文学
桜の樹の下には
あらすじ
桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられない。人の心を打たずにはおかない、不思議な、生き生きとした、美しさ。俺は反対に不安になり、憂鬱になり、空虚な気持になった。しかしいま、やっとわかるときが来た。桜の樹の下には屍体が埋まっている。これは信じていいことだ。俺には惨劇が必要なんだ。その平衡があって、はじめて俺の心象は明確になって来る。たとえようもない自らの不安を、無下にしないで、茶化したりしないで、真っ向から向き合うことがどれだけ大変か。さらにはそれにけりをつけ、自らの手で心の平衡を手に入れた主人公は、この上なく強い。

