
鏡の中は日曜日
殊能将之
講談社文庫
「新本格ミステリ」への熱烈なオマージュ
新本格ミステリを初期から読んでいればいるほど面白さが分かる1冊。 装丁やモチーフ、解決に至るまで、完全に綾辻の館シリーズのパロディ。 「名探偵」という装置に対する考察も深く、いろいろ考えさせられる。 何も考えずに読んでも楽しいですよ。
1投稿日: 2013.10.15
黒い仏
殊能将之
講談社文庫
物議を醸した問題作!
初読時はぶっちゃけ意味不明でした。 ネットでいろいろ検索してみたところ、ラストの文章にまったく違った意味があると知り、ずいぶんひねくれた面白さを提供してくれる人だなあと感心したものです。 クトゥルー神話をモチーフに、ミステリアスな事件が起こりますが、無能の探偵・石動と超有能な助手・アントニオが漫才みたいな会話をしているうちに、なんとなく事件が解決してしまう……しかし。 深読みすると、アンチミステリとしての楽しみもあり、再読、再々読の楽しみが待っています。
1投稿日: 2013.10.15
美濃牛
殊能将之
講談社文庫
いつまでも読んでいたくなる、楽しい作品
石動探偵初登場作。 横溝正史的な世界観でオールドミステリマニアをニヤニヤさせてくれます。 個人的には途中の句会で出てくる「アクィナスを嫁に読ませちゃいけません」の句がベスト。 思わせぶりなネーミングを深読みするも良し、石動探偵のダメっぷりを楽しむも良し。 いろんな楽しみ方ができる、殊能作品の中で最大スケールの一冊。
3投稿日: 2013.10.15
ハサミ男
殊能将之
講談社文庫
いまは亡き殊能センセーのデビュー作
追悼の意味をこめて、13年ぶりの再読。 いちばん大きな●●誤認トリックだけを記憶していたけれど、その他の部分はほとんど忘れており、新鮮な読書体験をしました。 デビュー作で、この完成度。すごい人だったんだな、としみじみ思う。 スタイリッシュで、洗練されていて、いま読んでも色あせていない。
2投稿日: 2013.10.15
山猫の夏 【新装版】
船戸与一
講談社文庫
南米3部作の嚆矢
「ロミオとジュリエット」をモチーフにした、痛快冒険小説。 冒頭とラストは初読から20年以上経った今でも忘れられません。 これを第1作とした「南米3部作」も販売されていますので、まずこの小説をとっかかりにしてみては? まだReaderStoreでは販売されていないようですが、個人的な最高傑作だと思う『猛き箱舟』もスゴいぞ!
0投稿日: 2013.10.15
博士の愛した数式
小川洋子
新潮社
映画もいいけど、小説もおすすめ!
静かな感動が、小さな波紋のように押し寄せてくる小品。 数学に秘められた「詩」や「物語」を、愛しさを込めて語る博士。 自分の病気を当たり前に受け入れた彼は、限られた記憶の中で、自分の愛する数学とその周辺の人々を、やわらかな包容力で見つめ続けた「静」の人だと思います。
2投稿日: 2013.10.15
十角館の殺人〈新装改訂版〉
綾辻行人
講談社文庫
日本の「新本格ミステリ」は本書から始まった
おそらく出版されてすぐ読んだと記憶しています。 クリスティの『そして誰もいなくなった』へのオマージュでもあるので、先に読了しておくと、さらに驚きを増すでしょう。 ここからワタシのミステリ彷徨が始まったと思うと、たいへん感慨深いものがあります。 歴史的意味でも傑作だし、終盤のあの「ひと言」は今でも鮮烈に覚えています。
10投稿日: 2013.10.15
江戸川乱歩傑作選
江戸川乱歩
新潮社
ミステリ好きは必読! ハズレなし!
日本推理小説文学史上、最高峰の巨人の精華集。デビュー作の「二銭銅貨」にはじまり、ミステリ、ホラー、サスペンス、どれを取っても最高の短編。ワタクシの偏愛は「芋虫」、「鏡地獄」。
0投稿日: 2013.10.15
