月ぞ流るる
澤田瞳子(著)
/文春e-book
作品情報
紫式部が生きた時代の豪華絢爛宮中絵巻
日本初の女性による女性のための歴史物語『栄花物語』の作者である朝児(赤染衛門)からみた宮廷はどんな姿をしていたのか?
宮中きっての和歌の名手と言われる朝児(あさこ)は夫を亡くしたばかり。五十も半ばを過ぎて夫の菩提を弔いながら余生を過ごそうとしていたが、ひょんなことから三条天皇の中宮妍子の女房として再び宮仕えをすることになる。
宮中では政権を掌握した藤原道長と、あくまで親政を目指す三条天皇との間には緊張が入っていた。道長の娘の妍子が、将来天皇となるべき男児を出産することが、二人の関係に調和をもたらす道だった。しかし、女児が生まれたことで、道長は三条天皇の排除を推し進めていくことになる。
朝児は、目の前で繰り広げられるきらびやかながらも残酷な政争に心を痛める。なぜ人は栄華を目指すのか。いま自身が目にしていることを歴史として書き記すことが自らの役目ではないのか。そこで描かれるのは歴史の勝者ばかりではない。悲しみと苦しみのなかで敗れ去った者の姿を描かねばならない。その思いの中で朝児は筆を取る。
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商品情報
- シリーズ
- 月ぞ流るる
- 著者
- 澤田瞳子
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春e-book
- 書籍発売日
- 2023.11.21
- Reader Store発売日
- 2023.11.21
- ファイルサイズ
- 1.9MB
- ページ数
- 448ページ
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この作品のレビュー
平均 4.4 (15件のレビュー)
-
平安時代をバックにした作品を2作続けて読む。本作の主人公は『栄花物語』の作者として知られている赤染衛門(あかぞめえもん)。小説中では朝児(あさこ)と呼ばれていた。「のち更に咲く」に登場する紫式部はさり…げなく客観的な姿勢、しかし本作ではしきりに朝児に書くことを勧める。
比叡山の御坊・頼賢(訳ありで寺に預けられた)はしょせん絵空事と”物語”に不服を唱える。式部は「物語とはありもせぬ話を書いているふりをして、世のあらゆる出来事を防ぐ手立てなのじゃ」と云う。更に「物語の中には、人が一生で味わいきれぬほどの喜怒哀楽が存在する。どんなに哀しい経験も物語の世界に照らし合わせれば、それはすでにあったことであり、これからもあり続けるのものでしかない。ほんの数十年の生涯を生きることしかできぬ生身の人間にとって、その事実は生きる上で何より心強いことなのだ」と力説。そして赤染に「あまたの史書を読んでいるそなたであれば『源氏物語』を超える物語を書けぬはずがない」とせっつくのだ。
文章博士となった菅原宣義は「史書とはただ過ぎ去った日々を記しただけの、退屈な書物ではありません。今生きる我々が何者であるかを告げ知らせ、生きるべき道を教えてくれる何物にも代えがたい道しるべ」と語っている。
いつしか赤染は、史書にして史書にあらず、物語にして物語にあらざる書物であれば、私にも書き記すことが叶うと思い始めるのだ。
『栄花物語』は未読だが、繰り広げられる政争に心を痛めながら、今、目にしていることを歴史として書き記すことが自らの役目と、筆を執った赤染の心意気が伺える。
朝児の親子論も印象的だった。血のつながりを持たない息子の挙周が朝児との仲を盲目的に信じる一方で、頼賢は血のつながりがある実の親・頼定の挙動に微塵も関心を持たないのだ。血ゆえに生じる執着がなければ、人はどれだけ楽に生きられることかと、結んであった。私も同じように感じる時がある。
車が牛車に見えるぐらいにどっぷり浸かってしまった。当時は牛車を入れる車庫らしきものも設えてあったらしい。牛車の下部に十二単の着物の端を少しだけ見せていたという和泉式部、華やかに彩る着物を翻しながら牛車が行き来する界隈を想像する初夏。続きを読む投稿日:2024.05.22
藤原道長と三条天皇が勢力争いをしている様子を、その周りにいる三条天皇の妻で道長の娘である姸子(けんし)やその女房、とくに学者家系に生まれた朝児(あさこ)とそのもとへ学習のためやってきた頼賢(らいけん)…などの目から真実がどこにあるのかをあぶりだすような内容。頼賢の育ての親、原子(げんし)が謎の死をとげた真実はなにか、というところが説かれていくのが話の中核となっていくのだが、とくにそれにこだわらず、栄華を求めて生きることへの冷静な観察眼の方が主テーマのような話だった。つ・ま・り、全体を通して展開が平板で、一見してわからない445ページ(紙が薄いのか?)を読み切るのはなかなかに骨が折れました。でも、しっとりと全編面白かったです。目先の面白さがなくても好きで読む方向け。
内容がかなり難しいので高校生くらいから?でも、彰子や道長出てきて、日本史と直結しているので中学生でも読書好きなら大丈夫です。続きを読む投稿日:2024.05.24
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