食いしん坊花子さんのレビュー
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二都物語(下)
ディケンズ, 池央耿 / 光文社古典新訳文庫
シドニー・カートン、世界文学史上、最強のかっこよさ!(かもしれない)
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素晴らしいです。
特に物語終盤、シドニー・カートンが愛するルーシーの窮地を救うための
“決意”からのたたみかけるような緊迫感、まさに息を飲むようでした。
そして、ただ一言、シドニー・カードンが愛す…るルーシーに投げかけた言葉。
思わず涙がこぼれました。
そしてそのまま、終盤まで駆け抜けていくのです。
現代ではきっと“ありえない”小説です。
現実としても、お話としても。
現代日本でこういう小説が書かれることはないだろうと思います。
古典だからこそ存在しうる力強さともいえるでしょう。
シドニー・カートンの魅力を語り継ぐに足る、
これ以上は考えられない素晴らしい新訳だと思います。 続きを読む投稿日:2017.03.09
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アンナ・カレーニナ 4
トルストイ, 望月哲男 / 光文社古典新訳文庫
秀逸なリアルさ。
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これや翻訳の方の素晴らしさもあると思いますが……。
とてもリアルな描写がグっと印書に残ります。
情緒不安定になり、薬に溺れ、取り乱すアンナの描写が秀逸です。
特に、有名なアンナのラストの場面の
「生…身」を感じるリアルさは、生々しく、かえって凄みすら感じます。
アンナ・カレーニナを読み終えて、トルストイのパワーにひたすら驚き、
その卓越した描写力に圧倒されました。
そして、これまでわからなかったリョーヴィンの魅力や面白さが
十二分に伝わる新訳に感謝です。
欲深い読者の一人として
同じ訳者で是非『戦争と平和』が読みたいです!
続きを読む投稿日:2017.03.09
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アンナ・カレーニナ 3
トルストイ, 望月哲男 / 光文社古典新訳文庫
ロシアの農業に俄然、興味が芽生える!
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夫カレーニンとの離婚が成立しないまま、
ヴロンスキーとの田舎生活を送るアンナのところに
義姉のドリーが訪ねていきます。
ドリーは浮気性の夫(アンナの兄)に手を焼き、
子どもたちの世話(何人いたのやら…、というくらい多い)に手を焼き、
生活にうんざりしていたところにアンナを訪問します。
そうするとアンナの優雅さや、自分の日常とあまりにかけ離れた生活に
ひけめを感じますが……。
アンナというヒロインは強烈で確かに魅力的ですが
農村生活を送るリョーヴィン側の描写も本当に魅力的で、
アンナの魅力は映像的ですが、リョーヴィンの魅力こそ、文字の力を発揮できるものなのかもしれない、
トルストイの凄さはこういうところにあるのかもしれない、と思いました。
農作業を頑張るリョーヴィンの場面が読んでいて病みつきになります。
続きを読む投稿日:2017.03.09
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アンナ・カレーニナ 2
トルストイ, 望月哲男 / 光文社古典新訳文庫
リョーヴィンが主人公……?
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お話としては(古典だし、ネタバレというほどでもないでしょうが)、
アンナとヴロンスキーとの破滅的な愛、という切り口がクローズアップされていますが。
実際に読んでいると、群像劇ともいえて、
特にアンナ…×ヴロンスキーカップルから
多大に影響(被害?)を受けたキティ×リョーヴィン夫妻側のお話もとても面白いです。
領地管理、農作業への思いなどが、リョーヴィンの熱い思いが滴るようです。
またトルストイはひとつひとつのエピソードというか仔細な描写が面白く、
浮ついたように見える色男ヴロンスキーがだらしないところが大嫌いで結構なけちんぼで
「財布の洗濯」なる作業に勤しむ、なんて箇所は感心してしまいます。
古典は偉大だから面白い、というよりは
面白いものがぎゅうぎゅう詰まっているから、偉大なのだと思いました。
長いことは認めますが。
続きを読む投稿日:2017.03.09
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アンナ・カレーニナ 1
トルストイ, 望月哲男 / 光文社古典新訳文庫
アンナ・カレーニナってこんなお話だったんですね!
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世界文学を代表する、メロドラマ!
ヒロインが冒頭なかなか、出てこない!
その程度の知識で、よしよし、世界文学にドーンとチャレンジ!
そんな「挑戦」気分でとりかかったら、
全く違いました……。お勉強気…分などふっとぶほど、面白いです。
そして、文章が流暢でとても読みやすいです。
新訳だからだと思いますが、昔の外国文学へのイメージを塗り替えるような
読みやすさとわかりやすさです。
アンナのお兄さんの人間臭さも(笑ってしまいますが)、
アンナのお兄さんの奥さん(つまり義姉)のちょっとプンスカしたところも、
生活感があり、生き生きとした描写がとても面白いです。
そして、ヴロンスキーがアンナに仕掛ける恋の罠。
アンナの反応も、なんていうのでしょうか、、
今後の展開がとても楽しみです!
そしてアンナの息子を思う気持ちの強さも。
「こういう感情量の大きい、情の深いタイプの女の人は大変」なんですよね。。 続きを読む投稿日:2017.03.09
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バブル女は「死ねばいい」~婚活、アラフォー(笑)~
杉浦由美子 / 光文社新書
タイトルが素晴らしいです。
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タイトルにひかれて読みました。
どんな罵詈雑言が……と思ったら、
内容はかなり、真面目なものでした。
世代間差というのはしょうがないのかもしれません。
いつの時代も「最近の若者は」と言われますし、
…いつの時代も、自分の上の世代の方との付き合いに悩む……
もやもやっとしたとき、ちょっと思い当たることがあったら
オススメです。
タイトルが与える過激さよりも、真面目さ、そして意外にも思いやりも感じます。 続きを読む投稿日:2017.03.08