文学
ヴィヨンの妻
あらすじ
酔いどれの詩人である夫が、飲み屋からお金を盗み追われて帰ってきた。夫が日本一の詩人で元貴族の家に生まれた由緒正しい人間だと、妻はその時に初めて知る。妻は返済のため、その飲み屋で働き始める。お店の客と不倫してしまったその日、批評家から人非人と批判された夫に、「人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ」と妻は言うのだった。いつもどこか不安に悩まされ、酒や盗みを通してどうにか生きる実感を得ているように見える夫。それとは逆に現実をまっすぐに見つめる年下の妻。夫の出自すら知らなかった妻のあっけらかんとした性格は、男太宰から反転した女性の強さの象徴にみえる。

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