
ツカむ!話術
パトリック・ハーラン
角川oneテーマ21
論理的ながらユーモアたっぷりの話術本
観客の心をがっちり「ツカむ」話術について、論理的に、しかしユーモアたっぷりに解説した本。(大学生向けの講義を文章化したものらしいです) 議論や自己アピール大好きなアメリカ人の視点で、自虐的で空気を読みすぎる日本人に向いている話し方を分析しているのがなかなか面白い。お気楽に読めながらもなかなか細かく丁寧に解説しているのでお勧めです。
0投稿日: 2017.09.13
戦国の陣形
乃至政彦
講談社現代新書
まだまだ謎
筆者の推定によれば、古代=大和朝廷軍は国内や海外での戦いから原始的な陣形を駆使していたが、平和な平安時代に失われ、源平合戦~鎌倉期には陣形ではなく、騎馬武者を中心とした軍勢(ただの寄せ集め)となり、室町~戦国初期の激闘から徐々に陣形の必要性・必然性が生じ、武田信玄と激闘を演じた村上義清が日本的「陣形」の祖だとしている。 なぜそうなったか、を大量の文献から理論的に推測しているわけだが、通説と大きく異なっている部分もあるので「目からウロコ」となるか「眉にツバ」となるか、分かれるところ。 ・甲陽軍鑑は結構信頼できる ・川中島合戦、大将同志の直接対決はあり得る ・関ケ原布陣図を見たドイツ将校の「西軍の勝ちだ」は創作? ・大坂の陣の伊達政宗はやる気がなかった などと書かれたら、みなさんはどう思うだろうか?(本書にはそれぞれ根拠が示されてます) 昨今、歴史の教科書が大きく変わっているので、歴史好きを自称する自分も混乱するばかり。正直この本を読んでも謎が深まるばかりです(笑) 筆者も書いているように、軍事研究は日本においてタブー視されているため、江戸時代並みに机上の空論がまかり通っているので、更に議論が深まることが望まれます。
1投稿日: 2017.04.26
お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力……はこう「動いた」
大村大次郎
KADOKAWA
国家とは経済である!
歴史の流れをお金の流れから解説した本だが、これは分かり易い! どうして政権が転覆するのか? それは少数の人間に富が集中し、不平等な状態になったから、 なぜ戦争が起こるのか? それは経済の主導権を争うから イデオロギーやら民族主義やらのきれいごとを取り払うと、経済という本音と真実が見えてくる! 勘違いしてはいけないが、経済とは金集めのことではない! 人々の日々の小さな暮らしの集合体であり、それが守れない政権は当然転覆するのだ! 果たして、今の日本はどうだろう? 姉妹編の日本史版もとっても面白いので必読です。
2投稿日: 2017.03.07
ナチスの発明 ―特別編集版―
武田知弘
彩図社
「ハイルヒトラー!!」本ではありません。冷静なナチス分析本です。
ナチスがなぜ政権を奪取出来たのか?というと、すぐ、ヒトラーの魔法のような演説ばかり取りだたされがちですが、この本を読むと、実はナチスは一般労働者に極めて手厚い保護制度を敷いていたため、ドイツ国民に正当に支持されていたのだ、ということが分かります。 現代を先取りしたかのような様々な先進制度によって、低賃金労働者の不満を吸収していたからこそ、あれほど熱狂的に支持されていたのです。 一方で、ヒトラーがなぜ「ゲルマン民族世界一!」にこだわって民族浄化の愚行に走ったのか?について、「それはドイツのコンプレックスの裏返しだ」という納得の分析もされています。詳しくは是非本書で確認を。 大衆迎合主義で一般大衆の支持さえ取り付ければ、どんな悪魔的思想も政権を取り得る、というのは今現在、世界中で進行中なので疑う余地はありません。しかし一方、なぜ大衆の不満が溜まるのか?ヒトラーのような人間が支持されるのか?というと、「「政治家は常に、いつの間にか利権集団となり大衆を置き去りにするから」、ということになるのでしょうか?
