文学
父帰る
あらすじ
家を出て行った父親が、二十年後のある日、年老いて帰ってくる。飄々としたその様子に、長兄はかつての父親の仕打ちを思い出し、激しく憤って追い出そうとする。しかし父親を記憶していない弟妹と弱った母は、父親に同情する。その家族を見てますます長兄は苛立ちを隠さず父をののしる。お前らは父親のない苦労を忘れたのか。四人で身投げして助かってしまったのを忘れたのか。俺に父親があるとしたら、それは俺の敵じゃ。父は肩を落として静かに立ち去るが…。家族と血のつながりと、憎しみと恨み、同情と憐憫。簡潔な言葉の中に、すべてがある。

