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wingfootさんのレビュー
いいね!された数93
  • 黄砂の籠城(下)

    黄砂の籠城(下)

    松岡圭祐

    講談社文庫

    面白いとは思います

    一気に上下巻を読ませるスピード感があり、楽しく読むことができました。 ただ、主人公がスーパーマンすぎ、籠城戦のスケールが小さくなってしまった感があります。もう少し群像劇っぽいほうがよかったような。 いずれにしても、柴 五郎について知ることができてよかった。 文体は嫌いではないので、この作者の他の本も読んでみたいです。

    0
    投稿日: 2017.10.13
  • 虐殺器官

    虐殺器官

    伊藤計劃

    早川書房

    良心とは

    本作品を読んで、ハインラインの「宇宙の戦士」を思い出しました。 「さや」に入って敵地に進入する部分なんかは特徴的かもしれませんが、それよりも様々な価値観について色々考察されている点に、共通点を感じました。 特に「良心(道徳意識)」について、宇宙の戦士では、主人公の歴史の先生が「人間は道徳本能をもって生まれてきはせず、訓練や経験を通じて道徳意識を得るものだ」と指摘しています。これに対して本作では良心について別の視点から考察をしていますが、結論としてはかなり近いところにあるのかなと感じました。  本作の作者さんは、内容も文体も自分の感覚によく合うと思いましたが、ここのレビューを見て故人だと知りショックを受けました。せっかくなので他の作品も読んでみたいと思います。

    0
    投稿日: 2017.05.15
  • 沈黙

    沈黙

    遠藤周作

    新潮社

    信じる者は救われる?

    映画のCMを見て原作に興味を持ち、読んでみました。遠藤周作の本は戦国時代物を読んだ記憶があるのですが、キリスト教関係の本をたくさん書かれていたとは知りませんでした。  この本とは関係なく、日本人ってそれほど神様に頼っていないのではないかと考えることがあります。地震や災害も神様が起こすこと、しょうがないよね、みたいな。  本作を読んで、キリスト教はイエスによる救いをより強く求めている感じがしました(もちろん誤解があるかと思いますが)。主人公の宣教師は色々と苦難にあい、今こそイエスの奇跡が起こるべきだと考えますが、何も起きません。キリストも磔刑の時に「神よなぜ私を見捨てるのですか」と言ったとされています。  そんなに都合のいい救いなんてないよね。と思ってしまう自分は普通の日本人なのでしょうか。  遠藤周作がクリスチャンだったことも初めて知りましたが、さらにこのようなキリスト教徒の受難の時代の、ほとんど救いのない話を書いていたことにさらに驚きました。どういう思いを持って書かれたのでしょうか。他の本も機会があれば読んでみたいと思います。  最後、主人公が心の中で折り合いをつけることができたのが、せめてもの救いでした。

    6
    投稿日: 2017.05.01
  • 雨天の盆栽 1巻

    雨天の盆栽 1巻

    つるかめ

    WEBコミック Beat's

    もう一度

    まだ購入していないのですが、出版社のホームページで試し読みしました。 とうとう漫画のネタが盆栽にまできたのかと。 キャラ設定はどこかで見た気がしなくもありませんが、とにかく盆栽が題材なので、しばらく追っかけてみようかと思います。 昔、梅の盆栽を枯らしてしまったので、これを機に小物でもやってみようかな。 いろいろ言いましたが、結構絵柄が好みだったり。

    4
    投稿日: 2017.03.14
  • 西の善き魔女8 真昼の星迷走

    西の善き魔女8 真昼の星迷走

    荻原規子

    角川文庫

    オーパーツ

    この本は本編5巻の後日譚。 フィリエルは女王候補者として認めてもらうため、ひとつ間違えば世界を滅ぼしかねないことを決行しますが、相変わらずフィリエル(ならびにその仲間たち)は無謀でした。 レアンドラも突然出てくるのですが、なんとも酔狂なことをしています。 こんな人たちが女王になったらどうなるのでしょう。でも、現女王もちょっと変人でしたか。 そしてルーンは最後までルーンでした。最後にちょっとした伏線が回収されます。 やっと全巻完走しましたが、女の子たちの軽妙なやり取りは見ててほほえましいものでした。 細かいところを挙げれば色々指摘したい部分もあり、特にSFチックな部分については中途半端だと思うのですが、物語全体を本作中で禁忌と呼ばれた童話のように考えれば、全体としてとても面白い物語だったと思います。 ぜひ、女王候補たちが女王になった後の話も読んでみたいです。 今回、勢いで合本版を買ってしまったのですが、なかなか悪くなかったです。 ただ、アプリでは8冊が1冊として表示されてしまうので、完走した実感がわきにくいのが残念です。

