「差別」のしくみ
木村 草太(著者)
/朝日選書
この作品のレビュー
平均 4.3 (5件のレビュー)
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おもしろかった!
「差別発言&行為にどのように対抗できるのか」というかねてからの素朴な問題意識で読み始めたけど、憲法学者が書いてることもあり実はバキバキの法哲学本だった。
法制定の経緯や裁判所の見解、…差別を論駁する法的な論理構成などが詳しく取り上げられているのでなかなか難しく、なんとかついていって一応理解して読み通すことができたけど、多分2年前の私なら読めなかったんじゃないか。
この一年仕事で裁判や法律に触れるようになり、自分がこういう法の論理に興味を持ちある程度は理解できるようになっていることに気づいて、自分という人間の幅が広がっているなーと感じてとてもうれしかった。
本はいかなる状況においても自分にとって人生の主軸なので、読める本が増えることはそのまま人生の豊かさに直結する。
同性婚、選択的夫婦別姓が実現していない司法判断の裏にも、「同性カップルは異性カップルより価値が低い」「別姓カップルは同姓カップルより価値が低い」という価値観がない限り説明しょうがない理屈があるということもわかった。これはが認められていないのは差別なのだと改めて認識できた。論証がわかりやすくて膝を打った。
学びになったことメモ
・差別の4類型①偏見(誤った事実認識)②類型情報無断利用(自分の個人的な情報を勝手に類型判断に用いられる)③主体性否定判断(対象を自律的な主体として扱っていない)④差別(ある類型への否定的な価値観や感情とそれに基づく行為)→まあ理屈としてわからなくはないが、①〜③の根底には必ずと言っていいほど④があるよねと思う。
・憲法14条の平等条項は「合理的な理由のない区別の禁止」→国が平等条項違反で訴えられたとき、反論の理屈は①区別は存在しない ②この区別は合理的だ のどちらかしか存在し得ない
続きを読む投稿日:2024.06.15
「差別」をいかに定義するかというところから始め、アメリカの奴隷解放など差別と憲法の歴史、憲法24条と家制度、同性婚・夫婦別姓の問題とそれに関する訴訟、差別されない権利を基礎づける研究者による議論などを…取り上げ、法的な観点から差別の構造を論じる。
自分も差別解消に関する条例制定の議論に関わったことがあり、差別の定義をはじめ差別に関する議論が非常に難しい(理論的にも政治的にも)ということは痛感しているが、本書は、錯綜する差別に関する議論を整理するきっかけとして非常に有益だと感じた。
ただ、著者の主張や紹介されている研究者の議論などには納得しがたいものも少なくなく、やはり差別の定義や差別の禁止を根拠づけるのはなかなか難しいなということを再認識もした。
例えば、著者は、差別においては同意なく被差別者の性別などの類型情報という個人情報を利用しているのでプライバシー侵害に当たると主張しているが、一見してわかるような類型情報を理由に差別することをプライバシー侵害として捉えるのは違和感があり、他にそのような説を聞いたこともなく、あまり腑に落ちなかった。また、本書の根幹である差別の定義についても、「人間の類型に向けられた否定的な価値観・感情とそれに基づく行為」という本書における定義は、具体的行為が「否定的な価値観・感情」に基づくとどう判断するのか、自然発生する「否定的な価値観・感情」自体はどうしようもないもので内心の自由の観点からも一概に否定できないのではないかなど疑問があり、十分に納得のいくものではなかった。個人的には、著者の指摘のとおり統計的差別への対応などに課題があることは承知しつつ、伝統的な理解である「合理的根拠のない(人間の類型に基づく)区別」という定義のほうがしっくりくる。
一方、差別をしたとされる人が往々にして「差別の意図はない」と言うことに対して、差別する人が主観的な「差別の意図」を持たないのは至極自然なことで、無自覚な差別こそが典型的な差別だと論じる部分や、同性婚訴訟等の判決が、国民の多数派が差別的価値観を持っているから、法制度が、それに迎合するための区別をしても正当だという趣旨の判決になっており、妥当ではないとする指摘など、本書の議論ははっと考えさせられる部分も多かった。続きを読む投稿日:2024.04.13
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