寒冷前線コンダクター 富士見二丁目交響楽団シリーズ
秋月こお, 西炯子
寒冷前線コンダクター 富士見二丁目交響楽団シリーズ
秋月こお,西炯子
角川ルビー文庫
昭和の熱量
2巻まで読みました。 大長編の全体からすればほんの冒頭部分。それだけを読んで作品全体を判断したくありませんが、2巻まで読んだ感想としては、残念ながら「今一つ」でした。 多分、そういう時代だったから……というのもあるのでしょうが、主人公がゲイである自分を拒否する気持ちが強すぎて、そのくせ優柔不断でプライドが高いという面倒くさい性格でなかなか感情移入できず。 また一人称で書かれているためなのか音楽用語がやたらちりばめられていて、しかもそれについての説明が一切なし。多少の音楽用語なら、主人公が音大卒だしまあいいのかなと思うけど、だんだんいくら音楽やってる人でもここまで自分の日常を音楽用語で考えないのでは?などと思ってしまいました。 主人公の心情を丁寧に描いている部分は好感が持てました。 ある意味、リアルです。でもプロットが雑で唐突にゲイの人に狙われたり、フェラを強要されたりします。その突飛な展開と心情部分のリアルさにギャップを感じます。またギャグなの? という会話の部分もあって、それはそれで面白かったのだけど、違和感を感じたり。 ただそういう荒さはあるのだけど、次を読みたいと思わせる熱量が凄かった。不思議なことに途中で飽きない。ぐいぐい読者を引っ張る力があって、細かなところは不満だったもののかなりのペースで読み切ってしまいました。 この大長編を全て買って読むことは躊躇いますが、確かにこの小説は今の時代にはない昭和の名作のひとつなのかなあと思います。
0投稿日: 2022.04.25
ちはやふる(30)
末次由紀
BE・LOVE
てんこもり。
細かいエピソードがたくさん出てきますので、1ページごとが気を抜けません。脇役たちの心情も細かく描かれています。ただ、逆を言えば、情報量が多すぎて焦点をしぼりきれず、せっかくのホロリとくるエピソードの余韻にひたる間がありません。 あと絵が少し雑・・・・になったような気が? 美しい絵が特徴の作家さんなので、僅かなデッサンの狂いも目立ってしまうというのもあるのですが、あれ? と思うカットが何箇所か。 ともあれ。青春まっさかりの主人公たちがそれぞれの夢や目的に向かって情熱を燃やしているのは相変わらずで、「頑張れよ!」と応援したくなるコミックです。今回は「通過点」的な巻で、今後の展開に期待したいと思います。
0投稿日: 2016.02.01
ダンジョン飯 2巻
九井諒子
HARTA COMIX
面白かった☆
往年のファンタジーゲームを思い出させる世界観。 モンスターをおいしく料理しながらダンジョン最深部へ向かう勇者たち。 そのパターンは変わらないのに、2巻目になっても勢いが衰えないところが凄いですね。 主人公が残念なところがまたイイッ(笑) 全滅しても生き返ることができるので、生死についての必死さはありませんが、 ほのぼのしているくせに妙な生活臭というか、リアリティがあります。続きも楽しみです。
1投稿日: 2015.09.02
グイン・サーガ131 パロの暗黒
五代ゆう,天狼プロダクション
ハヤカワ文庫JA
ついに読みました。
グインサーガは30年来のファンで、青春時代からずーと人生をともにしてきた大切な小説です。 栗本さん逝去の後、グイン本編の続刊が出たことを知りつつも、気持ちのふんぎりがつかず、ずっと手を出せずにいました。 まずはグインサーガが続いてくれたことに感謝です。 未完で終わるよりは、どんな形であれ、完結して欲しい。 またグインサーガを引き継いだ二人の作家さんのプレッシャーも凄まじいものだと思います。 でもどうしてもこれはグインとは似て非なるものだなあ、という感覚がしました。 一生懸命楽しもうとしても楽しめない。 いきなりこの展開ですか? という怒涛の展開・・・・ 栗本さん流のグインを期待していたわけではありませんが、キャラの内面や喋り方、行動、プロットの運び方などあまりに違うのでは? と何度も思いました。最後のほうは小説を味わうというより、先を知りたいのでプロットだけを追うといった読み方になってしまいました。 まあ、こういう昔からのファンがいるから、いっそうグインの続編は作家さんにとっては書きにくいだろうとは思うのですが(^^;; 切ないですが、二次創作だと割り切って、もう少しこのシリーズを読み続けてみようと思います。
1投稿日: 2015.06.16
グイン・サーガ104 湖畔のマリニア
栗本薫
ハヤカワ文庫JA
ひと段落つきました。でもまた新しい事件の予感が~
