
東伍郎とまろすけ(1)
長月キュー
ビッグスピリッツ
春の風、熱い茶に甘い団子。膝には猫。きっと極楽浄土とはこのような所に違いない。
東海一の剣豪と噂される夏目東伍郎はストイックな髭面の浪人。しかし実は筋金入りの度を越した猫好き。道場から帰れば飼い猫まろすけに飛びかかり、腹に顔を埋め、ハァハァしながらまろすけを揉みしだく! 猫好きあるあるに頷きながら、猫にデレる侍を楽しむ、江戸時代猫コメディ。
1投稿日: 2015.04.13シャングリ・ラ 上
池上永一
角川文庫
ハチャメチャSF
地球温暖化が進行した未来。CO2を削減するため遺伝子改造で生まれた木々は、古い街を次々に飲み込んでいく。政府の強行な森林化に反旗を翻したゲリラ組織。彼らの本拠地には大きな煙突が立ち並び、火を焚きCO2を出すことを反抗の一環とする(え、なにそれ)。めちゃくちゃ強いニューハーフ(え、なにそれ)に育てられた少女、國子はゲリラ組織の統領として政府を相手に戦っていくうちに、オカルト的な世界の秘密に迫っていく。 ありえねぇ、なんじゃそりゃ、と心で叫びながら、ぐいぐい最後まで飽きずに読んでしまった。
26投稿日: 2013.10.25みすてぃっく・あい(イラスト簡略版)
一柳凪,狐印
ガガガ文庫
ただの百合小説ではない
殆どの生徒が帰省した学生寮。残っているのは、無邪気な幼馴染の「せりか」、おっとりとした美術部の「部長」、クロウリーの『法の書』を暗唱して人を起こすような「先輩」、そして優柔不断な「私」四人だけ。よく知った仲間とだけの冬休みが始まるかと思いきや、「私」が『虚数の庭』という本を読んだ時から、彼女らの世界は変わってしまっていた。ちょっぴりSF要素のある、切なく痛い百合小説。 余ったポイントで適当に購入した本だったけど、なかなか文章が好みでした。そして、予想してなかったラストには正直驚きました。ただ、「みすてぃっく・あい」というタイトルは、損してる。
0投稿日: 2013.10.25いつか海に行ったね
久美沙織
祥伝社文庫
いまはもう、誰もいない海
バイオハザードの始まりは野鳥の大量死。夏場、マンションではお年寄りが次々と亡くなっていき、人類は小さな小さな存在によって自らが存亡の危機に面していることにようやく気が付いたのだった。 この作品に、答えは、無い。ありえないだろ、と単純には笑い飛ばせない、いわば警鐘ともいえる作品。
0投稿日: 2013.10.04スカーレット・ウィザード 1
茅田砂胡
C★NOVELSファンタジア
「恋愛」って形が決まっているものじゃない
この手のファンタジーやSFは主人公が少年少女と相場が決まっているが、スカーレット・ウィザードの二人の主人公はなんと30前後の男女。両名とも殺しても死なない級の強さで、ぶっちぎりの破壊力。「恋愛物語」でなんで破壊力が必要かって?それは読んでのお楽しみ。 細かいSF的考証やご都合主義など気にせずに、ノリと勢いと笑いでガンガン読むのが一番楽しい。
0投稿日: 2013.10.04猫mix幻奇譚とらじ(1)
田村由美
月刊flowers
とらじがかわいすぎる
魔法のねずみによって、半分人間に変えられてしまった子猫とらじ。ねずみにさらわれた勇者パン・ヤンの息子を取り戻すため、一緒に旅を続けているが、なんにせよとらじがかわいすぎてたまらない。猫マンガとして力一杯おすすめできるファンタジーシリーズです。
2投稿日: 2013.10.04MM9
山本弘
創元SF文庫
世界有数の怪獣大国日本で日々戦う公務員のドラマ
怪獣に有効な必殺技を持つわけでもなく、ヒーロー的な華々しい活躍をするわけでもなく、愛と勇気だけで人類が救えるわけでもなく。マスコミからの批難にさらされながらも、懸命に仕事をこなす命がけの現場、責任という重圧に耐える対策本部。SF的理屈付けに人間ドラマをおり混ぜたリアリティあふれる怪獣モノ。己らの力の限界を知りつつも、人を助けるため困難に立ち向かう隊員たちの姿には、胸が熱くなる。ヒーローに憧れ夢想し、だけどヒーローになれなかった大人におすすめしてみたい。
7投稿日: 2013.10.04