行動意欲が減退、異常な頭痛や口中の渇きにも襲われ、Xデーの到来を予感する。一方で、テレビのグルメ番組を見て食欲に悩まされ、東日本大震災のニュースにおののきつつも興味は高まり、胃痛に耐えられず病院に行く。終いには、強烈な死への恐怖が! 死に執着した小説家が、52日間の断食を実行するも自死に失敗した、異常な記録。
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商品情報
- シリーズ
- 死にたい老人
- 著者
- 木谷恭介
- 出版社
- 幻冬舎
- 掲載誌・レーベル
- 幻冬舎新書
- 書籍発売日
- 2011.09.28
- Reader Store発売日
- 2011.11.25
- ファイルサイズ
- 0.5MB
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この作品のレビュー
平均 3.1 (30件のレビュー)
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死にたいけれど、死ぬのは怖い
推理作家、木谷恭介。
2011年に満83歳となった彼が目標に打ち立てたのは、なんと「断食安楽死」。
一切の食事を断って死へと向かう、その道のりを記した異色のルボがこの『死にたい老人』です。
あらゆる…欲望が希薄になり、老人になってしまった自分に絶望したと語る木谷。
自分の人生を、自分の手で幕引きさせることを決意します。
日本の法律上、彼が行うのは”自殺”。
彼の計画を他人が知ってしまった場合、自殺を止めさせないとその人が「保護責任者遺棄」という罪を負ってしまう可能性があります。
そのため、ひとりで不動産屋にあたって終の住処を探し、計画の前にアシスタントさんにも辞めてもらうという徹底っぷり。
そして徐々に食事を減らしていき、絶食の日々が始まるのです。
死を望みつつも、道中で味わう苦痛からどうしても死への恐怖も感じてしまう。
ひとりの老人の奇妙な死への生き様を、ご覧ください。続きを読む投稿日:2015.08.28
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健康でないと、断食安楽死も出来ないというこの矛盾
もう生は全うした、もう充分だ、あとは静かに死にたい。と願うのは、実際の思いとは裏腹に、紛れもない「死」への恐怖なのかもしれません。いつ訪れるかわからないその日を待っているよりも、完璧にスケジュール管…理した方が安心なのは、総ての事柄に共通することでしょう。一方、人知れずアパートの一室で餓死しているのが見つかる老人達に比べれば、筆者が恵まれた境遇にあることは当然ですし、書かれた時期が、東日本大震災直後ということから、意に反して死に到ってしまった方々に比べれば、なんと贅沢なことを言っているのか、とも思わなくもありません。
それでも、ここに書かれてある内容は、なかなか興味深いものがあります。まず驚いたのは、人に迷惑をかけない様に自ら死ぬことの難しさです。ヘタをすれば自殺幇助を人に課することになってしまうんですね。それに即身仏のように、断食して死ぬと言うことは、よほどの健康体でないと無理なようです。ましてや持病なんか持っていたら、確かにどちらが死因になったのか判らないでしょうし、痛みを伴う様な病ならば、とても耐えられないかもしれません。それにしても、筆者の様に、処方された薬は飲みつつ断食をするというのも、端から見ると少々滑稽な行為ではあります。これは、いままさに入水自殺しようとしている人の腰を思いっきり突き飛ばしたら、「馬鹿野郎!危ないじゃないか!」とその人から怒鳴られるコメディーに等しいものがあります。でも、その滑稽さが人間なのでしょう。
筆者は「はじめに」の中で、第1章と第4章が断食安楽死への経過記録で、第2章と第3章は付け足しであると、書かれています。断食安楽死については確かにその通りなのですが、本当のところは、第2章と第3章の内容について、世の中に問いたかったのではないでしょうか?昭和2年生まれと言いますから、まさに激動の昭和の時代を生き抜いてきた人です。筆者が書かれている様に、戦前、戦中、戦後、そして高度成長期において、資本主義がいつしか産業資本主義から金融資本主義に変質して破綻寸前となっている現在まで体験してきたわけで、ただ普通に生きてきただけでも、とんでもない体験であったことは想像するに難くありません。だからこそ、言いたいこと、書き足りないことが一杯あるんだと思います。またこの部分に、興味深いトリビアが散りばめられています。例えば、最高にラッキーな生まれ年は1900年生まれである、とか、人間には9歳の壁がある、ま、これは養老孟司さんの受け売りらしいですが、なかなか面白いですよ。
もっともっと書いて欲しいのですが、もう体力がないと筆者はぼやかれる。今は断食安楽死を中断しているとのことですが、この本を読み終えると、正直言いまして、断食安楽死についてのルポ?も大変興味があるところですが、もう一つのボヤキの方も、世の中に警鐘を与える意味で、もっともっと書き連ねて欲しいと切に願うばかりです。続きを読む投稿日:2016.05.20
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