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ハクメイとミコチ 1巻
樫木祐人 / HARTA COMIX
ファンタジーのいいところだけ集めた感じ
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読んだらすぐ分かるけど、
その世界はご都合主義でできている
小人の世界でありながら小人サイズの草木、
小人サイズの魚、観察に基づいた世界ではない
そうかと思えば大きな魚、大きなミカン
この世界では物体…は伸縮自在だ
小人、というより都合のいい大きさだったら、
こんな素敵な世界があるよ、というお話
昔読んだ素敵な家がたくさん出てくる絵本のような
そういう気分になった 続きを読む投稿日:2016.08.02
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小林さんちのメイドラゴン 1
クール教信者 / コミックハイ!
なんて気楽な漫画なんだ
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アニメ化されたこの作品、
アニメ予告編の出来が良かったので購入。
設定とは裏腹に、ロジックの走らない
怠惰な日常感覚は作者の持ち味だろう。
しかしこの気楽な日常こそ、
実は世界の終末であることが語ら…れていく。
トールたちのいた世界はファンタジーヒーローとの
際限の無い戦いに覆われていた。
作品を読む限り山なく落ちなく意味のない日常は、
トールたちにはなかったもののようである。
終の住処として、あるいは死後の世界として、
トールたちに与えられたのが平坦な日常なのだ。
読者の気楽さはそのままトールの気楽さであり、
読後感こそがこの物語の本質なのだ。
食わず嫌いせずに読んでみてほしい作品。 続きを読む投稿日:2017.01.18
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ばらかもん1巻
ヨシノサツキ / ガンガンONLINE
タイトルは読み進めてから
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ばらかもん。
元気な奴、という意味だそうな。
このタイトルの意味は、
巻を進めるごとにしっくりくるようになる。
お行儀よく書くことは悪いことではない。
しかしそれしか知らないのはつまらない。
人生で…何度も出くわすこの問題は、
作品に人間性や積み上げたイメージを
問われる場に身をおいた半田清舟にとっては
人生を問われることだった。
島での暮らしは、彼の心に躍動を生む。
字にも心が乗り移り、物語を生む。
ただの字が書に変わる瞬間を何度も見て、
やがて清舟はある決断をする。
そしていまも半田清舟は挑戦を続けている。
細かい出来事の移り変わりが入れ代わり立ち代わり、
半田清舟と読者に押し寄せる。
小さな出来事の連続。
一見どうでもいいような事に感情を通わせるのは、
感情のさざなみに耳を澄ませているから。
どうでも良くなくなるのは、
人の心が揺れる瞬間を目撃したから。
半田清舟はずっと道の上にいる。
そうして通り過ぎる風を捕まえていく。 続きを読む投稿日:2017.01.18
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月刊少女野崎くん1巻
椿いづみ / ガンガンONLINE
ラブコメの体裁も少女漫画のお約束
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表題に尽きる。
そう、この作品は少女漫画の文法のお話。
千代と野崎のやり取りは一見王道から外れた、
日常をつなぐためのラブコメに見える。
しかし彼らは気づいているだろうか、
それすらも少女漫画のお約…束のメタであることを。
これは結月と若松とのやり取りにしてもそうだ。
鹿島と堀も。都と遼介も。
御子柴の美少女ゲーム趣味の話もそう。
美少女ゲームのお約束と少女漫画のお約束、
その対比のための材料なのだ。
まるで少女漫画みたいな人間関係が、
少女漫画を包んでいる。
これが月刊少女野崎くんの世界である。
作者の巧みな誘導はメタを意識させることなく、
野崎梅太郎の日常を少女漫画に染めていく。
この作品は実に漫画である。
続きを読む投稿日:2017.01.19
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亜人ちゃんは語りたい(1)
ペトス / ヤングマガジン サード
亜人ちゃんに語りたいだけだろ
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こりゃあ酷い。
これをアニメ化する価値はないね。
何を間違えたんだ?
作者の意図が透けて見える。
亜人は語りたいわけではない。
むしろ作者と主人公が亜人を
蝶の標本のように並べたいのだ。
これは亜…人図鑑だ、しかも「愛好家」の。
一見すると妙な描写はないが、
キャラクターを並べたかっただけなのが
悪趣味だと感じ買ったのを後悔した。
絵はプロレベル。
でも感性は成長できなかった大人のそれ。
漫画描きとしては恥ずべきレベル。 続きを読む投稿日:2017.01.25
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ボクらは魔法少年 1
福島鉄平 / 週刊ヤングジャンプ
おそらく今年No.1のマンガ
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トラップだらけの女装少年漫画に見えて実は正統派。
少年漫画が好きな人にこそ読んで欲しい。
モノローグをはじめとする心理描写に定評のある作者だが、
アマリリスでみせた少女漫画的なコマ割ではなく、
…
一コマごとにダイナミックに構図が変化する点にも注目したい
コミックの楽しさが詰まった強い作画は、
リリカルでキュートなキャラクター達を引き立てる
フェティシズムについて言及されがちな本作であるが、
実際のところ、上記のような表現ベースがあってこそ成立する、
見た目とは裏腹に上質な作品だろう
さて、皆が気になるフェティシズムについて
まだ着地点は見えてこない段階だが、この作品には、
「オトコノコは可愛くなりたいと思ってる」という
潜在的欲求に基づくシーンが続く
アンドロギュノス論を筆頭とするアンチセックス的情緒を
念頭に読み解けば、いかに少年漫画的格好良さを、
魔法少年という相容れないものが補完しているか感じるだろう
萌えという概念が評論家に取り上げられるようになり久しいが、
萌えという言葉の中にもこういう暑さは内包されている
我々は光が生み出した陰も忘れてはならないのではなかろうか
最後に映像化について
高い表現力故に成り立つ作品であり、映像化は容易ではない
これは作者の短編集にもいえることである
丁寧で誠実な制作者こそこの作品の映像化に必要である 続きを読む投稿日:2018.09.19