
貴方は嵌められたのですよ?
仲倉千景,柚木ゆきこ
Comic ZERO-SUM
これは良い
短編なので場面切り出しの短いお話ですが、最後にニヤッとするし、ほくそ笑めて良い。うん、馬鹿は退場しやがれー、です。
0投稿日: 2022.06.25
キャプテンハーロック~次元航海~ 1
嶋星光壱,松本零士
チャンピオンRED
アツイ!
熱い…アツイ男たち(と女たちと一羽と一匹)の話です。 心を震わせるものが読みたい。アツイものが読みたい。そういう人にも、スペースオペラが好きという人にも、オススメです。 絵柄もとても綺麗ですし、そのうえ、迫力もある。 さらに、かつて読んだことのある松本零士先生のキャプテンハーロックのイメージを損なうことなく、しかもただの絵マネではないオリジナリティもちゃんと感じる絵柄なのがものすごく好印象でした。 松本零士先生のキャプテンハーロックが好きだった人も、「あのイメージが崩れたら嫌だな…」という心配はあまり必要ないと思います。トチローとか鳥さんとか(他にもモブ含めて)激似です。 映像で見たCGのキャプテンハーロックは中途半端に似ているような似ていないような絵面のせいで「なんだこれ…」となって物語になかなか入り込んでいけませんでしたが、本作は激似と美麗さとオリジナル部分がうまく融合していて世界観にスッと入っていけました。 女性もご一読を!とオススメの作品です。
0投稿日: 2017.03.07
黒猫の遊歩あるいは美学講義
森晶麿
早川書房
ちょっと読みにくい
作者さんのせいではなく、文章変換のせいで、ですが。 「…」が全て縦書き本文中にも横書きで表示されているので「…え?」となります。 文章の世界にはまりきれなくて、すごくもやっとする。 電子書籍に変換する場合には、変換元はそういうところ、ちゃんと気を付けてもらいたいなと思います。他にもあるけど、今回はすべての「…」がそうなので、ちょっとひどいなぁと。 作者さんの文章は、テンポのいい会話と脳内映像で補完できる行間の『隙間』が程よいバランスでとても読みやすいと思います。むしろ、「…」がちゃんと縦書きになっているなら、電子ではない書籍の方がいいかも。
0投稿日: 2016.08.30
放浪の戦士 デルフィニア戦記1
茅田砂胡
C★NOVELSファンタジア
1-4が第一部
と、いう感じで、ぜひ1巻から4巻までは一気に読んでいただきたい作品です。 (グインサーガの第一部もぜひ一気読みしていただきたいのと同じように) 剣と剣で戦う文明世界の話かと思いきや魔法要素が入っているのがちょっと難点だったという意見も私の周りにはありましたが、とくに1巻から4巻はそのバランスが良く(魔法要素少な目)、物語にのめりこむ、というのが共通の感想です。 作品中のキャラクターのどの人物設定も素晴らしく(悪役は悪役、小物は小物としても)世界観さえ気に入っていただけたら、いつでも持ち歩きたいシリーズになるのではないかと思います。
0投稿日: 2015.09.10
トリニティ・ブラッド Rage Against the Moons フロム・ジ・エンパイア
吉田直,THORES柴本
月刊Asuka
本当に素晴らしい(未完が悔やまれる)
著者(吉田直氏)の逝去が本当に残念。未完がこれほど残念なシリーズは久しぶりです。未完と解っていても、先が読みたいと思うし、ぜひ、既刊分をたくさんの人に読んでもらいたいです。 大災厄という出来事があった未来世界という設定に基づき、高度な機械文明と中世ヨーロッパを髣髴とさせる実世界のアンバランスさのバランスがとても絶妙です。 吸血鬼はモンスターではなく人類の一種、という設定も面白くて好み。基本は吸血鬼対吸血鬼始末人(ヴァチカン)の話です。吸血鬼とか吸血鬼始末人という設定とか大好きなのですが、そうでない人にもぜひこの世界観は味わってもらいたい。 キャラクター夫々が非常に個性豊かですが、キャラクターの強い個性が物語の邪魔をしないのは文体や文章、イラスト(THORES柴本氏)から醸し出されている空気によるものかもしれません。キャラクターがたっているといっても、昨今溢れかえっている『特筆はキャラクターの個性だけで物語の中身や文章は軽っ軽のスッカスカ、記号は文章じゃないだろー』と言いたくなるような作品とは全く違います。しかも、文体や話はまったく軽くありませんが、ざくざくと読ませてくれる素晴らしい作品です。
2投稿日: 2015.09.10
鬼平犯科帳(一)
池波正太郎
文春文庫
単なる歴史小説ではない
時代、生活、人情、様々な物を垣間見ることができる小説。 特に池波正太郎は食べ物の描写が上手い。ちょっとした日常ともいえるそういう物事の描写がありありと目の前に浮かぶようなものであるからこそ、血なまぐさいところも人情あふれるところも、また活きてくる。 単なる捕物小説としてのみならず、人情物としても鬼平シリーズはピカ一ではないでしょうか。 一話一話はまったく長くないのに、その重みはどっしりとした一冊物に匹敵するもの。読後になんともいえない後味が残る時もありますが、それもまた一つの味、うま味と楽しんで読みたいシリーズです。
