
アオイホノオ(17)
島本和彦
ゲッサン
「風の戦士ダン」編開始
劇中では「闇戦士リュウ」というタイトルなんですが、焔くんが雁屋先生の送ってきた漫画原作を読んで、どうやって32ページに収めればいいのか(まともに描けば90ページ要る)と悶える話です。 結局どうなったのかは、リーダーズストアで試し読みができる「風の戦士ダン」1巻の第1話を見ればわかりますが、本作に載っている雁屋先生の原作まんまで池上遼一風に描かれた「闇戦士リュウ」と比較すると、過去の島本先生がどう悩んでアレを描いたのかが判るのでなかなか面白いですね。
0投稿日: 2017.05.27
キッテデカ(1)
高橋遠州,寺沢大介
ビッグコミック
「喰いタン」の切手版
非常識な切手マニアの主人公が、常識人のヒロインにツッコミを入れられつつも、その類稀なる切手の知識を活かして事件を解決する一話完結タイプのミステリ漫画です。 本書と同じ寺沢さんが描いている「喰いタン」を読んだことがあるなら、本作の作風は説明しやすいです。アレの食べ物ネタがそのまんま切手や郵便ネタで置き換えられた感じですね。 登場する切手は「月に雁」などの有名なものから、マニアしか知らないような珍品まで幅広く、全2巻18話と手ごろに読めるので、気軽にミステリを楽しみたい方にお勧めできます。
0投稿日: 2016.11.12
こち亀ジャンプ
週刊少年ジャンプ編集部
こち亀ジャンプ
非常にコストパフォーマンスの高い一冊
単行本未収録作品となった2016年日暮編が描き下ろしで載っている上に ジャンプ連載作家陣が選んだ過去の傑作エピソードが20本も再録されています。 その他はおまけ程度ですがジャンプ連載作家によるこち亀のコラボ短編や 描きおろしイラストなども。 雑誌増刊扱いなので、500円の割にはページ数が多いのもお得感があります。 単行本を買いそろえるほどではないが、こち亀を手元に置きたい人におすすめの一冊。
0投稿日: 2016.10.14
緑の黙示録
岡崎二郎
アフタヌーン
タイトルが意味深
樹木と意思疎通ができる少女というメルヘンチックな導入から始まる本作ですが、SF漫画の第一人者である岡崎氏だけあって、物語はどんどん広がっていきます。 植物に疎通できる「意思」が存在するということは、それが人類に友好的とは限らないわけで、さらに全ての樹木は人類を殺傷する能力が秘められていることが判明。その上、樹木の「意思」とは単一の樹木に宿るのではなく遠く離れた複数の樹木が共有することが示され……。 連作短編として2001年から2003年にかけてアフタヌーンに4本が不定期掲載された本作が、不人気で打ち切られたのか、これ以上は蛇足だから作者の意思で筆を置いたのかは定かではありませんが、この巻に収録された4本だけでも作者が今後描こうとしていた展開がある程度想像できますし、何よりも「緑の黙示録」というタイトルがこの後の人類の行方を暗示しています。
0投稿日: 2016.06.18
金魚屋古書店(1)
芳崎せいむ
月刊IKKI
シリーズの1巻ではありません
別の出版社で連載していた「金魚屋古書店出納帳(上下巻)」の続編にあたるシリーズです。一話完結色が強いのでこの巻からでも十分楽しめますが、「出納帳」もリーダーストアで販売しているので、そちらから先に読んだ方がいいと思います。
0投稿日: 2016.05.18
オバケのQ太郎(1)
藤子・F・不二雄,藤子不二雄A
てんとう虫コミックス
貴重な初期作品が読めます
以前小学館から出ていたオバQの単行本は「傑作選」だったので未収録作品が多かったのですが、この第1巻に収録されているのは傑作選に入ってなかった作品がほとんどとなっています。 まだ設定が固まっていなかった頃の初期作品なので、Q太郎の毛が3本になる前の話もありますし、サブキャラクターはよっちゃんと木佐くんが少々出てくる程度でゴジラやハカセ、ドロンパは未登場。また、Q太郎が大原家の下に豪華な地下室を作ってそこを自分の部屋にしているという、後に引き継がれなかった設定も登場。なかなか興味深いものがありました。
0投稿日: 2016.05.12
アスカ@未来系(1)
島本和彦
月刊サンデーGX
島本先生としてはシリアス寄りの作品
自称未来人の転校生が、ヒロインを守って戦う超常能力アクション漫画。いつもの島本先生の作品は主人公が何も考えずに行動して勢いで強引にストーリーを進める傾向が強いのですが、本作の主人公は「行動する前に考えるタイプ」であり、落ち着いた雰囲気の作品となっています。とはいえ、完全にシリアスではなく、随所にギャグも盛り込まれていますが。 どうやら連載を打ち切られたらしく全三巻で終わってますが、それほど尻切れトンボ感も無くきれいにまとまってますので、いつもとはちょっと違う島本漫画が読みたい方にはお勧めできる作品です。
0投稿日: 2016.04.07
和算に恋した少女(1)
中川真,風狸けん
ビッグコミック
数学をテーマにした推理漫画です
無料で期間限定配信されていたので、予備知識なしで読んでみたら面白かった。 タイトルからは分かりにくいのですが、江戸時代を舞台に、算術家の少女と同心の中年男のコンビが様々な事件を解決する推理漫画でした。逆に「恋した少女」という割には恋愛要素は全くなし。劇中では数学問題が登場するのですが、数学というよりは論理パズルに近いものが多いので、レイトン教授シリーズのようなゲームが好きな人におすすめ。 「ヒロイン父親の失踪」というシリーズを通した筋も一応あるのですが、基本的に一話完結なので、この巻だけでも十分楽しめました。全三巻とのことなので、余裕があるときに続きも有料で読もうかと思います。
0投稿日: 2016.02.08
鉄子の旅(6)
菊池直恵,横見浩彦
月刊IKKI
高橋留美子ファン必見!?
高橋留美子先生の担当編集者がゲスト出演した回では、なんと高橋先生が横見さんがめぞん一刻の響子さんとデートするシーン(妄想)を1ページ分描き下ろしで提供しています。漫画には興味がない横見さんも「めぞん一刻」は全巻持っているとのことで、きっと感激したのではないでしょうか。 連載はこの6巻で一応最終回を迎えているのですが、その後描かれた読み切りをまとめた「鉄子の旅プラス」が出ているらしいので、早めの電子書籍化を望みます。
0投稿日: 2016.01.29
「ガンダム」を創った男たち。上巻
大和田秀樹,矢立肇・富野由悠季
ヤングエース
事実をもとにしたフィクション
当時の冨野監督はまだ禿頭じゃなかったし、話の内容もかなり誇張されています。ただ、事実そのままじゃないにせよ実際にあった話を元ネタに書かれているので、当時の雰囲気を覚えてる人は懐かしさを感じますし、当時生まれてなかった若い人たちも、「こんなことがあったんだ」と楽しめるんじゃないでしょうか。話の合間に載っている当時の状況を解説するコラム記事も素晴らしい。 この漫画の「事実をもとにして80年代のオタク業界をギャグマンガとして描く」作風は、島本和彦氏の「アオイホノオ」に通じるものがありますね(真似したとかそういう話じゃなくて、この漫画が面白かった人は「アオイホノオ」も楽しめるだろう、という意味で)
0投稿日: 2015.11.02
