文学
時の観念とエントロピーならびにプロバビリティ
あらすじ
時間とは何かということを、時の概念以外の言葉でわかりやすく言い換えることは、まだ誰も出来ていないと寺田寅彦は考えた。自分でもどうにか説明しようと寺田は、時間の”不可逆性”に注目し、同じく不可逆的な物理学上の概念である”エントロピー”を”時”と併置することを考え、さらにもう一つ不可逆的な公算=プロパビリティの概念も加えて、これらの関係性の中に何らかの答えを見出そうとする。本作のなかで明確な答えは出ていないが、ここに何らかの考え方のヒントを見出すことはできそうだ。ニュートン、マッハ、アインシュタインの三人を経て物理学上の進化は遂げたけれど、本作を読んで、より直感的で文系的な進化も期待したい。

.jpg?auto=format&lossless=1)