kabさんのレビュー
参考にされた数
17
このユーザーのレビュー
-
ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士(上・下合本版)
スティーグ・ラーソン, ヘレンハルメ美穂, 岩澤雅利 / 早川書房
「ミレニアム」を読み続ける幸せな時間、ここで打ち止め
0
1作目がクライムサスペンス、2作目が国際政治サスペンス、で、3作目は法廷劇。ストーリー上は3作がつながっているのに、見せるシーンや事件の側面が変化していくのが、『ミレニアム』のすごいところだと思う。
…
ストーリーの中では、あらゆる組織、人間関係で、有能な女性、かつ女性ゆえに苦しみながらも、自分に忠実な選択をしている女性が登場する。リスベットはもちろんのこと、1作目のハリエット、2作目のソーニャ・ムーディグ、3作目のミカエルの妹が象徴的。それ以外に、「ミレニアム」編集部にも公安にもミルトンにも、要所要所で優秀な女性が出てくる。「『ミレニアム』3部作のテーマは、女性を嫌いな男性と男性に苦しめられる女性だ」というような指摘をあとがきで読んだけれど、著者のスティーグ・ラーソンがなぜここまでこの視点にこだわったのか。本人に聞いてみたかった。(内縁の)妻であるエヴァ・ガブリエルソンも知的で優秀な、戦う女性だっていうのが少なからず影響しているとは思うけれど、確認はできない。残念なことです。
ああ、それにしても。
これで「ミレニアム」を読み続ける幸せな時間はいったん終わり。つくづく著者の早世が悔やまれてならない。エヴァ・ガブリエルソンによると4作目はリスベットが「自由に生きることを学ぶ本」だったらしい(http://www.rue89japon.com/?p=4597)。タイトルは『神の復讐』。はあ~、読みたかった…。 続きを読む投稿日:2014.04.29