幾の感動大陸さんのレビュー
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38
このユーザーのレビュー
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グラスホッパー
伊坂幸太郎 / 角川文庫
バッタ、バッタと殺されてゆく殺し屋たちへのレクイエム
7
語り口がいつも通り面白く今回も一気に。視点を切り替えて物語が展開する「殺し屋業界」の狂想曲。作中に「グラスホッパー」の文字が見当たらず、うん?と思ったら英語で「バッタ」の事だった。「黒バッタ」の話は重…要な箇所だったので納得。インタビュー読むと執筆に2年掛かっており、殺しの方法を考え、三人称に絞り込むまでも大変だったとか。それを数日で読み飛ばす贅沢な気分。最後の数行でニャリとさせられる。それが小説の醍醐味。だから、ただ筋追うだけのつまらないバッタモンのライトノベルは読む気がしないのだ。 続きを読む
投稿日:2014.01.04
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魔王
伊坂幸太郎 / 講談社文庫
よげんの書に酔いしれて
7
「魔王」は、余りにも脱力的な突飛過ぎる超能力を秘めた凡庸なサラリーマンvs独裁者?のサスペンス活劇。とは言え、本当にとり憑かれるようにして書き上げてしまったそうで、いつもの精緻な完成度は望めない。そし…て、引き継がれた新たなラッキーな超能力をめぐる後日譚のスロウカーブ的タッチの異なる「呼吸」。ファシズム化って、何か、いとも簡単そうで昨今の世相を予見していて怖くなった。スッキリしない結末のまま時は過ぎ「モダンタイムス」と続く・・・。 続きを読む
投稿日:2014.01.03
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わたしを離さないで Never Let Me Go
カズオ・イシグロ, 土屋政雄 / ハヤカワepi文庫
わたしを焦らさないで・・・衝撃の世界に絶句。でも青春小説のワクワク感も・・・
4
代表作の「日の名残り」が執事の独白だったので冒頭からの介護人の感傷的な想い出語りから、これも感動的な福祉っぽい物語かと思ったが、読み進めても状況が掴めず、さらに謎は深まり、その甘い読みは心憎く、ほろ苦…く裏切られエンディングまで、お陰で一気に読了となった。「Never Let Me Go」の収録されたカセットテープを巡る青春小説のワクワク感、精緻で巧みな数多くの伏線、思い返すと頭クラクラで目が冴え翌日は寝不足で酷く疲れた。文章&創作力ともにスゴイ!
続きを読む投稿日:2014.01.04
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美丘
石田衣良 / 角川文庫
愛する人を想い描いて読んでミオカ。
4
不純にも表紙に釣られて読んでしまったがエキセントリックなヒロインがコケティッシュ過ぎて切なくなって不覚にも泣きそうになった。この作家さんの長篇は未読だったが、いちころでファンになってしまった。是非とも…解説を読まずに、いきなり、読んで欲しい。愛する人を想いダブらせて・・・ 続きを読む
投稿日:2014.07.24
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アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉
小倉広 / ダイヤモンド社
人生の悩みは気の迷い。コレで、即、解決!
3
んな、阿呆なと疑ってはいけない。
幸福への近道をシンプルな言葉でナビゲート。
「人間は人生を描く画家である。あなたを作ったのはあなた。これからの人生を決めるのもあなた。」
「遺伝や育った環境は単なる「…材料」でしかない。
その材料を使って 住みにくい家を建てるか、住みやすい家を建てるかは、
あなた自身が決めればいい。」
相手を勇気づける時、大切なのは「同情」や「押しつけ」でなく「共感」すること。「共感」とは、相手の関心に対して関心を持つこと。
「相手の置かれている状況や考え方、意図、感情、関心に関心を持つこと。」
つまり、「共感」とは、相手の目で見て、相手の耳で聞き、相手の心で感じること。
常に自分の視点を押しつけていないか注意してみることが大事。
・・・こんな、当たり前だが、はっとする金言の宝庫。さすが自己啓発の父と言われているはず。
続きを読む投稿日:2014.06.01
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マリアビートル
伊坂幸太郎 / 角川文庫
お天道様に誓って・・・・・・・渾身のエンタメ集大成!
2
「伊坂幸太郎は、普通のエンターテイメントが書けなくなった」と思われるのも悔しいじゃないですか(笑)。それで、「書こうと思えば、こういうのも書けるんですよ」という気持ちで、『マリアビートル』はエンターテ…イメント性にこだわったんですよ。とインタビューで述べている渾身の作家のエンタメ集大成といえる長篇。東北新幹線の閉鎖空間で運命の悪戯か、熾烈なバトルを繰り広げる憎めない一癖ある殺し屋さんたち。「何故、人を殺しては、いけないのか?」と問い続けた悪魔の中学生vs伝説の世界一寝起きの悪い殺し屋のクライマックスが面白かった。 続きを読む
投稿日:2014.04.06