    3
    投稿日: 2017.02.15
  • 西の善き魔女7 銀の鳥 プラチナの鳥

    西の善き魔女7 銀の鳥 プラチナの鳥

    荻原規子

    角川文庫

    今度はアデイル

    本編最終巻(5巻)でのフィリエルと同時期に、アデイルが何をしていたかが明らかになります。過去の話である6巻を挟んでしまったので、頭が付いてきませんでしたが、こちらもフィリエルに負けない大冒険をしていました。これまで、アデイルは他の姉妹に比べてましかと思っていたのですが、やはり血は争えないようです。 途中、ルーンの兄弟らしき人物が登場するのですが、このテーマについてはごくごく簡単にしか触れられていません。この話について続きはあるのでしょうか。どうも次の巻は違うようですが。 基本的なストーリーはありがちと思われるのですが、その辺はあまり気にせず楽しむことができました。

    3
    投稿日: 2017.01.31
  • ロードス島戦記 ファリスの聖女 電子版(下)

    ロードス島戦記 ファリスの聖女 電子版(下)

    山田章博,水野良

    カドカワデジタルコミックス

    バトルソング!

    上巻もそうですが、説明がないのでバックグラウンドとして小説の内容が多少入っていないと、国とか宗教とかチンプンカンプンかも。大昔の記憶に頼って読んでいます。 また相変わらず難解なコマ割りですが、これは2、3回読めばなんとか大丈夫。 それでも、中世時代風のすこし埃っぽいシーンがうまく表現されおり、魔物の造形も素晴らしいです。 個人的には、戦闘中の呪文「バトルソング」がツボでした。 昔やったロードス島のゲームがフラッシュバックしました。

    3
    投稿日: 2017.01.27
  • 守り人シリーズ電子版 4.虚空の旅人

    守り人シリーズ電子版 4.虚空の旅人

    上橋菜穂子,佐竹美保

    偕成社

    旅人シリーズもいいなあ

    守り人シリーズは繰り返し読むお気にいりの本ですが、「旅人」の話はいずれもチャグムが国家間のパワーバランスの中で木の葉のように翻弄されるのが見ててつらく、バルサ主人公の「守り人」シリーズについつい手が伸びがちでした。 それでも、久しぶりに読み返してみて、為政者としての立場に縛られながらもなんとかしようとするチャグムの純粋さと、それをサポートするシュガとのやり取りを心地よく思い、また時々でてくるバルサとの思い出を回想するシーンでは、バルサは本当にチャグムの育ての親だったのだなあと、しみじみしてしまいました。 せっかくなので、「蒼路の旅人」も読み返してみよう。

    5
    投稿日: 2017.01.26
  • 西の善き魔女6 金の糸紡げば

    西の善き魔女6 金の糸紡げば

    荻原規子

    角川文庫

    フィリエルのとんでも思考

    この巻はフィリエルとルーンとの幼少期のお話で、ルーンがセラフィールドに連れてこられたところから始まります。 北国セラフィールドでの過酷だけどのどかな生活がよく描写されていると思います。育ての両親たちのフィリエルへの愛情が深くて、今後起こることを考えると寂しくなります。 本編でもそうですが、フィリエルはルーンに対してお姉さんぶるものの、お父さんである博士の興味がルーンに向けられることに嫉妬してしまいます。この辺りは子供らしくてほほえましい、なんて思っていましたが、その思いがつのってフィリエルはとんでもないことを考えしまいます。無邪気な子供ほど恐ろしいものはありません。 この本を読んでフィリエルとルーンのバックグラウンドをよりつかむことができます。もう一度1巻から読むと、本編に対して少し違った感想が出てくるのかもしれません。

    4
    投稿日: 2017.01.23
  • 西の善き魔女5 闇の左手

    西の善き魔女5 闇の左手

    荻原規子

    角川文庫

    そういう世界だったのか

     一応の最終巻。SFチックではなくてSFでした。この世界に竜がいること、グラール国が火薬などの技術を禁忌としていた理由等が明らかになります。  今回は砂漠を超えて帝国軍が現れ、グラール国が存亡の危機を迎えます。しかしながら、フィリエル含め皆さん悲壮感といったものを見せず、むしろほのぼのとした雰囲気すら漂わせながらこれを解決してしまいます。なんども書きますが、相変わらずこの世界では移動や忍び込みが簡単に行われます。  少しネタバレしてしまうと、最後の女王陛下のちゃぶ台返しによって、結局のところ次期女王は決定しません。女王候補たちの今後の活躍は次巻以降で書かれるのでしょうか。  また、この世界について知らないこと、ユニコーンはどういう生き物なのか、童話がなぜ禁忌なのか、巻頭に出てくる詩は結局何を意味するのか、等々、残り3冊で解明されることを楽しみにしています。

    3
    投稿日: 2016.12.22