アモンをめぐるクリスタルの攻防から、ノスフェラスの星舟。 そしてその後の記憶喪失とイシュトヴァーンとの闘い。そして山火事。 怒涛の展開でしたが、やっとこの刊で一息ついた感じです。 それにしてもグイン! やっぱり主人公なんだなあ、と感じました。 多分、本人は自分自身のことを地味で面白くない性格の目立たないオジサンだと(豹頭だけど)と思っていると思うのですが、気がつけば世界が彼を中心にまわっています。これだけ個性的で魅力的な多くのキャラクターたちがいるにもかかわらず、グインサーガの主人公はただひとりグインなのですね。本人の地味さと反比例して、抜群の存在感があります。 グインがケイロニアの人々と再会するのは、まだまだずっと先になりますが、 もうしばらくグインの旅を見守ってゆきたいと思います。 それにしてもマリウス……(苦笑) 自由すぎます。最近のくだりを読んで、かれを見直したところもあったし、えぇぇ?と思ったところもあったり。まあ、飽きない人だと思います。旦那さんにしたいとは絶対に思いませんが。
0投稿日: 2015.04.05
進撃の巨人 悔いなき選択(1)
諫山創,駿河ヒカル,砂阿久雁(ニトロプラス),「進撃の巨人」製作委員会
ARIA
普通に楽しめました。
兵長の昔のお話ですが、普通に楽しめました。 ただやっぱり短いためか、エピソードひとつひとつに深みはあまりなくて、題材はとても良いのに勿体ないな、と思いました。絵が綺麗すぎるためか地下での生活の惨めさ、汚さ、残酷さが感じられなくて、その後の戦闘シーンなども迫力に欠けます。 原作とは別物の、ちょっとしたサイドストーリーだと思って読むと良いのかもしれません。 すみません、正直に書きますが、よくできた同人誌という印象を持ちました。 単に兵長が好きな人は買って損はないと思えます。
1投稿日: 2014.08.23
All You Need Is Kill 1
桜坂洋,竹内良輔,安倍吉俊,小畑健
週刊ヤングジャンプ
原作を知らずに読みました。
単純に面白かったです! 小畑さんの絵だったから、絵的なクオリティは安定しているだろうなあ、ということで手にとって見たわけですが、ストーリーもよかった。ぐいぐい引き込まれます。2巻完結という短さが全体のプロットを引きしめている気がします。 近未来の戦争もの。絶滅の危機にひんした人類。 新兵の主人公。そして生から死への無限ループ。 この手の話は長くなりすぎると、大抵、腰砕けになってしまうのですが、この作品はそんなこともなく、一気にラストまでドキドキ感を保ちつつ読ませてきます。映画化されることも頷けるというか、シリーズ2作目、3作目とかも作れる余韻を残しつつ終了しているところがまた憎い。でもきっと2作目以降はクオリティがさがってゆくパターンにもなりそう。。。 ともあれ、読書を通して、ちょっとした娯楽をお望みのかたにはおススメです。
4投稿日: 2014.06.23
離れたくても離れられない人との距離の取り方
石原加受子
すばる舎
良かったです。
離れたくても離れられない人・・・・社会人になるといますよね~。 自分のこれまでの人間関係の失敗を重ね合わせて読むと、とてもよくそのダメだった原因がわかり、参考になりました。 仲良くなりたくて、相手に嫌われたくなくて、どんどん心理的な距離が近づいていって、耐えられなくなって、我慢して、我慢して我慢し続けて爆発する。そんなことの繰り返しだった自分には、目からウロコの本でした。 他人との距離のとり方がわからない。他人の言うことを断りきれない、イヤだと言えない、どうしても受け身になってしまう、相手に依存してしまいがち、そんな人におススメだと思います。逆にそういうことをもう知っている人には必要ないかもしれません。対人関係のスキルが低い人向けです。
3投稿日: 2014.06.02
魔界医師メフィスト 1
霜月かいり,菊地秀行
KADOKAWA
アリです。
魔界医師メフィスト。 原作の大ファンでした。あのメフィストをどうやってコミックで再現するのか、できるのか? と正直あまり期待しないで読み始めたのですが、自分的にはこのメフィストもありだと思いました。よく描けていると思います。 端麗な絵であることはもちろん、スピード感があって、迫力があります。魔界都市の雰囲気もよく出ていると思いました。 ただ若干、魔界都市新宿という世界観が特殊なので、あらかじめ原作を読んでいる人間にはこれでOKと思えますが、まるきりはじめて読む方にはどうなのだろう、という感じもしました。
1投稿日: 2014.06.02
アルスラーン戦記(1)
荒川弘,田中芳樹
別冊少年マガジン
懐かしさと新しさが同居
アルスラーン戦記! 懐かしいです。 大好きで、新刊が出るのを待ち続けながら昔読んでいました。それがいつしか読まなくなって(と言うか、新刊の発行ペースが遅すぎました……)十数年が過ぎたような。 昔のワクワク感が荒川弘さんの絵でよみがえりました。 原作の細かいところなどけっこう忘れている部分があるので、荒川版アルスラーン戦記として楽しみたいと思っています。 荒川さんなら間違いない、という安心感もあります。 冒頭部分。とても迫力がありました。アルスラーンの冒険はまだはじまったばかりだけど、今後、どんな成長を見せてくれるのか楽しみです。あと脇をかためるあのキャラたちとも早く会いたいです。
2投稿日: 2014.05.12
