右近橘さんのレビュー
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ステノグラフィカ
一穂ミチ, 青石ももこ / 幻冬舎ルチル文庫
ステノグラフィカ
一穂ミチ, 青石ももこ
この誤解、もう解ける気がしない。
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平凡で静かな生活を続けてきた国会速記者の碧。政治部記者の西口。
正反対ぐらいに違う二人だけれど、同じ言葉を扱う仕事だからかしだいに魅かれ合っていくのがとても自然でした。
最初の小さな誤解から、二人の関…係にヤキモキさせられるのですが、タイトルにしたこの碧の台詞が、途方に暮れてる感じで可愛かった。(顔にはでないんですけどね)
碧の人柄がとても好きで、なんだか皆さん彼の前では本心をぽろっとしゃべってしまう。
それは、彼に聞いてもらったら、何も言わずその心の言葉たちを書き留めて、人知れずそっとしまっておいてくれる。そんな風に思えてしまうからなんだろうなーと。いいなぁホッとする。西口さん惚れるよね。メロメロだよね。
いろいろ心に残った言葉がありましたが、ホロっとさせられたのはやはりこのシーン。
「黒子ですから』
碧は答えた。
「誰も僕を気にしない、透明人間です。それが仕事ですから」
この後続く碧の台詞。
こんな静かな光が差し込むような喜びの言葉に、ちょっと涙しました。
続きを読む投稿日:2015.05.23
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is in you
一穂ミチ, 青石ももこ / 幻冬舎ルチル文庫
is in you
一穂ミチ, 青石ももこ
一秒足らずで、心が時間を遡った。前触れのない加速で。
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二人の出会いである高校生の頃から話は始まり、香港で13年後に再会。
実にナイーブな青春ものではあるまいか、これ。
諍いらしい諍いをしたわけでもなく、好き合ってて圭輔は告白もしてくれちゃってるしねぇ。…
ただ、お互いのすごーく不器用な突っ走りと尻込みですれ違ってしまっただけ。
幼い二人が傷つけ合ったあの時間から止まっていた思いが動き出す。
というわけで、案外シンプルなお話だったな〜。
平凡にならないのは登場人物たちが生き生きとしているからでしょうね。
一束は淡々としてるけどなんだかかわいいし、圭輔は好奇心旺盛で(この辺りは記者って感じ)明るいんだけどちょっと能天気?まったく、憎めない人ってこういう人かなと。一束もかなりペースを乱され気味(笑)
一番笑わせていただいたシーンはこれ。
「ところで何してんの?」「馬鹿!」
いいシーンなのに…なんてらしいの(笑)
そして、佐伯さん。
小気味よい毒舌キャラ。一筋縄ではいかないいい人なんですが、人が悪い。
この年齢のもどかしいままならなさを二人へのいろんな意味での嫉妬に絡めて表現してくるとは…うむ。
次作は彼が主役らしいではないですかーうっわ楽しみ…。
続きを読む投稿日:2015.05.26