文学
虞美人草
あらすじ
藤尾は許嫁の宗近との結婚を躊躇していた。宗近の学友で芸術家肌の小野にも惹かれていたからだ。しかし小野には婚約者小夜子がいる。一時は小野も古風な小夜子を捨て、美しく教養もある藤尾を選ぼうとするのだが、宗近に諭されて「真面目に」なり思い直す。そして藤尾は我執の末、自らの身を滅ぼすこととなる。
複数の人間が集まれば、性格や行動も異なるのは当然である。自己の利害、倫理観に恋愛が絡んだとき、打算や裏切りなくいられるだろうか。明治43年,朝日新聞に入社した漱石が職業作家として初めて書いた作品。漱石作品の中ではあまり知名度が高くないが、流麗な文章と劇的な構成はデビュー作とは思えない。

