文学
富嶽百景
あらすじ
富士五湖の一つ、河口湖周辺の御坂峠。1938年の秋、小説家井伏鱒二がこもっていた宿に太宰が訪れた際の、富士山をめぐる紀行エッセイ。太宰中期にあたり、穏やかな作品が見られた時期でもある。本書でも、新たな結婚相手に会ったり、地元の若者から先生と呼ばれて喜んだりと明るい太宰が垣間見える。冒頭で、「ニツポンのフジヤマを、あらかじめ憧れてゐるからこそ、ワンダフルなのである」と富士山をネガティブに捉えた太宰。ところが、読み進めると、太宰がいろいろな場所から見つけた富士の姿は、どれも絵葉書にでもありそうな美しさがあり、鮮やかな魅力を伝えてくれている。

