さとみさんのレビュー
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おかざき真里 / フィールヤング
不穏な空気が揺れる恋模様
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恋愛面では、もわっと黒い空気が漂います。
矢飼先生のトラウマに関係しそうな人物、清水さんの登場です。
気持ちが近づいてはいるものの、なんだか煮え切らない薫ちゃんと矢飼先生に、焦れったさを感じつつ、シロ…ちゃんのトキメキに一緒にドキドキしつつ。もやもやします。
でも、不安定な恋愛がある一方で、一生懸命に仕事に取り組む薫ちゃんも描かれてるから、彼女には信頼を寄せれます。
しんどいと、仕事に潰される場面もあるのだろう。それでも、私たちは仕事をしようとするのだと思います。なんとか踏ん張ろうとしちゃうんですよね。分かります! 続きを読む投稿日:2015.06.09
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世界の名言100選
金森誠也 / PHP文庫
人生で大切なことは、愛と勇気といくらかのお金だ(チャップリン)
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世界中の有名な人々、歴史の偉人たちの名言100選それぞれに、約2ページずつエピソードがついた内容だ。
例えば、チャップリンの「人生で大切なことは~……」という名言には、チャップリンが幼い頃から貧乏…であったというエピソード、人気が出た後は給料がアップ、しかし1940年代には国外追放になった、という話が添えられている。
名言を発した偉人たちについて、ざっくりと知るには良いのだが、もう少し何か無かったものか。という感じはした。期待していたのが、どういうシーンでその言葉が発せられたのか、という部分だったので物足りなかった。(←もちろん、難しい性質だとは思うのですが)
また、名言のチョイスについても、例えばアイザック=ニュートンは「天体の運動は計算できるが、人の気持ちはとても計算できるものではない」。もっと心に刺さる言葉があるのでは? 厳選が甘いと感じた。
以上を踏まえても、やはり言葉との出会いは一期一会のところはあると思う。目次で名言が一覧になっているので、気になる言葉があれば、ページを開いて確認すると良いだろう。
続きを読む投稿日:2016.03.02
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20代にしておきたい17のこと
本田健 / だいわ文庫
迷いも多い20代に、力を与えてくれる一冊
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著書に大ヒット作「ユダヤ人大富豪の教え」を持つ著者、本田健さんが自分の考えだけでなく、実際に「経済的にも社会的にも成功して、いま幸せな人たち」に聞いたという『20代のうちにやっておきたいこと』をまとめ…た内容。30代より上のあらゆる世代に「後悔していること」を聞き、さらに人生が順調にいっていない人にも話を聞いたということで、多くの人が考える『20代でやっておきたいこと』がそろっています。
目次になっている、その17は
1人生最大の失敗をする
2大好きなことを見つける
3一流のものに触れる
4人生を100パーセント楽しむ
5死ぬほどの恋をする
6一生つき合える親友を見つける
7両親と和解する
8自分のルーツを知る
9才能のかたちを知る
10専門分野を持つ
11メンターを探す
12人生が変わる本と出合う
13質問力を鍛える
14お金と時間の管理を学ぶ
15没頭できる趣味を持つ
16異文化に触れる旅に出る
17運について学ぶ
とどれも、バイタイリティを感じるポジティブなものばかり。
20代ならできる、ちょっと思い切ったことも、やっちゃいましょう!と背中を押してくれます。
「7両親と和解する」では、著者が学んだ最新の心理学を例に「父親と和解できていると、キャリアを積んだり、人生でさあ何かをやろうというときに、感情的な抵抗が少なくなります。」「母親と和解できていると、いまの自分を受け入れることが楽になります。創造性を育んだり、人生を味わう、楽しむということが自然にできるようになるのです。」とあります。私の胸にとても刺さった部分でした。本当に親と和解するということは、なかなか難しいことです。でも、順風な人生を送るためには、根本の部分で、それが大切なことなのだ、と思えるエピソードも紹介されていました。
悩んでいるとき、迷っているとき、読みたい1冊です。 続きを読む投稿日:2018.08.16
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スコーレNo.4
宮下奈都 / 光文社文庫
自分と重ねて、「大丈夫」と主人公も自分も応援する一冊。
