潜入ルポ ヤクザの修羅場
鈴木智彦(著)
/文春新書
作品情報
怖くて誰も書けなかった、これが「暴力団の虚像と実像」! 新宿歌舞伎町の通称・ヤクザマンションに事務所を構え、西成の賭場に単独で潜り込み、ヒットマンの壮行会に列席…著者の日常はまるで“東映ヤクザ映画の世界”。警察が山口組の弱体化目的でナンバー2と3を逮捕した2010年の「頂上作戦」以降、組はますます潜行し正体が見えづらくなった。しかし「殺すぞ」などの脅迫にも怯まず15年、暴力団専門ライターとしてヤクザと寝食を共にしてきた経験がここに結実!
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商品情報
- シリーズ
- 潜入ルポ ヤクザの修羅場
- 著者
- 鈴木智彦
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春新書
- 書籍発売日
- 2011.02.20
- Reader Store発売日
- 2011.08.19
- ファイルサイズ
- 0.7MB
- ページ数
- 286ページ
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この作品のレビュー
平均 3.6 (28件のレビュー)
-
ヤクザの取材を専門とする記者が、ヤクザについて語ったもの。15年にも及ぶ取材歴をもち、ヤクザに密着しながらさまざまな経験をしており、説得力があるとともに興味深い。ヤクザの実際の姿を知らない者にとっては…、内容の真偽を判断することはできないが、著者の積極的な取材方法や正直な語り口から、そのほとんどは真実を語っており、核心をついているものと推察する。ヤクザは怖い存在ではあるものの、古き良き日本の伝統を踏襲した、よい人たちの集まりだと思えた。印象的な箇所を記す。
「歌舞伎町で発砲事件が起きたとき、警察は遠巻きにそれを見ている。ほとぼりが冷めるまで待っていて中に入ることはない。アメリカのようにやれとはいわないが、もうちょっと根性を入れてやってほしいよ」
「暴力団規模:1山口組(神戸)45%、2住吉会(赤坂)、3稲川会(横浜)」
「本当は相手を殺した後、死んでくれるのが一番助かる。そうすれば金もかからず捜査も終わる」
「元ヤクザの3割は覚せい剤の密売人となり、もう3割は窃盗団となり、これに加えて2割が暴力団の下請け、もしくは生活保護、女への寄生で生きているだろう。まっとうな仕事をしているのは、1割いればマシと思う」
「一般誌の暴力団記事は、どの程度まで書けばいいのかさじ加減が難しい。差し障りのない記事→面白くない→仕事がこない。踏み込んだ記事→面白い→でもトラブルになったら仕事がこない、となるからだ。例外は突出して硬派な記事だろうが、それだけの記事を記名で書く勇気と、書かせてもらえる信用を持ち合わせているのは溝口敦しかいない」
「(暴力団について)言動のすべては道徳的で、正当なものに思えた。印象に残っているのは、誰もが「地域のために、日本のために力を尽くしたい」と力説していたことだ」
「カタギさんを絶対に泣かしちゃ駄目なんだ。いつも弱い者の味方となり、強い者と喧嘩するのがヤクザの心意気だ」
「金の力は絶大で、同時に怖いものだと思い知らされた。(金をもらうと)当日は相応の罪悪感があっても、翌日になるとそれが半減し、もう一日たつと、当日の10分の1程度しか後ろめたさを感じなくなる。その蓄積は暴力団に対する遠慮に変換され、そのまま文章に反映される」
「芸能界と暴力団の繋がりはいまも続いている。相撲界にせよ、いまさらなにを大騒ぎしているのか、と不思議でならない」
「その賭博には関西のほとんどの博徒が来てた。そのとき、ある組織が関西でも名うての仕事師を連れて行ったんや。おそらく、関東の賭博なんてたいしたことあらへんという意識があったんやと思う。そのとき使うたのが、シャッターいうて、バタバタと目の変わるイカサマ札。せやけど稲川会の合力はすごかった。一発でパシッと見破り、そっと注意したからな。向こうの合力はみな達者やな、思うたわ」
「とにかく、昔の親分はどこの組であろうがみんな器量の大きい人ばかりやった。喧嘩も強いし、根性も情けもある。とくに代紋頭という人は、一種特別やったよ。若い衆がさらわれたとき、白い着物を着て乗り込んで助け、自分が殺されたなんて親分もいるんやからな。組織の大小やない。みんなそのくらい器量があったんや」
「社会の裏側で暗闘を繰り返し、それなりの立場に上り詰めた親分や組長には、苦労の歴史がある。内部闘争を勝ち抜き、他団体との抗争をくぐり抜け、ときには破門となって辛酸をなめながら、幾多の困難を乗り越えていまの立場にのし上がったのだ」
「これまでの社会は暴力団という存在を内包したまま、彼らに一定の役割を与え、それなりに上手く機能させてきた。犯罪者たちの重石となり、反共運動の防波堤となり、バブル期には企業の尖兵となって地上げという汚れ役を引き受けた」
「暴力団が害悪しかまき散らさない完全悪というのは嘘っぱちである。売春、ドラッグ、違法賭博、取立て、会社整理、様々なトラブル解決等々、日本の社会は今のところ暴力団を取り込んだまま、それなりにうまく機能している。汚れ役を切り捨てるなら相応の対価がいる」続きを読む投稿日:2018.11.14
タイトルと中身がちょっと違っていて、特に「修羅場」というようなものはなかった。雑多な文章をまとめた、と言った感じ。
でも自分にはまったく縁のない世界を覗けるのは楽しい。この稼業、かなり先細りしている…らしいが、なんとか長く続けて行ってもらいたいなあ。続きを読む投稿日:2018.12.27
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