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r1-sd00600pさんのレビュー
いいね!された数46
  • テロリストのパラソル

    テロリストのパラソル

    藤原伊織

    角川文庫

    バーボン片手に読みたくなる ハードボイルドアル中おやじ活劇

    学生運動全盛期を東大で全共闘に属すものんきに過ごしてきた、知的で敏捷で元プロボクサーで指名手配犯な今はアル中のおやじ。 爆発テロに巻き込まれ、全容を把握するために立ち上がった主人公が路上生活からカーチェイスを繰り広げ、最後は畳み掛けるようにすべての伏線が繋がる。 すがすがしい読み心地と、バーボンを片手に読み進めたくなるハードボイルドさがたまりません。 アル中がモテるというのも最後にはうなずけます。長旅を短くしてくれる代物です。

    4
    投稿日: 2014.03.27
  • 大空のサムライ

    大空のサムライ

    坂井三郎

    光人社NF文庫

    世界で100万部のベストセラー ゼロのエースパイロットが書いた渾身の事実

    激戦の記録を清々しく本物のゼロのエースパイロットが書いています。 事実と独特の文章にぐいぐい引き込まれ、分厚い量も一気に読み進めます。パイロットとしての努力、研ぎ澄まされた技術や技巧とたぐいまれな強運によりあの悲しい戦争を生き残った人生を知り熱く深い感慨を胸に抱きました。 最後のメッセージは現代人にあてたものとして刻み込まれます。

    6
    投稿日: 2013.10.17
  • 楽園のカンヴァス(新潮文庫)

    楽園のカンヴァス(新潮文庫)

    原田マハ

    新潮文庫

    夢のような7日間 小説内の物語の全七章が始まると一気に最後まで読み進みます

    アンリルソーの絵画を手元に、物語を読み進めるとより没頭できます。 伏線が前半に張り巡らされており冒頭は少し退屈だが、二人のキュレーターの掛け合いと絵にかける思いが渦巻き、最後にバトラーの正体が判明するところで全身がしびれました。 是非とも読んでいただきたい一級小説です。

    1
    投稿日: 2013.10.09
  • 零戦 その誕生と栄光の記録

    零戦 その誕生と栄光の記録

    堀越二郎

    講談社文庫

    アイデアというものは、その時代の専門知識や傾向を超えた、新しい着想でなくてはならいない。

    その実施は人より早くなければならない。戦果をうるには、時代に即応するのでなく、時代より先に知識を磨くことと、知識に裏付けられた勇気が必要である。 零戦(ゼロ戦)の設計者で、スタジオジブリの「風立ちぬ」主人公のモデルである堀越二郎著書。 私は映画は見てないが、永遠の0を読み作中たびたび登場した著者に興味を持ち手に取りました。 60年もの昔、世界の最新鋭の戦闘機を圧倒的凌駕する性能、わずか1,000馬力のエンジンで、ゼロを見たら逃げろとまで米軍のパイロットに言わしめたその芸術的な機体を時代遅れで工業も発達していない当時の日本で氏がつくり得た裏には何があったのか。それを如実にあらわしたのがこの文章だと思います。 当時の零戦の試作機は名古屋の三菱の工場から岐阜の各務ヶ原基地まで牛車二台を使い1日がかりで運んだそうです。 そんな時代背景で登場した世界一と言われた機体がいかにものすごい奇蹟であったのかがよくわかります。 永遠の0を読まれた方も是非一読ください。

    1
    投稿日: 2013.10.03
  • 塩狩峠

    塩狩峠

    三浦綾子

    新潮社

    実話に基づく 魂を揺さぶられる物語

    明治42年、小説の舞台となる塩狩峠に差し掛かった旅客列車の客車最後尾の連結器が外れて暴走、その車両に乗り合わせていた鉄道職員の長野が身を挺して暴走を食い止めたという実際に起こった事故を基にした作品。 最近のJR北海道による脱線事故や補修せずに放置していたニュースを見ているとこの作品をもう一度関係者に読み直していただきたくなります。 キリスト教を主軸にした宗教的な部分を多く含むものの、宗教を意識しなくとも魂を揺さぶられるような感動を覚えるはずです。 人間としてあるべき道を問う小説。