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この小説は、普通の平凡な女の子が成長していく話だ。その主人公の女の子の名は、麻子。彼女には皆が持つ悩みがある。それは冴えない容姿、そしてそのせいで自信が持てないこと。
誰もが芸能人のような容姿を持っ…ているわけではない。特別なことができるわけでもない。それって、女子にとってずっとついて回ることのような気がする。どうしても、「もっと可愛ければ」「もっとキレイだったら」って思ってしまうことってあるのだ。
この小説では、その麻子が、恋に落ちる。初めての恋は、一目ぼれ。好きになったその瞬間、世界が変わって見える。相手の一言、一言がうれしくって。
次の恋は、ずっと親しい人が相手だ。何も変わらなくて良い。ずっと一緒にいるだけで良い。
けれど、恋ってなかなかうまくいかないものなのだ。
麻子は自立を求め、家から遠い大学に行く。逃げるのだ。苦しいことは忘れたいから。
その後も、恋はする。それはもう、世界が180度変わるような恋ではないけれど。年をとれば、「結婚」という大人の事情だってついてくるけれど。でも、女の子はちゃんと恋をするんだ。
大学卒業後の麻子は靴屋ですごす。沢山のことを思う。会社の人間関係の葛藤とか、靴が愛せないとか、悩む。でも、経験を積んで、仕事を愛するのだ。
最後に彼女はオンリーワンを手にする。
女の子なら、想像できるんじゃないかと思う。
ひがんでしまう時、恋する時、瞳から見える輝く世界。
どれも自分と重なってしまう。
丁寧な文章につづられた、女の子の成長。
ぜひ、女の人に読んでほしい。
もちろん、男の人にも読んでもらいたい。
大丈夫。
うまくいかないことがあっても、きっと大丈夫。社会人として頑張る麻子に、最後はきっと泣いてしまうはずです。 続きを読む投稿日:2016.09.26
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まぼろしハワイ
よしもとばなな / 幻冬舎
美しい装丁と、やさしい香りの物語
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その美しい装丁に一気に惹かれた。「まぼろしハワイ」。広がる星空。海に浮かぶ女性…。キリキリとしていた気持ちの糸が、ゆるんだ。この本に、会いたかったのだ。
なんとなく、とっつきにくくて私はよしもとばな…なさんの作品を読んだことがなかった。初のばなな作品に少し構える。本を開くと、ハワイの香りが溢れだした気がした。ハワイの空気感が良く出ているのだ。ホノルル空港に着いた瞬間に香る甘ったるい空気。それを確かに感じた。
この本は三本の短編が入っている。「まぼろしハワイ」「姉さんと僕」「銀の月の下で」。どの話も、少し事情のある家族たちの話だ。登場人物たちは皆、誰かと深いところで繋がっていたいと思っていて、傷つきながらも一生懸命生きている。ハワイでは、時間が不思議な流れをしていて、主人公はそれぞれ傷を癒やしていった。前に進む運命的な出逢いもある。
私は、偶然出会った2人の夜の散歩が魅力的な「銀の月の下で」が一番好きだ。なんて、美しいのだろう。
この本の始まりは
「ハワイ行きたい、どうしようもなく行きたいよ、ねぇ、いっしょに行かない?」であるが、今の私はまさにハワイに行きたい。そういう気持ちになるのだ。もしも失くしてしまったものがあるのならば、ハワイに行くことで取り戻すことができる。今、私はそう思えてならない。
全体的に流れる空気が心地よい作品だった。
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「なんで時間は過ぎてしまうんだろう、
どうして愛する人はみな逝ってしまうんだろう。」
まぼろしハワイ
■□■□■□■□■□■□■□■□■ 続きを読む投稿日:2016.09.26
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おかざき真里 / フィールヤング
矢飼先生が、薫にときめく
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矢飼先生との恋愛に胸を踊らせながらも、仕事に精を出す薫ちゃん。
医療事務の仕事はレベルアップし医師事務になるが、一方で自分が本当にやりたいと願っているネイルの仕事は中途半端なまま。その中途半端である…、という痛いところをシロにつかれ、自分の気持ちを確かめる作業に入る。
自分の気持ちを再確認した後、薫ちゃんはシロに言う。「中途半端なのは分かっている」と。そして、「でも、両立させたい」と。
身に染みた。
将来が不安だ。自分のやりたいことでは、自立できない。だから、両立してでも続けたい、と願う。きっと、一本道で自立している人から見るともどかしいだろう。でも、いろいろな生き方があっていい。今は、これでいい。自分の納得できる「今」という選択を、みんな続けていくんだと思う。 続きを読む投稿日:2016.11.07