E2tyさんのレビュー
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火花
又吉直樹 / 文春文庫
又吉さんの人のよさが伝わってくる作品
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芸人の何気ない日常の、何気ない気持ちをとても上手く、細やかに表現してあり、人の微妙な心理変化を見事に描いた作品だと感心させられました。
又吉さんが芸人ならではの描ける登場人物の芸人らしい会話、一般的…な職業と違って様々に岐路にたち決断して行く芸人たちの描写もとてもリアルでモデルがいるかと思わせるような内容でした。
最後のオチも不思議でしたが、一本切れた芸人のどこかリアルなオチであったのかと思います。
とにかく作品を通して又吉さんの人のよさが伝わってくる内容でした。今後の作品や過去の作品にも興味が湧きました。 続きを読む投稿日:2017.03.19
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合本 64(ロクヨン)【文春e-Books】
横山秀夫 / 文春e-Books
内容の濃さに覚悟して読む一冊
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長い長いストーリーでした。内容も警察の広報部と記者の内情で少し難しく、またなかなか展開を迎えなず問題だけが山積していき、読み入るまでに時間を要し最初はダラダラと読んでいました。が、物語の3分の2を過ぎ…た辺りから怒濤の展開があれよあれよと、その後は一気に読みきってしまい今これを書いています。
警察の広報部と記者の間にこんなやり取りがあるのだということを初めて知りながらも、その中で翻弄されながらも自分を見失わないで走り抜ける主人公の生きざまは生き生きと感じ取れました。
時代設定は少し前のようで、ナンバーディスプレイや携帯のGPS機能が出始めた頃のようです。
何はともあれ内容の濃さに圧巻です! 続きを読む投稿日:2017.04.01
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死刑はこうして執行される
村野薫 / 講談社文庫
日本の死刑制度について知る決定版
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日本の死刑制度やその歴史について事細かに、また一般的な死刑制度についてだけでなく実際の死刑囚を例にとりながら詳細に説明してあります。また日本は明治時代に定められた刑法以来変わらずに絞首刑です。
「死…刑囚にとって刑の執行とは死刑死そのもの」という考えから懲役囚とは違って強制労働もなく、服装や髪型も自由である、また日用品雑貨・食料・文具も買えるというわりと自由であることに驚きました。このような待遇は死刑囚にとってより現世への未練を生み出すのでしょう。
処刑の流れや死の瞬間、処刑後についても詳細に書かれており、死の瞬間は文章だからこそ読めるものもその描写はかなり具体的です。今まで絞首刑は一瞬で死ぬものと思っていましたが、どうやらそうではなさそうで、日本は苦しみながら死に至らしめることによって死刑死の意味を持たせているのではないかと思いました。
また誰が処刑後の遺体を処理するのかといったことも書かれており、そのからくりになるほど世の中うまい具合にまわっているのだと思いました。
本書の出版から10年以上経っているので、また現在は死刑囚の状況等も変わっているかと思いますが、改めて日本の死刑制度について知りじっくり考えさせられました。 続きを読む投稿日:2017.04.30