Reader Store
44αさんのレビュー
いいね!された数41
  • 殺人鬼 ――覚醒篇

    殺人鬼 ――覚醒篇

    綾辻行人

    角川文庫

    高速道路に似ている

    殺人鬼に不意打ちや追跡をされるスプラッタの鉄板ネタ。鉄板ゆえに、読んでいる途中で飽きがきてしまった。 中だるみをしているのでは決してないのだが、殺人鬼の動機や過去がほとんど描写されずひたすら殺戮シーンが続くため、高速道路を運転しているのに似た、スピードはあるけれど単調で眠たいような感覚に襲われた。 ミステリとしてのオチはいつもの綾辻行人なので目新しさはなかった。

    0
    投稿日: 2016.02.02
  • 幕末Rock-howling soul-: 2

    幕末Rock-howling soul-: 2

    上田信舟,マーベラス

    Comic ZERO-SUM

    打ち切りなのでこれでおしまい

    1巻と同じく、アニメの内容そのまま。 ただ、掲載誌で打ち切られたらしく、重要なシーン以外は軒並みカットされている。シンディのソロエピソードもまったく触れられておらず、あらすじをただ追っただけ。幕末Rock贔屓の目から見ても、不満足な一冊だった。 アニメのおさらいに読んでもいいかもしれない、といった感じ。

    0
    投稿日: 2016.02.02
  • 銀漢の賦

    銀漢の賦

    葉室麟

    文春文庫

    スリルはないがあたたかい

    月ヶ瀬藩の郡方の日下部源五と老中の松浦将監は、同じ剣術道場で修行をした幼馴染みだ。 しかし、20年前に確執が生じて二人は絶交。 そんな中、源五は将監の暗殺を依頼される── 全体を通して、男どうしの友情が細やかに描かれている。 将監と源五の仲違いに至るまでの過程が回想によって徐々に明らかになっていくさまが面白い。 また、回想と並行して現在の視点で進行する将監暗殺計画に源五はどんな決断を下すのか…と先が気になって仕方がなかった。 ただ、登場人物の性格や、幼い日の恋心、老人が若い娘に惚れられる…といった演出は、時代小説を読み慣れている身には目新しさは感じられなかった。 戦闘シーンが淡白で、将監や源五がすでに老境の悟りを開いているような状態のため、読んでいてハラハラドキドキはしない。 老人が友情を温めなおす過程をゆっくり味わうための小説だろう。

    1
    投稿日: 2015.04.11
  • 忌談

    忌談

    福澤徹三

    角川ホラー文庫

    都市伝説集

    幽霊話から人間って怖い系の話まで、都市伝説(前書きによると著者の取材に基づくらしい)をまとめた一冊。 話自体はネットにいくらでも転がっていそうな感じだが、読みやすくまとめられているうえ収録数が多いので、お金を出しても損した気分にはならない。 怖さは過激すぎずぬるすぎず、私にはちょうどよかった。

    1
    投稿日: 2015.04.01
  • ON 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子

    ON 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子

    内藤了

    角川ホラー文庫

    ミステリでもホラーでもなくファンタジー

    自分で自分を猟奇的に痛めつけたすえの自殺… 殺しか自死かも分からない不可解な事件を、新米刑事の藤堂比奈子が追う。 非常に衝撃的な出だしで、途中までは楽しく読めた。 が、中盤からは「これは超常的なオチなのではないか?」という雰囲気が漂い始める。 個人的には「やっぱりこうなるか…」というガッカリした結末だった。 ミステリ風のタイトルを冠したファンタジーとして読めばオススメできなくもない…といった作品だ。

    5
    投稿日: 2015.03.30
  • 蒼き狼(新潮文庫)

    蒼き狼(新潮文庫)

    井上靖

    新潮文庫

    怒濤の結末

    モンゴル帝国の始祖・チンギスハンの一生を描いた作品。 序盤から中盤にかけてはただ淡々と事実が綴られているだけだが、その様相はチンギスハンが「自分の息子は本当に血の繋がった子なのか?」と苦悶しはじめることで一転。 感情が怒濤となって溢れ出す。 チンギスハン自身も父親から「実の子ではないのかもしれない」という扱いを受けており、その立場に置かれた子がどれほどの悲しみと苦しみに苛まれるかをよく分かっていた。 分かっていたはずであるのに、自分がいざ疑惑を抱く側に立たされると、父と同じ轍を踏んでしまう。 そこから脱却しようとあがくチンギスハンの姿が胸に迫る。 「父と子」というテーマが全体を強く貫いている作品だ。

    0
    投稿日: 2015.03.30
  • 孔子(新潮文庫)

    孔子(新潮文庫)

    井上靖

    新潮文庫

    井上靖、最晩年の作

    著者が80歳の時に書かれた最晩年の長編小説。 「孔子」とタイトルがついているが、孔子自身はいっさい登場せず、孔子の小間使い(?)を務めていた男が、晩年にいたって孔子との思い出を語る…というストーリーになっている。 彼の話を聞きながら聴衆たちが喧々諤々と孔子の教えや人となりについて議論しているさまからは、井上靖がひとつの歴史、ひとりの人物を様々な角度から見ていたことが読み取れる。 小説というよりは、井上靖なりの孔子観とでも言った方が適切かもしれない。 個人的には、「孔子は子貢より子路を愛していたのか?」という疑問について、答えは出ないながらも納得のできる結末が用意されていたのがよかった。 中国小説を多く執筆してきた井上靖の最後にふさわしい作品だった。

    1
    投稿日: 2015.03.30
  • 切断

    切断

    黒川博行

    創元推理文庫

    スリリング

    「切断」というタイトルの通り、人体切断がキーとなっている。 そのキーを殺害手段と動機に絡める手法が巧みなうえ、ミステリ、サスペンス、ホラーの要素が次々と展開される。 一気に読めること請け合いのスリリングな作品。 ただし、トリックが単純なため序盤で容易く解けてしまう。 本格好きな人には薦められない。

    1
    投稿日: 2015.03.30
  • 獣儀式 狂鬼降臨

    獣儀式 狂鬼降臨

    友成純一

    アドレナライズ

    エロスとスプラッタに特化した作品

    地獄から現世へ「鬼」が現出し、殺戮と陵虐の限りを尽くす── 鬼になすすべもなく虐殺される者、立ち向かう者、人間どうしで食らいあう者…極限に置かれた人間たちの有様がまざまざと描かれている。 SM雑誌に連載されていただけあって、残虐シーンの生々しさとそれを描くことへの執念がが尋常ではない。 ひたすらスプラッタとエロ描写が続くため、最後には飽きてくるのが難か。

    1
    投稿日: 2015.03.30
  • 幕末Rock-howling soul-: 1

    幕末Rock-howling soul-: 1

    上田信舟,マーベラス

    Comic ZERO-SUM

    ゲーム、アニメのファン以外にはオススメできない

    アニメの漫画化モノ。 少々の小ネタの追加はあるが、ほぼアニメそのままの内容のうえ、漫画として面白いとはいえない。 個人的にはそこそこ満足だが、幕末Rockファン以外にはオススメできない。

    0
    投稿日: 2015.03.30