道草(新潮文庫)
夏目漱石(著)
/新潮文庫
作品情報
海外留学から帰って大学の教師になった健三は、長い時間をかけて完成する目的で一大著作に取りかかっている。その彼の前に、十五、六年前に縁が切れたはずの養父島田が現われ、金をせびる。養父ばかりか、姉や兄、事業に失敗した妻お住の父までが、健三にまつわりつき、金銭問題で悩ませる。その上、夫婦はお互いを理解できずに暮している毎日。近代知識人の苦悩を描く漱石の自伝的小説。(解説・柄谷行人)
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商品情報
- シリーズ
- 道草(新潮文庫)
- 著者
- 夏目漱石
- 出版社
- 新潮社
- 掲載誌・レーベル
- 新潮文庫
- 書籍発売日
- 1951.11.30
- Reader Store発売日
- 2024.05.31
- ファイルサイズ
- 0.7MB
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この作品のレビュー
平均 3.6 (50件のレビュー)
-
漱石の文学は一面的に読むものではない、この小説でも多面的に考えさせられる。
このことがひどく気になった。
主人公「健三」は大勢のきょうだいの末っ子で生まれてすぐ養子に出され、それが「健三」の精神的…放浪になり、行き場所を失うのにつながり、本人が悩むとはなんてことだろう。
昔は家名を残すために養子縁組が多かっただろうし、子どもがない夫婦が寂しさのためもらい子しただろうが、「健三」の養子先は将来めんどうを(働いて)みてもらうがためもらったのだ。それでは子どもが道具ではないか。
養家先の不都合で9歳ぐらいの時に実家へ帰されたけれど、籍は養家先に20歳過ぎまであり、吝嗇な養父、養母の後難を恐れ、実父がそれまでの養育費を払い証文まで交すすさまじさ。
その実父もいらなかった子が返ってくるなんて、という態度なのだからたまらない。
三つ子の魂百までも、精神的苦しみは性格をゆがめる。
もう結婚して娘も3人いる主人公、その養父母に、きょうだいに、妻の父に金銭的にたかられるのだ。しかも夫婦の関係がうまくなく、錯綜した悩みに襲われる。
悩みに悩む主人公を、こんなに追い詰めてどうしようというのだろうと、怖気づいてしまった。『道草』なんて題はとんでもない。
全くこの通りではないだろうが漱石の自伝的作品という、なんとつらい人生だったのだろうね。
しかも、これがために文豪になったかも知れず皮肉なものだ。続きを読む投稿日:2021.08.29
この作品は漱石の自伝的小説であるが自伝ではない。このことは新潮文庫版の注解でも忠告されている。しかしそのことを留意していても、いつの間にか健三が漱石に読み替えられていることに気付く。この作品にはそれだ…けのリアリズムがあり、「余裕派」と称された漱石の前中期の作品とは一線を画した陰鬱さがあり、その眼差しは常に過去を向いている。「世の中に片付くなんてものは殆んどありゃしない。一遍起ったことは何時までも続くのさ」という作品末尾の健三の言葉は、世間の軽佻浮薄な生き方を軽蔑しながら知識人としての精神的な独立を希求した過去と、軽蔑したはずの人々とのしがらみの中で藻掻きながら自分と過去との不可分な繋がりを自覚しつつある現在との、鋭い対照を映している。それを聞いた細君は生まれたばかりの赤ん坊を抱き「おお好い子だ好い子だ。御父さまの仰ゃる事は何だかちっとも分りゃしないわね」と接吻する。彼は未だに孤独である。続きを読む
投稿日:2024.02.22
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