
テレビはプロレスから始まった 全日本プロレス中継を作ったテレビマンたち
福留崇広
イースト・プレス
文句ない傑作
著者の作品を初めて読みましたが、緻密な文章構成、綿密な取材に脱帽、読後感の残る傑作でした。思うに著者と小生は同年代でありほぼ同じ感性でプロレスに接してきたと思い、故に取材相手に対しまるで自分自身が聞いてみたいという内容を掘り下げている点が、はまった要因かと思います。 個人的には、倉持、若林、福澤三氏へのインタビューが興味深い。それぞれの人間(じんかん)距離が文面から汲み取ることができ、それがまたプロレス的感性をくすぐる、と言えますでしょうか。それにしてもプロレスは他に比類なきジャンル。当のプロレスラーが登場せずとも、関係者の名前が共通ワードとして多数の人々に理解でき、時を過ぎてもなお楽しめるのだから。
0投稿日: 2023.02.25
『週プロ』黄金期 熱狂とその正体 活字プロレスとは何だったのか?
俺たちのプロレス編集部
双葉社
熱量に浮かれていた1人
そうだったのか。やはり、あの頃の週刊プロレスは「麻薬」だったのか。ある意味今ではブラック企業の何者でもない、コンプラなどの概念が存在しない、あの時代に、これだけの情熱と欲望をプロレスというジャンルに注ぎ込んでいた人たちと、それを支持する人たち(自分もその1人)がいたからこそ成立したんだと。同時期に立花隆が「プロレスというものは、品性と知性と感性が同時に低レベルにある人だけが熱中できる低劣なゲーム」と述べていたのはあまりに偶然であろうか。
0投稿日: 2022.06.25
錦繍
宮本輝
新潮社
美しい文語体、クラシカルな書簡体小説
メールもSNSも、遠い遠い未来だった昭和の中の物語。だからこそ、人は一語一語に思いを込めて文を綴り、そのやりとりが正に物語を紡いでゆく。 フィクションではあるけれど、登場する二人の男女の年齢をとうに越えている小生が感じることは、「何て大人なんだ!」(笑)。 人が生きるとは、男と女とは、読むたびに考えさせられ、励まされる、そんなマイベスト本の一冊です。秋の夜長に、是非!
2投稿日: 2015.09.27
金田一耕助ファイル12 悪魔の手毬唄
横溝正史
角川文庫
夏に読まれたし!
この作品は自分の中で真夏の時期に読むもの、と勝手に決めてます。何故なら、物語の日時がハッキリ明示されており、文中いたるところに夏の描写があり、汗をかきかきまたは蝉時雨を聞きながら読んでいるとあっという間に物語の中に引きずり込まれます。 金田一シリーズの岡山物は、特に感じられるのですが、世界観、人物のキャラクターが確立されていて、頭の中で映像化しやすいですね。暗い凄惨な話ですが、ラストの本多先生の科白には笑わされました。あ、ホントにラストの磯川警部のくだりもですが(ちなみに映画の場面では"総社=そうじゃ"駅での金田一とのやりとりになっている)。
1投稿日: 2015.07.31
火花
又吉直樹
文春文庫
純文学、大衆文学
一連の報道で、文体が純文学、ていう表現がありますが、違和感覚えたので読んでみました。やはり、直木賞との違いはないと思えたのですが? ただ、文章そのものは素直で馴染みやすく、作者の評価を貶めるものでは無いけどね。時間おいて再読したら評価が変わりそうな作品なので星3つにしました。
1投稿日: 2015.07.23
まほろ駅前多田便利軒 3巻
山田ユギ,三浦しをん
メロディ
待ち侘びました!第3巻
ほんと、2巻で止っているのかと思いました(笑)。内容的にも原作の佳境となっていくエピソードで楽しみにしていたんで嬉しい限りです。少しずつ、多田と行天の過去が語られ、本作での主要な人物と重なり合って物語により深みが増していきます。彼らの人間性に触れられ、気が付けばまほろワールドの住人になりつつあるのです。小説、映画、ドラマそしてコミック。それぞれのまほろワールドを比べられるのも楽しいですね~♪
0投稿日: 2014.11.03
まほろ駅前多田便利軒
三浦しをん
文春文庫
面白い。楽しめる。再読しても飽きない。
単純に町田市民として嬉しい。リアルな世界観が描写できるところが強みか。とはいえ、町田をまったくご存じない方々の、浮かぶ描写もできることなら見てみたい。内容的には、時々読み返したい何気ない文章が散りばめられ、それは読んだ人それぞれ違うんだあろうけれど、心に静かに沈着していくのが感じられる作品。
0投稿日: 2014.07.25
金田一耕助ファイル3 獄門島
横溝正史
角川文庫
やはり文句なし
冒頭の島の描写からズームインするかのように金田一耕助の登場、と共に主要人物のさりげなくも重要な邂逅・・・引きずり込まれます。おそらく初読から30年以上は経っていますがまったく色褪せない内容は、世界観がしっかりと確立され、その中で生きる人物のキャラクターが完成しているからではないでしょうか? 本筋の事件とは全く関係ない会話(典座の了沢さんと島の若い者とのやりとりが楽しい!)が何気に印象に残っていますね。
3投稿日: 2014.07.06
ガダラの豚 III
中島らも
集英社文庫
TRICKみたい・・こっちが先ですが。
どうしてもTRICKを念頭に置きながら読んでしまったが、構成内容ともに読み応え十分。連作ですが、一気読みしました。
1投稿日: 2014.02.15
コールドゲーム
荻原浩
新潮社
面白い
スリルある展開で一気読みしたくなる作品。意外性で最後は怖くなる。
0投稿日: 2014.02.15
