半暮刻
月村了衛(著)
/双葉社
作品情報
●あらすじ
児童養護施設で育った元不良の翔太は先輩の誘いで「カタラ」という会員制バーの従業員になる。ここは言葉巧みに女性を騙し惚れさせ、金を使わせて借金まみれにしたのち、風俗に落とすことが目的の半グレが経営する店だった。〈マニュアル〉に沿って女たちを騙していく翔太に有名私大に通いながら〈学び〉のためにカタラで働く海斗が声をかける。「俺たち一緒にやらないか・・・・・・」。二人の若者を通した日本社会の歪み、そして「本当の悪とは」を描く社会派小説。
●担当者より
本作の主人公は二人の青年です。一方は施設育ちで貧困の連鎖の中にいます。いくら努力しても、彼の出自、彼の過去が彼自身を縛りつけていきます。もう一人は何不自由なく育ち、それでも上を目指して日々〈学び〉を怠らないよう努力をしています。努力をしている、という点は二人とも共通ですが、この二人を「日本社会」という入れ物に入れたとき、理不尽な現実が襲い掛かってきます。同じ半グレのもとで出会った二人がどんな人生を歩んでいくのか――著者である月村了衛さんが脱稿後「格別の手ごたえがあります」とおっしゃった力作、ぜひご一読ください。
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商品情報
- シリーズ
- 半暮刻
- 著者
- 月村了衛
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 双葉社
- 書籍発売日
- 2023.10.18
- Reader Store発売日
- 2023.10.18
- ファイルサイズ
- 12.3MB
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この作品のレビュー
平均 4.3 (106件のレビュー)
-
本当のクズとは、どんな人間をいうのか?
広告業界を舞台にした、人間性とは何かを問う社会派小説。
第一部で「下級国民」として反社会的勢力、第二部で「上級国民」を描く(嫌な言葉だ…が)。
その第二部の舞台が広告業界だ。
広告代理店最大手「電●」。作品内での社名は「アドルーラー」。社員の自称は「電●マン」ならぬ「アドルーマン」。
adruler(広告を統べる者=広告王)なら、そのままアドルーラーでええやん(と思った)。
呪いや洗脳のように何度も連呼され、あまりのゴロの悪さに苦笑する。お前それでもアドルーマンか!
ストーリーは昨今、社会問題化した実際の事件、報道を基にしている(てんこ盛りだ)。読みながら、皆さん「ああ、あれか」と思うはず。
それを批判したいわけではない。
しかし、フィクションとしての物語的飛躍に乏しく、すべてが想定の範疇におさまったのが残念だった。
章立てのタイトルは、ドストエフスキーの『罪と罰』からと思われ、おそらく翔太と海斗の人格は、その主人公ラスコーリニコフを二分して造られたのだろう。
ならばこそ、クライマックスのどこまでも噛み合わない情景も納得できる。
改めて「人間性」について考えるきっかけになった。
偉いから。貧しいから。学歴が高いから。前科があるから。
あなたは人を人として見ていますか?続きを読む投稿日:2024.02.06
物語は、それぞれ主人公を翔太と海斗として、二部に分かれている。
二人はカタラグループという集団に属し、若い女の子をひっかけ、金を使わせ、風俗産業に堕とす仕事をしていた。
そのやり口は実に見事で、二人は…あっという間にトップに躍り出る。
しかし、グループは捜査対象となり、逮捕者の一人となった翔太はデリヘルの送迎で糊口を凌いでいた。
そこまでの転落劇も面白いが、ここからの翔太の物語は、思わず応援したくなる。
心を壊した女性もいたし、もしかしたら自殺した子もいたかもしれない。
翔太は悪い奴だ。
けれど、本を読み、言葉を使うことの重みを知り、想像力を働かせることができるようになる。
それができているのなら、更生の機会があったっていいじゃないか。
翔太が人生を変えるきっかけとなった『脂肪の塊』も、『闇の奥』も読んだことがない。
一応私は真っ当な納税者として生きているので、人生がガラリと変わる、ことはないかもしれない。
しかし物語には人を変える力が時として宿るのならば、そんな本に触れてみたい。
さて一方の海斗の方は、言葉や人を大事にしない。
この物語は電通の不祥事(過労死自殺)を下敷きにしていると考えられる。
海斗の元で働く登場人物の姿を見て、有名企業に勤めながらひどい働かされ方をしていた(今は元気そうだが)知人の疲れ切った顔を思い出し、胸が痛む。
海斗は頭が良くて、本も読むけれど、自分以外を結局バカにしている。
学ばない人間は自分とは世界が違う。
罪に問われないから罪がない、手を下していないから悪いことはしていない、騙される方が悪い、耐えられない方が悪い…
こういう考え方をする人は一定程度いる。
私はそういう人間は大嫌いだ。
翔太は海斗を邪悪と言った。
海斗は確かに司法の罰は与えられないだろう。
しかし人は歳をとる。会社を離れる。死ぬ。その時彼は何を思うか。
唐突とも思える病気の話だとか、養護施設や有名大の設定は安直な気もする。
しかし物語で問うているものに私は少なからず心を動かされた。
エンタメとしても面白い物語だが、私は翔太の物語については、ただ消費するだけにはしたくない。
人を変えるものは何か。
人を作るものは何か。
そんなことを心に留めながら、人と関わり、人を育てていきたい。続きを読む投稿日:2024.07.12
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