うえぴーさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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大きな森の小さな密室
小林泰三 / 創元推理文庫
ミステリ好きにこそ読んで欲しい作品
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東野圭吾の『名探偵の掟』を彷彿とさせるメタミステリ短編集。著者の作品は初めて読みましたが、幅広い活躍をされているようで、何冊かあるストックを読みたくなりました。濃いキャラクタが大勢出てきて、会話劇とし…ても楽しいし、深い造詣があるからこその、ミステリのお約束をあえて外していく展開も面白い。「更新世の殺人」は殊能将之の『黒い仏』を想起させる脱力ミステリ。一番のお気に入りです。 続きを読む
投稿日:2014.06.11
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体育館の殺人
青崎有吾 / 東京創元社
ロジカルミステリの第1作
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ロジカルでアニオタな学園ミステリ。評判は見聞きしていましたが、デビュー以降も順調に新作を出しているようなので、読んでみました。想像していたほどアニオタ度は高くなく、おっさん読者でも置いてけぼりにされる…ことはありませんでした。肝心の内容は、なかなか堂に入ったパズラーで、「体育館を密室にする(なってしまう)」という、あまり考え付かないような難題をクリアしているだけでも嬉しくなってしまいます。設定に無理はあるけれど(語り手と刑事が××とか)、著者が大学生であることを考えると文章もこなれていて、これからが楽しみ! 続きを読む
投稿日:2014.06.11
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サクリファイス
近藤史恵 / 新潮文庫
レースの世界を知らない人にこそオススメ!
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ミステリとしても完成度が高いけれど、スポーツ小説としても素晴らしい。タイトルの真の意味がわかるラストでは、鳥肌とともに感動が押し寄せました。
解説にもあるように、自転車競技の入門書としても優れている(…と思う)ので、こんど世界のレースを観てみたいと興味が湧きました。続編が楽しみ! 続きを読む投稿日:2014.06.07
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顔 FACE
横山秀夫 / 徳間書店
小粒な作品集ながら満足度高し
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一気読み。『陰の季節』収録の「黒い線」で登場した平野瑞穂が、本作では一人称の主役で登場。あの事件から1年、復職したものの警察内部では邪魔もの扱いされる日々。「似顔絵婦警」だった頃の誇りと才能を武器に、…困難な事件へ介入していく。
男女の格差、後輩からの嫉妬、自分の中にもある同性への蔑視など、「婦人警官」を扱った小説の中でも、凡百の警察小説には到達しえないレベルと視点の鋭さ。それにミステリ度も高く、満足度は非常に高い。 続きを読む投稿日:2014.06.07
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魍魎の匣(1)【電子百鬼夜行】
京極夏彦 / 講談社文庫
ミステリとSFと幻想小説の融合
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妖怪シリーズ2作目。
電子書籍版では関係なくなってしまいましたが、本の形態でのレイアウトにこだわった造本をしたのがこの「魍魎」から。
どんなレイアウトなのか気になる人は、紙の本も読んでみてください。
…内容としては、冒頭の幻想小説がラストに至ってまったく別のものに変容してしまう様に、驚きを通り越して嘆息しました。
本作で推理作家協会賞の長編賞を受賞。
2作目にして伝説の作家となりましたね。 続きを読む投稿日:2013.10.15
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鏡の中は日曜日
殊能将之 / 講談社文庫
「新本格ミステリ」への熱烈なオマージュ
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新本格ミステリを初期から読んでいればいるほど面白さが分かる1冊。
装丁やモチーフ、解決に至るまで、完全に綾辻の館シリーズのパロディ。
「名探偵」という装置に対する考察も深く、いろいろ考えさせられる。
…何も考えずに読んでも楽しいですよ。 続きを読む投稿日:2013.10.15