文学
金魚撩乱
あらすじ
岡本太郎の母親としても知られる岡本かの子の、理想と美を巡る物語。金魚屋の跡取りである主人公復一は、身分違いの真佐子に思いを寄せる。叶わぬ恋は、理想の金魚を配合し誕生させるという夢と重ね合わされる。その夢は、最後「意識して求める方向に求めるものを得ず、思い捨てて放擲した過去や思わぬ岐路から、突兀として与えられる人生の不思議さ」として、ある形に結実する。観賞魚という独特の生存目的を持った金魚は、いわゆる魚とは対象として全く観点が違う。復一にとって、金魚は完全な理想美の表現手段だった。本作からは、この母にしてあの息子あり、と十二分に言えるほど、かの子の美に対する圧倒的な意識を感じることができる。