0投稿日: 2016.11.27
ぶらりポタりずむ
イセケヌ
Comic REX
自転車乗りたくなる
pixivやtwitterでかわいいイラストを沢山UPしているイセケヌさんの、ポタリング漫画。 ポタリングとはなんぞや?と思って読んだら、自転車でブラブラすることだそうだが、魅力的なキャラクターに楽しい物語で、自分も久々自転車乗りたくなった。バスや自動車から、ちょっとスピード落としてみると色々発見があるかもね。 かわいい絵柄でめっちゃ上手いので、おすすめです。
0投稿日: 2016.07.15
腕貫探偵
西澤保彦
実業之日本社文庫
腕貫男が一番の謎
どうにもしっくり来ない体験をしたゲスト主人公が、何でそこにいる?という櫃洗市市民サーヴィス課の出張相談に事件を話し、解決、または解決のヒントをもらう、というフォーマットの短編集。 トリック自体よりも、読者の盲点をつく、犯人の意外な心理の方が印象に残った。 それにしても、腕貫男って何なんだ?なぜそこにいる(笑)これは続編を読まねばなるまい。
0投稿日: 2016.04.21
正三角形は存在しない 霊能数学者・鳴神佐久に関するノート
二宮敦人
幻冬舎文庫
キャラ作りが光る好編!!
数学者にして霊能者という、鳴神佐久のキャラにしてやられました。 主人公同様、読んでる自分も最後まで彼の言動に振り回されてしまった・・・(汗) 張り巡らされた伏線の回収も見事!おどろおどろしくもハートフルな好作です。
1投稿日: 2016.03.11
放課後はミステリーとともに
東川篤哉
実業之日本社文庫
笑える軽快ミステリー
「霧ヶ峰涼」という探偵気取りの主人公を狂言回しに、学園内に起こる様々な(しょーもない?)事件を解決していく短編集。変なキャラクターが続々登場して変な主人公とハチャメチャな会話が繰り広げられ、大笑い。しかし、短編ミステリーとしてもしっかりしていて、二転三転のトリックや意外な伏線に「なるほど!」と膝を叩くこと請け合いです。とりあえず予備知識なしに読んで、第一話で驚いてください。
1投稿日: 2016.02.15
実体験!お笑い「刑務所生活」
西本裕隆
廣済堂出版
実際に刑務所に入ったライターの体験記!
倒産会社からの荷物の運び出しバイトを頼まれて手伝ったら、何と泥棒だった!(と著者は主張)窃盗犯として取り調べ、拘置所、裁判で有罪、刑務所、仮釈放まで、時系列で鉄道ライターらしく極めて詳細に書かれています。といっても堅苦しくはなく、読みやすいです。 のほほんと面白おかしくは書いてありますが、中に出てくる受刑者はホント、こりゃ一般社会では生きていけないな・・・そもそも会いたくないな・・・と思うクズばかりで呆れます。 ドラマや映画では刑務所で余裕綽々のキャラが出て来たりしますが、間違ってもそんなことない厳しさです。ルールも厳しければ、同居人もひどい! 自分は死刑反対ではありませんが、長期刑の方が死刑より厳しいのでは?と思いました。間違っても刑務所には行きたくない!!
0投稿日: 2016.02.02
江戸の卵は1個400円!~モノの値段で知る江戸の暮らし~
丸田勲
光文社新書
値段だけじゃない、豆知識満載
著者も最初に断ってますが、江戸時代といっても長いので、本書では時代劇でお馴染みの文化文政時代頃を中心に値段の推測をしています。 豆腐の値段、納豆の値段は◯文だけど、買いに行くものじゃなくて、向こうから売りに来るものだ、とか、千両役者は本当に実在し、現在のトップ芸能人と同じぐらい高額だった、とか、娘義太夫が人気になり、熱心なファンは今のアイドルヲタクと同じようなことやってた、とか、色んな歴史豆知識も得られます。
1投稿日: 2015.12.03
