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怨霊になった天皇
竹田恒泰 / 小学館文庫
たっぷりとした読み応え
5
崇徳天皇を中心に、天皇が「怨霊」となるいきさつがぎっしりと描かれる。
私は日本史が得意でなく、「この漢字の読みはなんだっけ」とルビを見返すこと多数、系図に混乱する事も少なくなかったが、終始丁寧な解説で…読み終える事ができた。
「こんな凶事があった。これは怨霊の仕業か」との語りにはオカルトの匂いを感じつつも、「怖いもの」「怖がること」がいかに日本人の礎を築いているか知ると、豊かな思索への入口に思えてくるから不思議だ。
また、本書に何度も登場する「怨霊は生者がつくりだす」の言葉通り、怨霊になりたくないと願ったのに、されてしまった後鳥羽院の話が特に興味深かった。
終盤の「日本の許す文化」「和の国」については、改めて気付かされると共に、いつまでも心に留めておきたい金言。
私にとって読み応えのある一冊でした! 続きを読む投稿日:2014.12.26
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東大卒プロゲーマー
ときど / PHP新書
熱いときど
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海外大会でよく見かけることから著者のファンになった。
プレイスタイルが「強いけどつまらない」と言われていることも知っている。
だからこそタイトルの「情熱」が気になって手にとった。
タイトルにその言葉…を持ってきた通り、それこそが本書の核であり、彼の成長と、選択した道につながっている。
格闘ゲームがわからない人にも簡単な補足があるし、読みやすく書かれているので、すぐに読める本だろう。
本書にもあるが、今の格ゲー界隈は大会配信や個人配信など、動画で見られる事がほとんどだ。
読後彼の軌跡を確認してみたが、そこには「冷たさ」を感じるよりむしろ「熱いときど」がいた。
彼は人から炎をもらって自分も情熱を燃やすのだと言った。
熱は伝搬すると。
私も彼からずいぶん熱をもらっていた事に気づいたのだった。
これからもまだ大会は続く。
彼の動向に注目しながら、自分はその熱をどうするのか。
考えるいいきっかけを与えてくれた本だと思う。
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ブログに動画も貼っているので、気になった方はこちらへ:
http://haiiro-canvas.blogspot.jp/2015/01/blog-post_41.html 続きを読む投稿日:2015.01.08
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ん―日本語最後の謎に挑む―
山口謠司 / 新潮新書
もう一歩踏み込んだものが読みたい
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「ん」という文字が生まれ、広く使われるようになった経緯を紹介。
関連して空海がもたらした阿吽の思想、濁音を嫌う日本文化、研究者譚などが織り込まれる。
わかりやすく書いてあり、まったく素人の私でも親しみ…をもって読むことができた。
面白くなってきたのは7章からだが、「ん」ついて色んな方面から話題を提供する代わりに、その奥深さを伝えきるにはページが足りていないように思う。
特に「ん が意味する薄明の世界」は突然降ってわいたような印象。
はいでもいいえでもない曖昧さ、日本語の清濁を繋ぐ役割、と興味深い内容だけに、さらに踏み込んだものが読みたかった。
謎に挑むというよりは歴史概観と話題提供の趣が強い。
読書メモ:
http://haiiro-canvas.blogspot.jp/2015/01/blog-post_13.html 続きを読む投稿日:2015.01.13