7投稿日: 2014.11.11
封殺鬼 鵺子ドリ鳴イタ1
霜島ケイ,也
ルルル文庫
このシリーズが好き
神島桐子編は某文庫で出た花闇~が鵺子ドリ~の数年前で初出にあたりますが、そちらは未読でも内容的には問題ありません(そういう意味で、この作者さんは書き方がホントに上手だと思う)。 全5巻の1巻目ですが、最初からぐだぐだしたところもなく、ついページを先へ先へくってしまうテンポで展開していきます。本家同士の対立と書いてありますが、対立自体はそんなにないです。京都の出先というかむしろ島流し的扱いにもなっている東京の家人たちとの関わりや志郎との関わりを通して桐子が少しずつ変わっていくのを、人喰いだ闇だ鵺だという一見(?)物騒な話題の合間に垣間見せてくれていて、楽しいです。ところどころに用意して下さっている笑える場面と言うかツッコミ入れたくなる場面が、また魅力的なシリーズですね。 昭和初期という舞台にとても良く合っていて入りこみやすいと思います。 鵺子ドリの前の花闇がルルル文庫から出版された時に鵺子ドリ~と同じ也さんのイラストになりましたが、この時の表紙がもうすっごく素敵で‥‥。也さんのイラストで洋装(黒いコートですよー)のユミちゃんが見られてすっごい嬉しかった記憶があり、今回も迷わずイラスト完全版を選択。おー、ユミちゃん別嬪さんなのに可愛いなー♪♪聖さんもカッコイイのに可愛いなー♪別嬪さんのユミちゃんに「この顔で海苔巻き食うか」って吹き出しそうな志郎ですが、そのうちこの顔でテントで雑魚寝しちゃうんだぜ‥と教えてあげたい。きっと彼なら吹き出すに違いない。 也さんのイラストで平安時代とか明治時代辺りのユミちゃんと聖も見てみたいのになぁ‥。
2投稿日: 2014.11.09
封殺鬼 数え唄うたうもの
霜島ケイ,カズキヨネ
ルルル文庫
いい感じです
歴史的観点、民俗学的なこととオカルトとうまく融合していると思います。 実際に歴史的にこんなことがあっただろうなぁと思うような場面もあり、そして、こういうこともありえるだろう(祟りとか伝承とか)と作者のえがく世界にどっぷり浸かって楽しみました。 封殺鬼撰集を読んでからでしたら、「お?」というところが多少あろうとも全然平気でいけると思います。とはいえ、一番「お?」となるのは今回の主人公の一人でもある三吾についてなのですが、私は全然平気でした。話の内容は通じますし、これ一作で三吾が『今現状』どういう人物でこれ以前の現代編で『多少どういうことがあったか』も推測することが出来ます。 (キャンバス文庫のイラストが私的にはノーサンキューであまりにも好かないものですから現代編は撰集しか読んでいません。某所やレビューであらすじは細かくチェックしておりますので話しは知ってますが。ルルルにきてやっと私のイメージに合う弓生さんになったのが何より嬉しい) ルルル文庫で出ている過去編はお読みいただくと、鬼二人のヒトトナリとか突っ走り加減とか楽しめますので事前に読むことをお勧めします。 とにかくなぜイラスト完全版で購入したかと言えば、クールビューティー弓生さんwith眼鏡のイラストを大きく見たかったから、その一言に尽きます(過去編だと眼鏡がなーい)。 私のように鬼とか陰陽師とか真言とか興味があったりそういう題材が好きな人&夢枕獏とかはちょっと重いんだけどそういう題材は好きという人にはお勧めできます。
1投稿日: 2014.10.29
白い巨塔(一)
山崎豊子
新潮社
考えさせられる
ドラマにもなってますし、そちらを見てから本を読んでも、本を読んでからドラマを見てもいいと思います。 中学生の頃に自宅の本棚にあったのを手に取った時は途中で挫折しました。人間というものが難しすぎて。 大人になってからはまるで引き込まれるように次へ次へと読みました。 作者の取材力と執筆力は本当にすごいです。そこから生み出されるこの人間ドラマの深さをぜひ感じて下さい。 ドラマを見た友人が財前先生が悪なんだね、と言っていましたが、私には単純にそうは思えませんでしたし、財前先生を嫌いにはなれません。むしろ里見先生が偽善なんじゃない?と思えたこともあります。それほどに“人間”というものも考えさせられる作品です。
1投稿日: 2014.09.26
ST 警視庁科学特捜班 黄の調査ファイル
今野敏
講談社文庫
ST第6弾
山吹さんの巻です。と、いっても彼もいつもしっかり出ていてさりげなく存在主張されているので、特別な感じはしなかったのですが、読んでみると、なるほど、いつもよりさらにクローズアップされています。 なぜ山吹さんが少し他の登場人物と違う空気を持っているのか、その一端を垣間見ることが出来るのではないでしょうか。 彼とかかわっていると百合根警部補殿がほんと成長することったら(笑)いやいや、素直なかたなのですねぇ。 テーマとしては集団自殺と宗教と重苦しい感じに思われますが、百合根警部補のおかげか、全体が重苦しくなることなく読み終われるのではないかと思います。 現場の不自然さを指摘する青山さんもステキーvですよ。仕事してます。
0投稿日: 2014.09.25
