
はなとゆめ
冲方丁
角川文庫
枕草子は清少納言と定子の共作だった
清少納言の文才を見出したのは、彼女が仕えた中宮、藤原定子。定子のプロデュース能力が清少納言を日本女性初のエッセイストに育て上げた。 本小説の主人公は間違いなく、中宮定子だ。
6投稿日: 2014.02.03
沈黙
遠藤周作
新潮社
沈黙する神を信じられるのか?
島原の乱をきっかけにキリシタン弾圧が激しくなった江戸時代。踏み絵を拒む農民たちは拷問をかけられ、死んでいく。その一方、信仰を広めようと来日したポルトガルの司祭は背教者となり、幕府より日本人名を授けられる。 それじゃ、キリストの前では拷問で死んだものが善で、ポルトガル司祭は悪なのか。そんな簡単に割り切れるものなのか。沈黙する神の前で、その答えは出ない。
4投稿日: 2014.01.12
八甲田山死の彷徨
新田次郎
新潮社
真冬に読むと凍死します。
日露戦争勃発の2年前。日本陸軍は対ロシア訓練として真冬の八甲田山走破を2つの部隊に命じる。結果、片方は無事に訓練完遂。もう片方は約200名が全滅。全滅までに至る描写がとにかく寒い。凍るような寒さを描かさたら新田次郎の右に出るものはいない。冬に読むときは、暖房の前で。
1投稿日: 2014.01.03
凱歌の後
塚本青史
講談社文庫
(株)漢の劉邦頭取へ倍返し
項羽との争いに勝利した劉邦が中国を統一。しかし、劉邦の部下たちに凱歌を揚げる余裕はない。人一倍の猜疑心を持つ劉邦へ忠誠をコレでもかと見せつけなければ、生き残れない。倍返しを考える暇もない、孤独な管理職たちのドラマ。
0投稿日: 2013.12.08
始皇帝
塚本青史
講談社文庫
ブラック企業の社長の元祖
自ら才能を誇り、人を信じない始皇帝。中国統一を成した彼は後継を作ることよりも、不老不死となって自分が永遠に統治者として存在しようとした。独裁者の心理とは、そんなものかもしれない。
0投稿日: 2013.11.08
5年後、メディアは稼げるか―Monetize or Die ?
佐々木紀彦
東洋経済新報社
5年後のことなんて当たらないに決まってる
進化の早い社会の昨今、メディアの将来を予測するという、暴挙。説得力はあるけど、それが当たるかどうかは別問題。
0投稿日: 2013.10.27
采配
落合博満
ダイヤモンド社
すべては勝つために
中日ドラゴンズを優勝させるという契約。8年間の監督生活は、その契約を果たすだけだった。
0投稿日: 2013.10.11
歩兵の本領
浅田次郎
講談社文庫
君、いい体してるね。自衛隊入らない?
時は高度経済成長期。就職は売り手市場。自衛隊に就職する奴なんて、脛に傷持つ奴に違いない。そんな時代の自衛官青春グラフティー。 浅田次郎って、元自衛官だったんだ。
1投稿日: 2013.10.11
仮釈放
吉村昭
新潮社
吉村昭の説く「罪と罰」
罪を悔いるために罰がある。しかし、罰を受けた男は罪を悔いる気持ちを持てなかった。罰せられたことにどんな意味があったのか。自問する男は再び罪を犯す。
0投稿日: 2013.10.04
或る「小倉日記」伝―傑作短編集(一)―
松本清張
新潮社
がんばれシングルマザー
障害を持ち、社会から遠ざけられた我が子が生きがいとした森鴎外の研究。母はすべてを捨てて、息子に尽力し、そして疲れ果てた。
0投稿日: 2013.10.04
