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さとみさんのレビュー
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  • スコーレNo.4

    スコーレNo.4

    宮下奈都

    光文社文庫

    自分と重ねて、「大丈夫」と主人公も自分も応援する一冊。

    この小説は、普通の平凡な女の子が成長していく話だ。その主人公の女の子の名は、麻子。彼女には皆が持つ悩みがある。それは冴えない容姿、そしてそのせいで自信が持てないこと。 誰もが芸能人のような容姿を持っているわけではない。特別なことができるわけでもない。それって、女子にとってずっとついて回ることのような気がする。どうしても、「もっと可愛ければ」「もっとキレイだったら」って思ってしまうことってあるのだ。 この小説では、その麻子が、恋に落ちる。初めての恋は、一目ぼれ。好きになったその瞬間、世界が変わって見える。相手の一言、一言がうれしくって。 次の恋は、ずっと親しい人が相手だ。何も変わらなくて良い。ずっと一緒にいるだけで良い。 けれど、恋ってなかなかうまくいかないものなのだ。 麻子は自立を求め、家から遠い大学に行く。逃げるのだ。苦しいことは忘れたいから。 その後も、恋はする。それはもう、世界が180度変わるような恋ではないけれど。年をとれば、「結婚」という大人の事情だってついてくるけれど。でも、女の子はちゃんと恋をするんだ。 大学卒業後の麻子は靴屋ですごす。沢山のことを思う。会社の人間関係の葛藤とか、靴が愛せないとか、悩む。でも、経験を積んで、仕事を愛するのだ。 最後に彼女はオンリーワンを手にする。 女の子なら、想像できるんじゃないかと思う。 ひがんでしまう時、恋する時、瞳から見える輝く世界。 どれも自分と重なってしまう。 丁寧な文章につづられた、女の子の成長。 ぜひ、女の人に読んでほしい。 もちろん、男の人にも読んでもらいたい。 大丈夫。 うまくいかないことがあっても、きっと大丈夫。社会人として頑張る麻子に、最後はきっと泣いてしまうはずです。

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    投稿日: 2016.09.26
  • 脳に悪い7つの習慣

    脳に悪い7つの習慣

    林成之

    幻冬舎新書

    取り入れることから生まれる、独創性

    この本で言われている、脳に良い生き方というのは、世の中に興味・関心を持ち、積極的に生きるということである。そうすることによって、脳の性質である統一性、一貫性を持たせようという能力が、記憶力や理解力を高めるのだという。そして、多くの意見を取り入れることで、独創性が生まれる。 とても不思議だと思った。統一というとと、独創ということは対になるものだ、と考えていたからだ。 しかし、多くの意見、つまり要素を取り入れることで、幅が広がり独創的なものが生まれる、といういい分も理解できる。これは不思議な現象だ。 また、この本の読後、改めて本のタイトルを見てみる。なるほど、と思う。 興味を持ってもらうことの重要さを知っていたからこそ、あえて「悪い7つの習慣」だったのだ。 本の中には「~した方がよい」という風な表現の方が多かったように思う。うん、彼は心をはかるのが上手い。

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    投稿日: 2016.09.26
  • 聲の形(1)

    聲の形(1)

