レビューネーム未設定さんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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万能鑑定士Qの推理劇 I
松岡圭祐 / 角川文庫
軽く楽しめるミステリ
13
そんなにコッテリしたミステリではないです。
そのため、本格的なものを期待するといささか肩透かしを食らうかもしれませんが、リーダビリティは高く、軽く楽しむにはもってこいの一冊です。
「ミステリはち…ょっと難しい……」という方でも、サクサク読めるのでおすすめできます。
それに、表紙の女の子に惹かれて完全キャラ萌えで読んでもOK。
惜しむらくは、シリーズがたくさん出ていて表紙とタイトルが似通っているためにどれを読んだのかわからなくなるところ。
これはなんとかしてほしい。 続きを読む投稿日:2013.11.13
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蒼天のサムライ 第一部 端琉島脱出戦
田代裕彦, naji / オーバーラップ文庫
硬派なファンタジー戦記
4
ライトノベルコーナーにおいて異彩を放つ表紙に惹かれた方もいるのではないでしょうか。
最近流行のファンタジー戦記ものですが、中世ヨーロッパ風の世界観を採用するものが多い戦記ものの中では珍しく、第二次…世界大戦のような近代的世界観を採用しています。
ドラゴンと飛行機が激突する世界を舞台に、ドラゴンとともに戦場を駆け抜ける兵士達の戦いが、歴史小説風の文体で描かれます。
戦記ものなら当然ですが、人死にが多く萌えのなさそうなストーリーですが、ドラゴンとの熱い信頼関係に萌(燃)えていただければ。 続きを読む投稿日:2013.12.31
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咎人の星
ゆずはらとしゆき / ハヤカワ文庫JA
21禁エログロSF
3
あらすじこそまともに見えますが、実は非常に荒唐無稽なエログロSFです。
転送ポータルを感じさせて起動させるだとか、敵の攻撃方法がどう見ても虫プレイだとか、笑ってしまいそうなほどエロで馬鹿なガジェットが…大量に詰め込まれており、人によっては悪趣味に移りそうですが、そこをギャグとして捉えられるなら買いです。
一方、本筋は至ってシリアスであり、祖母・母・娘の三代にわたる人生記を描いています。新興宗教の妄執に取りつかれた祖母、そんな祖母の手を離れ快楽に浸る母、そしてそんな母の手から逃れようとする娘……。家族の宿業が、70~90年代文化に絡めて描かれていく様は面白く、桜庭一樹『赤朽葉家の伝説』のようでもあります。
ヘンなライトノベルを読みたい方にはおすすめです。挿絵もありますよ! 続きを読む投稿日:2013.10.04
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鳥葬 -まだ人間じゃない-
江波光則, くまおり純 / ガガガ文庫
読後感激重の衝撃ミステリ
3
ライトノベルらしくない表紙から察する通り、内容もライトノベルらしくないです。
そりゃまあ、ラノベレーベルで新興宗教やいじめに真正面から切り込んでいくラノベ界の異端児こと江波光則が書いているのだからしょ…うがない。
コピーには青春群像ミステリとありますが、別に群像劇でもないし、(一巻の時点では)ミステリでもありません。
SNSで希薄になっていく自意識と、過去に犯した無意識的な殺人に対する贖罪が取り上げられており、むしろ純文学に近いテイスト。
罪の意識と人と交流することの辛さの板挟みから希望を見出せるのか、とこれ一冊でも十分読ませる本ですが、やはり後編にあたる『密葬』まで読んでこその『鳥葬』です。
『密葬』では、本作の「人と関わること」というテーマが凄まじく苛烈に掘り下げられており、しかもミステリ的完成度も非常に高い一作。『鳥葬』から張ってあった伏線が一気に回収されていく様は見事。
ですので、『密葬』もセットで買ってみてください。特に読書家にとってはかなり辛い話ですが、損はないはずです。 続きを読む投稿日:2013.11.01
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know
野崎まど / ハヤカワ文庫JA
SF作家・野崎まどの本領発揮
3
野崎まどといえば、メディアワークス文庫から変格ミステリ作品を多く発表しているライトノベル作家ですが、本作はミステリ要素抜きの本格SFです。
人間にインプラント型通信機器・電子葉が装着され、世界を過剰な…情報が飛び交う未来社会。
そこに出現した、未来すら予測できる量子葉を持つ少女の4日間の冒険が描かれます。
少ないページ数でやや駆け足気味ではありますが、バトルありロマンスありと密度は濃いです。
そして何より特筆すべきは、ラストの美しさ。なぜ仏教が引用されるのか。量子葉でしか為せないこととはなにか。すべての要素がピシッと噛み合った感動を覚えました。
続きを読む投稿日:2013.10.08
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スワロウテイル人工少女販売処
籘真千歳 / ハヤカワ文庫JA
普通のラノベに飽き足らない人におくる骨太サイバーパンク
3
イラストを『文学少女シリーズ』で知られる竹岡美穂氏が描いているので、それに惹かれた方も多いのではないでしょうか。
内容は、男性と女性が隔離されて暮らす近未来の日本を舞台としたサイバーパンクアクショ…ンで、 『文学少女』とはかけ離れていますが、普通のラノベでは物足りないと感じる方にとってはかなりおすすめです。
狂った人工妖精(人造生命やサイボーグに近い存在)を殺すことを仕事とする人工妖精の少女・揚羽が、都市を揺るがす陰謀に巻き込まれていくあらすじや、巨大メカや狂った妖精とのバトルシーン、口の悪い開発者との漫才じみた掛け合いはラノベっぽい。
しかし、親と子との関係や家族問題、性差といったテーマが盛り込まれており、ただ面白いだけでなく、深く考えさせられるような部分も多く存在します。
『マルドゥック・スクランブル』や『BEATLESS』といった美少女×サイバーパンクものが好きなら、是非読んでみてください。 続きを読む投稿日:2013.10.25