文学
自分だけの世界
あらすじ
読者のため、というよりもむしろ自分の覚書の為にという冒頭から始まる、マックス・シュティルナーというドイツの哲学者を紹介するエッセイ。個人主義を基調とし自己の存在だけを肯定するというその言説に、極端なものを感じながらも、もっとも実用的な哲学ではないかと著者の辻潤は言う。「自分の生きてゆく標準を他に求めないこと」。それこそが、日本のダダイズムを牽引した思想家が、明治時代に求めたことだった。「一種の功利主義かも知れない」が、名前なんてどうだっていいと言う。名前の付いた思想が哲学なのではなく、生き方を規定するようなものこそが、辻潤にとっての哲学だった。