    大今良時

    週刊少年マガジン

    いじめられっ子と、いじめっ子に、救いはあるか。

    好奇心のおもむくままに、日々を楽しくすごしていた主人公、将也。 それは、他人、例えば母が営む美容院に来客する大人から見れば、ただ小学生らしく遊んでいる子どもだ。しかし、その内実、友だちが嫌がる川の飛び込みをしたり、ナメクジに塩をかけたり、遊び方はちょっと残酷。 それが耳の聞こえない転校生、西宮硝子が来たことで、遊びの対象が「西宮硝子」になってしまい、結果、いじめとなってしまう。いじめを擁護するわけではないが、きっと、「苦しめたい」と思ったわけではなかった。ただ、「これはどうだ!」「じゃぁこれは?」といった遊びが、人を苦しめ、いじめになっていた。彼には、自分がされたらどう思うか、という思いやりが欠けていたのだ。 先生は叱り、親による損額の実費支払い(将也は硝子の補聴器も壊した)、謝罪が行われる。そして、いじめの対象は自分自身になって返ってくる。小学生だって、ただ子どもじゃない。そこには、大人と同じように人間関係があり、闇がある。 ここまでは、当事者だったか、傍から見ていたかの違いはあれど、多くの人に経験がある「苦い思い出」(または現在進行系?)ではないか。主人公は以後、いじめっ子のレッテルを貼られたまま、高校生まで成長する。 いじめが返ってきた後、この物語では主人公が贖罪の生き方を選んでいる。バイトをして、母に損額金を返す。手話を勉強し、硝子に会いに行く。これが、この巻のラストシーンだが、私はここにきて初めて、この話の続きに興味を持った。 いじめがニュースとして日々取り上げられているが、いじめる側、いじめられる側との間で、一体どれだけ本当に和解がされているか。形式的な解決だけで終わっていないか。 そういった意味で、まだ続きは読んでいないのだが、この続きが重要だと思ったのだ。 ぜひ、続きも読んでみたい。

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    投稿日: 2016.09.25
  • ふつつかな父娘ではありますが(1)

    ふつつかな父娘ではありますが(1)

    長神

    シルフコミックス

    ツンデレな父(?)が胸キュンポイント?

    親戚に邪険にされながらも暮らしていた主人公が、ある日突然、財閥の息子と養子縁組を組まれ、親子(父と娘)の関係になってしまった、という話。 父・桐生馨は、当初なかなか心を開いてくれず、つれない態度をとりますが、徐々に主人公に心を許すようになります。彼は、財閥の中で親戚の権力争いに揉まれて生きてきたからか、親密な関係での人付き合いが下手なところがあり、ツンツンした態度を多々とってしまいます。 本当は、主人公のことを思った、愛情を伴った行動なのに、正しく伝わらない、馨……! そう、この話は、主人公を通して見る、馨さんの変化を楽しむ話だと思うのです。 また、表紙のとおり父と娘と言っていいのか、という二人の雰囲気。今後二人の関係がどう変化していくのかも、楽しみなところです。

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    投稿日: 2016.07.01
  • 世界の名言100選

    世界の名言100選

    金森誠也

    PHP文庫

    人生で大切なことは、愛と勇気といくらかのお金だ(チャップリン)

    世界中の有名な人々、歴史の偉人たちの名言100選それぞれに、約2ページずつエピソードがついた内容だ。 例えば、チャップリンの「人生で大切なことは~……」という名言には、チャップリンが幼い頃から貧乏であったというエピソード、人気が出た後は給料がアップ、しかし1940年代には国外追放になった、という話が添えられている。 名言を発した偉人たちについて、ざっくりと知るには良いのだが、もう少し何か無かったものか。という感じはした。期待していたのが、どういうシーンでその言葉が発せられたのか、という部分だったので物足りなかった。(←もちろん、難しい性質だとは思うのですが) また、名言のチョイスについても、例えばアイザック=ニュートンは「天体の運動は計算できるが、人の気持ちはとても計算できるものではない」。もっと心に刺さる言葉があるのでは? 厳選が甘いと感じた。 以上を踏まえても、やはり言葉との出会いは一期一会のところはあると思う。目次で名言が一覧になっているので、気になる言葉があれば、ページを開いて確認すると良いだろう。

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    投稿日: 2016.03.02
  • &(6)

    &(6)

    おかざき真里

    FEEL YOUNG

    不穏な空気が揺れる恋模様

    恋愛面では、もわっと黒い空気が漂います。 矢飼先生のトラウマに関係しそうな人物、清水さんの登場です。 気持ちが近づいてはいるものの、なんだか煮え切らない薫ちゃんと矢飼先生に、焦れったさを感じつつ、シロちゃんのトキメキに一緒にドキドキしつつ。もやもやします。 でも、不安定な恋愛がある一方で、一生懸命に仕事に取り組む薫ちゃんも描かれてるから、彼女には信頼を寄せれます。 しんどいと、仕事に潰される場面もあるのだろう。それでも、私たちは仕事をしようとするのだと思います。なんとか踏ん張ろうとしちゃうんですよね。分かります!

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    投稿日: 2015.06.09