星野リゾートの事件簿 なぜ、お客様はもう一度来てくれたのか?
中沢康彦(著)
/日経BP
作品情報
破綻したホテルや旅館の再生ドラマ。星野リゾートが再生を手がけた全国各地のリゾートが舞台。星野佳路社長の「人を活かす再生」によって、意欲を取り戻し、自主的に行動するようになったリゾートのスタッフが、戸惑い、壁に突き当たりながらも、再生への取り組みを軌道に乗せる。日経ベンチャー(現・日経トップリーダー)で連載した「星野リゾートの事件簿」、日経トップリーダーに連載中の「星野リゾートの『教科書通り』で会社を伸ばす」に大幅に加筆して書籍化。──星野リゾートのホテルや旅館が、なぜ顧客を引きつけるのか。そのホスピタリティーの『原点』が明かされる。
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この作品のレビュー
平均 3.8 (62件のレビュー)
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日本の観光をヤバくする、事件が会社を強くする
雲海テラスには行きたいなあと思ってたのだがこれがアルファリゾート・トマムだとは結びついていなかった。
経営破綻トマムの再生に乗り出した星野社長がスタッフに言ったことは「リゾート運営の達人を目指す」「…コンセプトを明確に定め、顧客満足度を上げよう」「全員が自由に意見を出そう」。これまではトップダウンでコストカットばかりが言われていたためスタッフはなかなかなれなかった。顧客満足度を上げるために部門ごとに今後一年の戦略を発表するように言われたゴンドラ・リフト部門は悩んだ結果お客様にあいさつをしようと決め、最初はぎこちなかったがだんだんと慣れていった。ある時戦況報告会で「トマムの夏の魅力を高めるために何ができるか考えよう」というお題が出され途方にくれたゴンドラ・リフト部だったが顧客満足度を上げるという意識は身に付いたものになって来ていた様だ。部長の伊藤がある時ゴンドラ山頂駅付近で作業していて見慣れたいつもの雲海を見ながらふとつぶやいた。「お客様にも、この眺めをぜひ見せたいなあ。ここでおいしいコーヒーを飲んでくつろいでほしいなあ」
ゴンドラ部門7人でどうやってカフェを運営するのか、裏方でそんな経験はない。しかしレストラン部に研修を頼み込みゴンドラのメンテはやり方を見直し時間を作り出した。そして試験営業は大成功だった。よくある発想ならばレストラン部にヘルプを頼んでいただろうが自分たちでやると決めていたゴンドラ部門はその後も雲海予報などお客さんに喜んでもらうためのサービスを考えだしていく。実は星野社長もゴンドラ山頂の景色の魅力には気づいていたのだが方針を決めた後はテラス建設の投資判断以外は全てスタッフに任せた。
この本ではこういった星野リゾートで起きた事件が11例紹介されている。課題は様々だが「事件が会社を強くする」。
例えば軽井沢の「村民食堂」では焼酎水割りを2杯飲みちょうど飲み終わった頃にもりそばが出来上がるのを楽しみにしている常連客がいた。ある時不手際で飲めない熱さのお湯割りが出て来て冷めないうちにもりそばが出て来てしまった。この客が焼酎が冷めるのを待って飲み終える頃にはそばはすっかりのびきっていた。責任者の大串がクレームの電話を受けたのは夜の9時、この日は遅いので翌日直接謝罪に行くことにし先ずこのクレーム内容をスタッフ全員に共有化しメールで議論が進む。次の機会のためのやり直しをどうやるか?
翌日午前中に謝罪に言った大串は昨日の議論で生まれた「やり直し」をさせてもらえないかと件の客に頼み込んだ。「本日はそばと天ぷらの材料、道具一式をお持ちしております。焼酎もお持ちしました。調理スタッフも一緒に来ています。改めてここでメニューをお楽しみいただきたいのです。その準備のために、台所をお借りさせていただきたいのですが」固辞する客を押し切り食事が進むうちにこの客の表情は緩みクレームは笑顔に変わった。
普通に考えればここまでやるのはやり過ぎだ。しかし、顧客のためでなく自分たちのサービスは何か?を見つめ直すためにここまでやる必要が有ると判断したと言うことは伝わってくる。前日の議論のメールは全て星野社長も読んでいたが口は出さなかった。
「日本の観光をヤバくする」リクルートの星野リゾートのエントリーページには若手社員が考えたこのコピーが載っている。星野リゾートのヴィジョンと言って良いだろう。世界の一流リゾートなみに日本の観光を一流にする。そのためには最前線のスタッフの判断の質が問題になるが時には上手く行かないことがある。星野社長は社内での様々な行き違いやトラブルを「事件」と呼び、この事件をその場で何とか収めるのではなく、スタッフに事件の本質を考えさせ原因を追及させ共有化してサクセスストーリーに昇華させることを考えている。それが「事件が会社を強くする」ということだ。
続きを読む投稿日:2014.01.21
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星野リゾートシリーズ3冊目に読んだ本。エピソード集なのでサクサク読める。
従業員自身が主導となって、お客様の満足度を高める。非常に理想的だけども、実際どうなんだろうか?自著の本にも書いてあったけれど…も、中小企業だからこそ小回りやスピードがあると思う。
続きを読む投稿日:2023.03.28
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