
空母いぶき(4)
かわぐちかいじ,惠谷治
ビッグコミック
手に汗握る臨場感
潜水艦対潜水艦の心理戦が始まります。見えない相手と仲間の意図を読みつつ行動する艦長と主人公の思いがシンクロして、敵に向かう所がスカッとします。 今までリアルだったので、マンガ的なダイナミックな展開が入ってもすんなり受け入れて読んで行けます。 一人一人が熱い信念を持って、団結して目標に向かえる組織っていいなーと癒されたい、普段の組織にお疲れの方にはかなりオススメです。
2投稿日: 2017.02.07空母いぶき(1)
かわぐちかいじ,惠谷治
ビッグコミック
女性でもサクサク読めます
中国の漁船と海上保安庁の船がぶつかった事件、隣国の方が尖閣諸島に上陸した事件など、そう言えば前にニュースでみたような?‥.という題材から話が始まります。 そこから話が展開していくため、戦争になりそうな空気感や、緊張感が非常にリアルです。 自衛隊の使う専門的な言葉や武器が詳しくわからなくても、もしかしてこうなってたかも?という巧みな設定によって、グイグイ引き込まれていきます。 難しい事はわからないけれど、尖閣諸島や米中韓と日本の最近の関係性を考えるきっかけやヒントを得たい方にオススメです。
3投稿日: 2017.02.06無花果とムーン
桜庭一樹
角川文庫
少女は死を超えられるか
ごく普通の女の子が思春期特有の孤独感に身を置き、自分と向き合うまでの成長物語です。その過程に兄の死や謎の美少年だったり、不思議な体験だったりといった非日常が織り込まれており、一般的な青春小説とは距離を置いた作品に仕上がっていると思います。 虚構と現実味の配合具合が絶妙で、ともすれば嘘くさくなりがちな設定と風呂敷が、最後にどんどんまとめられていく疾走感が読んでいて快感を与えてくれます。 衝撃的な出だしから一気に最後まで読ませる力のある小説なので、時間が取れない時に読むと続きが気になってしょうがない状態に陥るため注意が必要です。
0投稿日: 2016.10.04ヒヤマケンタロウの妊娠
坂井恵理
BE・LOVE
男が妊娠する時代がきたら!?
独身の主人公(男)が妊娠して出産するまでがオムニバスで演出されていきます。 あり得ない設定ですが、計算された構成がリアルさを演出してくれています。なので読んでみると、ドタバタコメディというよりも、笑いありの体験記といった印象を受けました。 シングルで妊娠したOL、全く妊娠中の妻を気遣わなかった夫、妊娠を経験した高校生男子‥.など、様々な立場の人間が妊娠と出産について考えていくので、一冊でエッセイを読んだような満足感を得られます。
1投稿日: 2016.08.04妊娠17ヵ月! 40代で母になる!
坂井恵理
BE・LOVE
もしも‥.を考えるプレママへ
40代の作者の実体験を元にしたマタニティー漫画です。 独身での妊娠、死産、高齢出産がテーマとして出てきます。死産を経て再び妊娠して出産するまでのリアルな気持ちに焦点が当てられており、マタニティー漫画にしては怒ったり悲しんだりといったネガティブな面にも踏み込んだ内容になっています。なので、もしもを考えてしまうプレママの心の有りようの参考になるかもしれません。 おまけ要素としては、高齢出産あるあるの漫画と、作者コラム、産婦人科医の視点からの解説が入っており、なかなか盛りだくさんな内容になっています。
0投稿日: 2016.08.04クジラの子らは砂上に歌う 1
梅田阿比
ミステリーボニータ
世界に入り込みたい方向け
砂漠の中を漂う箱庭の中で、規律を守り素朴に暮らす少年。短命の宿命、世界の秘密、感情を捨てた国との戦い、廃墟船、幻の塔‥.完成された世界観の元、主人公の視点を通して少しずつ謎が解き明かされていきます。 物語が書かれた本を作者が手に入れ、描き起こした‥.等、後書きまでしっかり構成に入れられている所は小説を読んでいるような重厚さです。 一巻は物語の導入がじっくり展開されていくため、世界観に圧倒されます。セリフはそこまで長くないですが、伏線を見返したりすると読み終えるのに比較的時間を要します
2投稿日: 2016.08.03ちいさいひと 青葉児童相談所物語(1)
夾竹桃ジン,水野光博,小宮純一
少年サンデー
子供への愛を考えるマンガ
最近ニュースなどで話題になる事が増えてきた幼児・児童虐待。結果を聞くだけでも痛ましいですが、マンガを見る事で具体的に背景や状況を踏み込んで考えるキッカケになりました。特別な家庭にだけ起こる、自分とは関係ない世界‥.と思っていましたが、身近に潜んでいるものなのかもしれません。 青年誌の社会派マンガだとリアル過ぎてツライですが、こちらはサンデーに掲載されているものなので読後も安心できる内容になっています。 子供の問題に興味がある方、自分と子供の関係を考えたい方の最初の一歩にいいと思います。
0投稿日: 2016.08.03はざまのコドモ 息子は知的ボーダーで発達障害児
沖田×華,君影草
本当にあった笑える話
子を持つ全ての方、これからを考えてる方向け
原作者の実体験を、透明なゆりかごの沖田×華さんが描き起こしたマンガです。 健常者と障害者のハザマである“ボーダー児”とその親の歩みを、実話に基づいて誕生から中学生になるまで収めてあります。 子を産んでの葛藤や、離婚、公的機関を頼れないツラさ、それらを自分一人で飲み込んで子供を支える主人公。悩みながらも子供に最良の道を模索し続ける様は、子を持つ親やこれからを考えている方なら誰でも共感できる所が多い作品だと思います。 ハードな内容ですが、沖田×華さんの独特の表現によって、淡々と語られたり笑いに変えられています。なので読後は重い気分にはならず、爽やかで前向きに自分の人生や子供について考えるキッカケになりました。
0投稿日: 2016.08.02上と外 完結上下巻セット【電子版限定】
恩田陸
幻冬舎
今すぐ冒険に出られる
小さい頃に姉弟でした冒険や、迷子になった時の体験に似た不安やらドキドキ感やらを思い出しつつ読みました。 内容は、日本に暮らす兄妹が父親に会うために訪れた南米で迷子になる話です。かいつまむと突拍子も無い設定のようですが、整合性の取れた最後まで一気に読ませるストーリーです。ジャングルの濃い緑や蒸し暑い空気、神秘的な遺跡とそれにまつわる現地の人々の息遣いが背後でするようなリアルさが、うまく描写されています。先が気になる、読んでいてすぐに引き込まれる作品で、現実を離れて冒険に出たい方にオススメです。
2投稿日: 2015.10.23二十四の瞳
壺井栄
角川文庫
古き良き時代のき○ぱち先生
主人公の女教師が等身大なので、精一杯生徒に関わり奮闘する姿に、自分を重ねて追体験している感覚になります。 作者の語りたい主題は度々語られますが、例のドラマの先生より押し付けがましくないです。爽やかな読了感、働き出した頃のひたむきさを思い出したい、人の死や嘘くさい演出に頼らない感動などを求めている方は一読を!
2投稿日: 2015.10.16