haruharoさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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銀河パトロール隊
E・E・スミス, 小隅黎 / 東京創元社
スペースオペラの古典ながら今だに新鮮
4
40代のかつての男の子だったら、レンズマンという言葉に懐かしさを覚える人が多いのではないだろうか。私も内容は全然憶えていないが、手の甲にレンズを埋め込んだ人たちが、宇宙を舞台に活躍するアニメがあったこ…とを思い出した。
レンズマンに強い思い入れを持った訳者の翻訳文は読みやすく、すぐに未来世界にのめり込める。レンズマンは何人も、また地球人以外にもいるのだが、本編の主人公は、首席の成績でレンズマンになったばかりのエリート地球人。彼の成長物語という側面もある(後半、彼はスゴい能力を身につける)。が、主軸は宇宙海賊との戦闘。牽引ビームとかスクリーン(画面という意味ではない)ほか普段聞かない用語が出てくるが、あまり気にならない。
宇宙ですらところ狭しと飛び回り、果ては他の星団(天の川銀河の外?)にまで進んでいく。
スペースオペラかくあるべし。
ただ、唐突にラストになるので要注意。
続きを読む投稿日:2014.03.29
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グイン・サーガ1 豹頭の仮面
栗本薫 / ハヤカワ文庫JA
まだグイン・サーガを読んでいない人は幸せである
2
これからこの超素敵な物語を新鮮な驚きや興奮を持って長く読めるのだから。
実際長い長い物語で、手を出すことに躊躇いを感じる人もいると思いますが、いったん読み出したら長さなど気にならなくなります。というか…、まだまだこれだけこの物語を楽しめるんだと、うれしく思うに違いありません。
栗本さんは亡くなられてしまい、物語は未完ですが、グインについての謎は最後の外伝22巻「ヒプノスの回廊」で一応明かされてはいます。好ましい正体ではないと感じる方も多いようですが。
私は中学2年生の時に、当時24巻まで出ていたこの物語に出会い、それからすでに4半世紀以上、この世界を楽しませてもらいました。現在は続編プロジェクトも進行し、いよいよ本編の続編も始まっているようですので(実はまだ読んでいません)、これからは異伝、みたいな感じで読み続けていこうと思います。ある親子の行く末がとても気になるので。 続きを読む投稿日:2013.12.08
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妖精作戦
笹本祐一 / 創元SF文庫
朝日ソノラマの学園青春ものの白眉
2
中学生の時に初めて読んで現代の言文一致体に、まず衝撃を受けた。今じゃ普通のことだけど、当時はまだ珍しく、それまでは少年少女向けのお行儀のよい物語ばかり読んでいたので。
当時の最先端であるスペースシャト…ルや超能力が小(?)道具として登場するけど、SFとして読むのではなく、学園青春ものとして読んだ方が良い。
確かに古い作品だし、ARIELのような派手さはないけど、現在でも十分楽しめる作品。
続きを読む投稿日:2014.01.04
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万能鑑定士Qの短編集I
松岡圭祐 / 角川文庫
密度高めの佳品が5編も
2
私は「事件簿」ⅠⅡをよんでからこれを読みました。ほかのレビューにもありますが、最低この2冊は読んでおいたほうが良さそうです。特等添乗員αも何冊か分からないけど読んでおくともっと楽しめそう。
長距離通勤…の私には、一編を片道で読めるという、ちょうど良い長さでした。
話が5編あって、それぞれにマメ知識も入っているから、お得感があります。それにしても、小笠原がかなり成長したように思える。莉子の気持ちもⅠⅡの頃とは全然違うので、また更に事件簿やほかのシリーズを読みたくなった。 続きを読む投稿日:2014.04.26
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火星のプリンセス
エドガー・ライス・バローズ, 厚木淳 / 創元SF文庫
SFかスペオペかと思ったら
1
これはヒロイックファンタジーだ。
でもこの頃のSFやヒロイックHFは、いつ読んでも色褪せない。さまざまなSFやHFを読んだあとでも、新しささえ感じてしまう。
実を言うと、ポイントを消費するためだけに買…ってみたのだが、その面白さにのめり込んでしまった。
読了後しばらく経った今でも、火星の荒野がすぐ脳裡に甦る。 続きを読む投稿日:2014.04.06
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ハレーション・ゴースト
笹本祐一 / 創元SF文庫
静かな余韻が残る佳品
0
妖精作戦の続編だが、本筋の「妖精作戦」とは関連なし。だからこそ、より学園青春ものっぽさがある。
こんな個性的な面々が揃う学校に行きたいと、中学生だった私は憧れた。
登場人物紹介の、榊――主役のはずであ…る。沖田――脇役のはずである。には笑った。
まさにその通りで、沖田が主人公の外伝的作品。でも外伝的といっても侮ってはいけない。
書籍説明にもあるが、静かな余韻を残す名編。 続きを読む投稿日:2014.01.04