文学
食魔
あらすじ
北大路魯山人をモデルに描かれたといわれる小説「食魔」。緊張を強いるようなキリキリとした文体で、描かれるのは若い料理教師の鼈四朗の人生。教室でチコリーの和え物を作り、家庭での芋の煮転がしに「ほう」と機嫌を直し、大根の鍋でビールを飲む。食を通して人生を見据えるという作業は、暮らしのディテールを見つめること。そして人生の機微を感じるということ。人気漫画家であった岡本一平と結婚し、芸術家・岡本太郎を産んだ、波乱万丈の人生を歩んだ女性。彼女の生き方そのものに対する姿勢がうかがえるような小説に。ほの暗いようなトーンこそが、人生を映し出すのかもしれない。

