文学
死者の書
あらすじ
本来の”死者の書”は古代エジプトにおいて、死者の魂が冥府に到るまで過程を書いたもの。本書はそれと同じ話しではなく、モチーフとして翻案している。非業の死を遂げ、埋葬されていた大津皇子が復活するところから物語は始まる、藤原郎女との交感を描いた物語。柳田国男の弟子であり、民俗学者である折口信夫が、釈迢空の名で書いた小説だ。死者が蘇るという、恐ろしくも奇妙な描写から始まり、眼に見えない力を信じ、利用されていた古代だからこその物語が様々に登場する。伝承や伝説を語る、古代に存在した語り部を登場させ、古代にさらなる時間性と歴史の構造を加える腕は、さすが稀代の民俗学者。