    2
    投稿日: 2013.09.29
  • 三浦綾子 電子全集 塩狩峠

    三浦綾子 電子全集 塩狩峠

    三浦綾子

    三浦綾子 電子全集

    実話に基づく 魂を揺さぶられる物語

    明治42年、小説の舞台となる塩狩峠に差し掛かった旅客列車の客車最後尾の連結器が外れて暴走、その車両に乗り合わせていた鉄道職員の長野が身を挺して暴走を食い止めたという実際に起こった事故を基にした作品。 最近のJR北海道による脱線事故や補修せずに放置していたニュースを見ているとこの作品をもう一度関係者に読み直していただきたくなります。 キリスト教を主軸にした宗教的な部分を多く含むものの、宗教を意識しなくとも魂を揺さぶられるような感動を覚えるはずです。 人間としてあるべき道を問う小説。

    0
    投稿日: 2013.09.29
  • 神々の山嶺(下)

    神々の山嶺(下)

    夢枕獏

    集英社文庫

    痺れる 圧倒される のたうつ 放心状態

    上下巻、一気に引き込まれます。羽生の生き様に魅せられ、まさしく息つく暇なく手に汗握り、肩に力が入る小説です。 読んで絶対後悔しないそれでいて大きな影響を受ける作品です。 上巻の前半は冗長さを感じます、その後一気にリアルな山岳の世界に引き込まれます。 読後、まいったと放心状態になること間違いないです。

    3
    投稿日: 2013.09.29
  • 神々の山嶺(上)

    神々の山嶺(上)

    夢枕獏

    集英社文庫

    手に汗握る 徹夜ものの山岳小説!羽生のいきざまが心臓に染みる

    圧倒的なリアリティと手に汗握る展開。それでいて謎解きを追う山岳小説はこの神々の山頂の他に知りません。 登山家カメラマンの深町がある実在の人物が落としたとされるカメラを偶然手にしたところからはじまる。 山を登るわけでもない私がその魅力に引き込まれる相当な調査に基づくリアリティ、そして文面から伝わる羽生の圧倒的なオーラ。 読み進めるうちに狂おしいまでにひたむきに山と向き合う羽生が求めるものが一体何なのか、そして山岳界もっとも謎とされた登頂実績にまつわる事実はいったいなんなのか?下巻に向かいずんずん引き込まれていきます。 山岳ファンのみならず一級のエンターテイメントとしてどなたにも楽しんでいただけます。

    11
    投稿日: 2013.09.29
  • ロスジェネの逆襲

    ロスジェネの逆襲

    池井戸潤

    ダイヤモンド社

    視聴率42%でのドラマ終幕で続きが気になる方必見!

    期待を裏切るような納得しがたい終わり方、次を期待させる終幕にもんもんとしている人は手に取ってみてください。胸のつっかかりが解消されます。 まるで往年の水戸黄門をみるような展開、正しいことは正しいと溢れかえる情熱を持った半沢が、既成の組織や体制、悪役?に挑み続け、みえを切る!それも相手は会社や組織といった漠然としたものではなく、まさに際立った悪役人物を登場させるその明確さ。 閉塞感ただよう展開からストレスを受け続けるが、最後には読み手のカタルシスを一気に解放する、実に清々しい感情解放により一度読み始めたらとまりません。 早く読んで、感想をドラマを見て熱いうちに友人と語り合いたい。そんな作品です。 映画化が期待されます。

    1
    投稿日: 2013.09.29
  • 天使の囀り

    天使の囀り

    貴志祐介

    角川ホラー文庫

    線虫地獄 貴志祐介最高傑作とも呼ばれる異色ホラー 映画化だけはやめてくれ!

    冒頭から、後ろ寒い恐怖と緊張分厚いページ量に精神が削られる思い。あー早く終わってくれ、やっぱりでも終わらないでくれと思い直せるほどの引き込まれ具合。息つく暇ないとはこのことか! 実際に起こり得るような恐怖、線虫地獄。ホラー好きな方はこの小説をぜひ手に取ってください。圧倒的な恐怖と緊張があなたを襲います。 序盤専門的な描写が目立ちますがこれは後半への布石となっています。おぞましさやグロさもひとつのホラー作品として恐怖でまとめた傑作です。起こり得る恐怖、感染を避けたくて読後、インターネットで調べてしまいますよ・・・

    5
    投稿日: 2013.09.28